こんにちは! 蜻蛉です。 Jリーグが1993年に誕生し今年で20歳。その間、FIFA・W杯開催とW杯出場4回、そして5回目も目前。欧州のビッグクラブで活躍する選手も現れました。日本サッカー界はこの20年間素晴らしい実績を挙げてきております。おめでとうございます。Jリーグ百年構想の1/5、日本サッカー界はまだまだやらねばならないことが沢山あるはずです。例えば、日本サッカーのレベルを上げるには、選手の能力アップと同様、サッカー界の一人ひとり(サポーターやファンの方々)の支援と能力向上も不可欠です。
来年は新たに、J3リーグが誕生しそうですね。Jリーグが益々繁栄しますよう祈っております。
さてきょうは、一昨日(23日)国立にて、広島サンフレッチェ(J1リーグ優勝)対柏レイソル(天皇杯優勝)による、ゼロックススーパー杯の試合が行われましたので、その試合のコトと特に優勝した広島の森安一監督のコトについて話し合いたいと思います。
試合の結果は1−0で広島が柏に勝って優勝しました。両チームのスタメンはつぎの通り。
広島:GK西川、DF塩谷、千葉、水本、MF青山、森崎和、石川、森崎浩、高萩、清水、FW佐藤。
柏 :GK菅野、DF鈴木、近藤、増島、MF大谷、茨田、キム、L・ドミンゲス、ワグネル、FWクレオ、工藤。
広島交代:佐藤(石原)山岸(石川)。 柏交代:栗沢(茨田)、田中(クレオ)、山中(ワグネル)。
両チームは今シーズン、リーグ戦と、アジアチャンピオンリーグ(ACL)に備え、強化合宿で、特にフィジカル面に重点を置いたせいか、初の公式戦でしかも昨年度のチャンピオン同士のタイトルマッチということもあって、前半の25分は中盤での硬さの取れない攻防戦で、得点に絡みそうな動きもチャンスもなかった。
前半28分、ボランチ青山が左サイドからゴール前へクロス、相手の足を掠め、サイドバックの水本がジャンプヘッドで後方に流し、ゴール正面に位置していたエースの佐藤が左足のジャンプボレーキックで強烈なシュート、ボールはゴール右上の隅に吸い込まれ、広島が先制点を決めました。その後も、調子に乗った広島は再三再四柏ゴールにシュートしたが決まらず前半終了。
前半の広島は、DF陣を固める柏に対して、無理して攻撃に出ず、3バックの塩谷、千葉、森崎和(水本は左サイドのMF)が落ち着いてボールをキープ。その間、MFと交えてパスを繋ぎながら、時折柏DF陣を誘き出すくさびのパスを入れ、ゲームの主導権を握っていた。
一方の柏は、ツートップのクレオ(新加入)と工藤には、広島の3バックがしっかりとコントロールして、チャンスを与えず、また、ゲームメーカー、レアンドロとワグネルに対しても、MFが絶えずプレッシャーをかけて、好機をあたえなかった。
後半に入っても、広島は9分と11分と佐藤が立て続けでシュート、ゴールかと思われたが、柏GKの手を掠め得点にはならなかった。このとき佐藤はGK菅野と接触して脚を痛め、14分に石原と交代。エースの抜けた広島に対して、柏がようやく攻撃リズムが出始め、後半17分ゴール正面でFKの得点チャンスがあり、レアンドロがゴール左隅にシュート。広島GK西川がゴールポストにぶつかりながらかろうじて右手でボール弾き出した。20分には、レアンドロの右サイドからのFKを増島がジャンピングヘッド、ボールはクロスバーに当たり外へ。その後も、柏は攻め込みましたが、広島はゴール前を固め(双方に得点チャンスはあったが)そのまま逃げ切り、タイトルを獲得しました。
この試合の柏は、先日のJ2の千葉との「千葉杯」にて、3−0で完封された試合と比較して、多少調子は上がっていましたが、新加入の選手との連携がまだ取れていないためか、柏の良さが出ないで負けてしまったようです。フォーメーションも昨年の4バックから3バックになり、新加入の鈴木が右で、昨年右だった増島が左にポジションを変更、近藤も鈴木も主審に抗議(調子が良くない証拠)するなどで、まだ互いに呼吸が合ってないように感じました。
広島は昨年末のクラブW杯でのDF陣のミスとMFの動きが足りないことを、私は指摘しましたが、この試合でのDF陣のミスは後半ゴール前で反則し相手にFKを与えただけで、致命的なミスはなかったように思う。問題のMF高萩、森崎浩、青山は攻守に良く動いてチームに貢献していた。あの得点したときの選手のポジションを見れば、選手がいかに流動的なポジションチェンジをしていたかが分かる。右サイドのボランチ青山が左サイドからクロス。左サイドバック水本がペナルティーエリアのラインに位置。佐藤が水本と同じラインでゴール正面に位置。というように、相手に意表を突くポジションチェンジで得点を決めたわけです。
広島の選手一人一人が萎縮せず伸び伸びとリラックスして、しかも考えてプレーしているのには、感心しました。これだけ選手の個性を引き出せるには、やはり監督の手腕があってできるコト。就任1年目でJ1優勝、そして今回のスーパー杯優勝に導いた広島の森安一(もりやす・はじめ)監督の功績は大である。
前にこのブログで彼の現役選手時代のことを記載しましたがここでもう1度取り上げてみようと思います。
『森安日本一監督は未来の日本代表監督になる才能あり』
森安一選手は長崎県生まれで、高校時代は国見や島原商のような有名校出身ではなく、東洋工業の子会社に入社。幸運にも、オフト(オランダ)がコーチで、彼の才能を発見。オフトが日本代表の監督に就任して、当時まったく無名の森安を代表候補の合宿に召集。アルゼンチン代表との親善試合に先発でMFボランチ(守備型MFで、ポルトガル語の舵取りの意)として初出場。試合後のインタビューで、当時のスター、カニージャの「日本の選手で一番やり難かったのは16番(森安)だった。自分が入りたいと思って動くと彼が立っていたんだ」という言葉に記者団は驚き、アッという間に森安の名とボランチという用語が世間に広まったのです。
テレビカメラで森安のプレーを捕らえようとしても、相手からボールを奪ったら、直ぐに味方にパスしてしまうため、「森安とボールを同時にキャッチした像が画面に現れない」とテレビ関係者を悩ませていたのです。
その森安が広島の監督就任1年目で、過去1度もリーグ戦えタイトルを獲得したことのない広島をチャンピオンに導いたのは、彼の選手時代に日本代表初招集の1回のチャンスで結果を出した強運を見逃すわけにはいかない。
近い将来、森安は日本代表の監督になれるだけの才能があると、蜻蛉の目はそう見ています。そのわけは、森安監督がベンチやコーチングボックスに立っている姿勢、彼の眼の輝き、そしてオーラを感じさせているコト。それに、彼の広い視野、深い洞察力、旺盛な行動力、即興性がそのまま選手のプレーになって現れているコト。そのうえ感情の起伏が少なく、リラックスした冷静さは監督としての資質は十分備えている。もちろんサッカーの戦術、技術、体力等の知識もあり、センスも感じられる。監督のゆとりが選手に反映して、選手のプレーも遊びがあって、見ていても安心してみていられる。クラブW杯では「リラックス」さが、「気抜け」になったプレーが見ら
れましたが、この試合では、あの悪い癖は修正されていました。
その意味からも、今後、森安監督の采配と動向に注目する価値があると、蜻蛉は期待しています。
グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ!


