Japan Soccer 50年

2013年2月10日日曜日

サムライブルーVS ラトビア戦を観戦して

こんにちは! 蜻蛉です。 柔道女子日本代表での暴力問題を「日本のスポーツ史上最大の危機」として、下村文部科学相が、暴力の根絶を呼び掛けるメッセージを発表しました。何か突然降って湧いたような問題ですが、このブログで『歴史的な観点から覗く日本人の緊張感』(昨年4月27日と5月2日)という題で私が記載したコトと、今回の問題と関係がありそうなので、後日この問題について取り上げてみようかなと思っています。

 さてきょうは、サッカーの雑誌については一時中断して、今月6日に行われましたキリンチャレンジカップ、日本代表対ラトビア代表戦(ホームススタジアム神戸)について話し合いたいと思います。

 結果は3−0で日本が楽勝?しました。正直なところ対戦相手のラトビアのレベルが低過ぎて日本の勝利を素直には喜べませんでした。しかし、過去のチャレンジカップと比較して、ザッケローニ監督の采配に(プラスの意味で)変化が表れたように感じました。

 日本のスタメンは、GK川島DF(右から)内田、吉田、今野、長友、MF(ボランチ)長谷部、細貝、(アタッカー右から)清武、本田、香川、FW(ワントップ)岡崎。

 このスタメンに、ボランチに細貝、トップに岡崎を据えたコトで、変化が表れています。それに、トップ下の本田のポジションのとり方にも変化が表れていました。

 細貝は途中から交代してプレーするのとスタートからプレーするのとは違和感があったはずです。これは実際に体験しなければ分からない部分があるのです。というコトは、やらない間は意識がその部分に向けられないという問題があるのです。

 スタートの場合は、本人の使命と味方との連携、それに対戦相手を知らない、という未知の部分があるわけです。それに味方の攻守と相手の攻守も同時に考慮して本人自身の個人戦術も調整し、それを短時間のうちに状況をキャッチして対応できるようにしなければならないのです。特にボランチの機能と資質は「察知能力」が要求されます。つまり相手が何をしたいのかを感じる能力があれば、場面に応じて適切な対応ができるというコトです。このコトは前回のブログにても記載しています。

途中交代で入る場合は、これらが既に見えている状況で、しかも本人の使命もあらかじめ分かった状態でプレーできるので機能しやすいのです。交代選手の難しさは、コンディショニングの調整とリズムですが、あるときには試合の結果を出さねばならない重要な使命もあるわけです。

予想通り細貝は戸惑いがあったようで、それが前半1−0という結果(苦戦)にも多少表れていたようです。だからといって、細貝はダメなのか? ダメどころか細貝個人にとっても日本代表にとっても必ず利益になる、と蜻蛉の目はそう観測しています。

岡崎のワントップも、前に私がこのブログで述べています。彼自身に「泥臭さ」を要求していたのですが、先日の彼の談話にてこの言葉がありました。というコトは、彼自身が「きれいにシュートして得点する」イメージから、「ポジショニングのとり方と瞬間のタイミングで得点する」イメージに切り替えたと思われます。

ゴール前で「こぼれ球でも押し込んでやるぞ!」という泥臭さのあるプレーを意識した結果が、内田からのシュートのようなパスを、相手DFの後方に立っていながら、一瞬先に出て、足先でボールを掠めて決めた前半最初の得点です。後半、前田が清武に代わってトップに入り、岡崎は清武のポジションに替わったけれど、最初の得点のゆとりとワントップの体験が、香川からのゴール正面へのパスを岡崎はサイドから相手DFラインの裏をつき、そのボールを受けて、GKを余裕を持って交わして決めたのが、日本の3点目でした。ザック監督になって初めての試みが結果を出したわけです。

 日本は前半、本田がトップ下でありながら、トップの岡崎と離れてボランチの長谷部に近い位置でプレーしていたようです。その空いたスペースに香川が積極的に左サイドからドリブルで持ち込み清武や岡崎が相手DFの裏を突こうと試みていたようで、ブラジル戦で左サイド寄りでパス攻撃を仕掛けていたのをゴールに近い中央ですれば、直接シュートするチャンスと相手にプレッシャーをかけるコトになる。

 この体制でいけば、香川もトップ下の機能が発揮でき、岡崎や清武も裏に飛び込め、しかもキープ力とシュート力のある本田が広い視野で、しかもノーマークでプレーできると計算していたように感じました。それが前半の23分の本田のミドルシュートや岡崎と清武が相手DFの裏をつく動き(オフサイドになったが)が再三見られました。

ザック監督はサイドハーフが早い段階で中に入るコト(香川のようなプレー)を嫌っていたようです。その理由は、ボールを奪われたときに外のスペースが空いてしまうコトと、相手のサイドバックの攻撃参加を許してしまうコトのようです。この試合の場合は、本田が香川の後方に構え、長谷部と細貝が攻撃のサポートしていたので、ボールを中央で奪われても直ぐにカバーできる体制ができており、ブラジル戦のように攻撃のために守備体制が崩れる心配は少なくて済むはずです。

 後半、ボランチの細貝に代え遠藤が入り、中央の攻撃スペースが広がり、14分香川は左サイドから縦にドリブルで持ち込み、ゴール正面に飛び込んできた本田にパス、本田は間髪入れず左足でシュートして、日本の2点目を決めたのも、前半の布石が功を制したと思われます。この日の本田は体力的に精彩を欠いてミスプレーが多かった。彼の歩き方を見ていると、正常ではないように感じました。歩くごとに肩が上下に傾いていたので、以前膝の手術をした部位に、異常があるのではないかと心配されます。大事にならなければよいのですが。

 試合の結果は3−0でしたが、日本代表が早急に解決しなければならない守備の課題が、この試合にて試すことができなかったのは残念。そのかわりに、攻撃面では、メンバーと攻撃方法をチョッと変えただけで、良い面で変化が表れたようです。

 個人的には、清武の1点目に絡んだ粘りのあるプレー(無理な体勢でもボールを奪われず長谷部にパス)。前出の岡崎のプレー。岡崎と交代して初登場した大津の3人を相手にコーナーキックまで持ち込んだ粘りのあるプレー。乾の軽快な動きと6本もシュートしたプレー。内田と交代した酒井高徳の積極果敢なプレー。ロンドンオリンピック代表の若手が動き出したコトは、サムライブルーにとって、この試合は利益をあげたと言えそうです。

ザックジャパンの組織力を向上させるには、個々の力をさらに向上させていかねばなりません。しかし、代表の合宿練習や試合だけでは個々の向上は限度があります。個々の力を上げるには、個々の選手が所属するクラブで実績をあげていくコトが最も望まれます。その力を代表のために貢献すれば解決できるのではないでしょうか。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ!

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