Japan Soccer 50年

2013年3月9日土曜日

現状の日本サッカーと1992年の藤田一郎氏の報告書 1/2

こんにちは! 蜻蛉です。 ここ数日気温が上昇し春の到来を感じさせています。日本サッカー界も3月に入り、創立二十周年のJ1リーグが開幕、ACL(アジアチャンピオンリーグ)、FIFA・W杯ブラジル大会への出場権をかけるサムライブルー対ヨルダン戦、なでしこジャパンのアルガルベ杯(ポルトガル)の出場というように、春の到来を感じさせています。

 このような明るい話題の反面、私の気持ちのなかに、日本のサッカーに一抹の不安というか不満を感じさせているコトがあります。きょうはそのコトについて話してみたいと思います。

 表題の藤田一郎氏は、Jリーグの始まる以前のJSL(日本サッカーリーグ)時代、日本代表のユースの監督、アジアのサッカー後進国への巡回指導など、日本サッカー界の指導者レベルがそれほど高くない時代に、世界の優れた指導法を導入し優れた選手を育成されておられた。(藤田氏は若い選手を育てる第一人者であった)

 先日、私のファイルを見直しているとき、日本サッカー協会の機関紙に藤田氏が記載した、1992年当時の日本サッカーの現状報告書(問題点)を抜粋した一枚の用紙があったので、それを読み直してみました。

 私が一昨年ペルーから一時帰国して以来日本サッカーの試合を観戦してきて感じているコトは、体力と技術レベルが、むかしと比べて、一段と高くなっているコトでした。しかし、それは日本人同士の試合であって、同等以上の対戦相手のときには、日本のサッカーの技術は根本的な要素(問題点)が1992年当時に指摘されている問題とそれほど変わっていないのだと、この報告書を読みながら感じました。

 その報告書には次のコトが記載されていました。(文書が少し長いので、2回に分けて記載します)

(1) プレーの原点・基本に未熟さがある。激しいつば競り合い、ボール(球)際での競り合いにひるみ、 

負い目が出がちである。

(2) ボールコントロールが良くなっていると言われる。しかし、力強さ、ダイナミックさに欠け、プレッ  

シャー、スピードのなかで正確に、前向きにプレーを発揮するには至っていない。

(3) 身体を使って持ちこたえるプレーができない、すぐに倒れる、スタンディングでの軽く小さなかわし 

のプレーは通用しない、動きながらのプレー、持ちこたえる身体を使ったプレーの開発が望まれる。

 そうしたゲームの展開から、藤田氏は技術の角度から、「日本選手のプレーに強さという要素において不十分さが認められた」と指摘し、以下の5つを具体例として挙げている。

(1) 激しく詰め寄られ、プレッシャーをかけられると、攻める方向、前を向いてのプレーが不十分になっ 

ていまう。

(2) プレッシャーのあるスピードのなかでは、正確なコントロール、パス、シュートなど技術を発揮する

精度のレベルが落ちてしまう。

(3) 身体を使い相手をブロックしてのボールの受け、持ちこたえるキープ力に欠ける。

(4) 相手の深いタックル、スライディングに対して、ひるむ傾向が強く、先手を取って出端を取る強気の  

プレーができない。

(5) 相手ボールに対する詰めと間合い、アプローチが甘くなる。1対1で破られることを恐れ、安全第一の 

プレーに走る。

 3月6日と昨夜(8日)TVで観戦したアルガルベ杯(ポルトガル)にての、なでしこジャパンの第1戦のノルウェー、第2戦のドイツとの試合にても、藤田氏の指摘している問題の要素がズバリそのまま現れていました。また、ACLの第1戦に敗退した浦和と広島も、試合を観ていませんが、上記の問題があったのではと予測されます。

 次回は戦術面で藤田氏が指摘しているコトを記載したいと思います。きょう行われるJ1リーグの試合も、このような視点から観戦してみると、これまでとはチョッと違ったコトが感じられるかもしれません。

 グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ!

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