
私はペルーに36年も住んでいる関係で、ペルーのサッカーについても、日本サッカーと同様、心底から愛着を持っております。 南米のW杯予選は開催国ブラジルを除く9カ国で、総当り2回戦(ホーム&アウェー)で行われています。3月22日現在第11節の試合が終了し、アルゼンチンが勝ち点23で、出場権をほぼ確定しています。コロンビア(19)、エクアドル(17)、ウルグアイ(13)、ベネズエラ(12)、チリ(12)、ペルー(11)、ボリビア(8)、パラグアイ(8)の順位で、出場枠4+1PO(アジアとのプレーオフ)をめぐって大混戦。期待するペルーは、隣国のライバル、チリと対戦、試合終了間際(88分)にドイツのシャルケ04で内田と同僚のファルファンが決勝点を決め1−0で辛うじて勝利(負けていれば絶望だった)。この試合、主力4人が欠場(コリンチャンスのゲレーロも)で心配されていましたが、正直なところ勝ってホッとしました。
さてきょうは、今日ヨルダンのアンマン行われるFIFA・W杯アジア最終予選日本代表対ヨルダン代表戦にて、出場権をかける大事な一戦に挑むサムライブルーのコトについて話し合いたいと思います。
先日(22日)日本はカナダとカタールのドーハで親善試合を行い、2−1で勝利したものの、内容はカナダに苦戦して消化不良であったことが報じられています。この試合、日本の得点源であるエース本田と長友が不在のポジション(トップ下と左サイドバック)を誰が占めるか、また、センターバック今野の欠場(発熱)を誰が埋めるかが焦点でした。
スタメン(交代選手)は、GK川島、DF内田(駒野)、吉田、伊野波(栗原)、酒井高徳(酒井宏樹)、MF長谷部、遠藤、岡崎(中村)、香川、乾(大津)、FW前田(ハーフナー)。
トップ下は、前半香川、後半中村、センターバック今野のポジションには伊野波と栗原が出場しました。試合後の選手の反省というか感想は、次のように記載されていました。
左サイドのアタッカー乾は「監督からポジションのことを言われる。そこを意識し過ぎた」、ピッチで試合の流れに対応できなかったことを反省しています。
トップ下の中村「前半ベンチで試合を見守りながら、みんなのポジションが等間隔に感じた。自ら動いて選手間でつなぐことを意識した。自分はセカンドストライカーのタイプじゃない。自分の役割ができたらと思う」と述べています。
トップ下とサイドアタッカーの香川は「形にこだわりすぎてしまった。監督の目指すサッカーを浸透させようと考える。それは日本人のいいところであり悪いところ。もっと試合の流れを読んでやっていかないといけない。攻撃陣1人1人の距離が遠く、連係を生み出すことができなかった。真ん中でプレーしたいのに左の乾は遠くにいた。近寄っていけばワントップの前田が孤立してしまった。チャンスボールを引き出して形をつくることが大事だが、チームとして難しかった」と述べている。
キャプテン長谷部は「セカンドボールを拾われた。フィジカルで相手に負けていた。簡単なミスがあった」と反省している。
これまでザッケローニ監督の采配に感じているコトは、戦術面のコンセプトが選手間でよく理解されていないのでは、と思われる節がある。と申しますのは、日本のリズムでプレーしているときには素晴らしい面が現れていますが、一旦逆境に立たされたときに、「不消化」のようなゲームになってしまう。それがカナダ戦で現実に表れていたのです。
私が気になるのは、乾選手の言葉にある、戦術のシステムにおけるポジションの機能を強調するため、選手の意識がそこに集中(こだわり)しすぎるきらいがあるようです。
雑誌『サッカー批評』に、ザック監督を評して「イタリア人だけあって、細かい守備はもちろん、攻撃でも決まりは多い。個人で勝手なプレー?はさせない。サイドアタッカーが早い段階で中に入ることをとかく嫌う」その理由は、ボールを相手に奪われたとき、外のスペースが空いてしまうことと、相手のサイドバックの攻撃参加を抑止させたい、という意味もあるようです。
攻撃ゾーンにおけるトップ下の2列目の攻撃陣に求められる機能は、ボールをゴールに向けてシュートして得点を決めるコト。そのためには流動性と即興性よ意外性をもって、相手の守備を揺さぶる動きとプレーが必要なのですが、そのところを、決まりをつけて制限させてしまえば、選手の創造性もヒラメキも抑制されてしまう恐れがあります。
ところが、選手の言葉とは裏腹に、監督は「自己判断」の必要性を説いているのです。そこに、監督と選手の間に意識のズレを感じているのです。 それがたとえ監督からの選手への使命であっても、その指示された「言葉」に囚われず、状況に応じた臨機応変なプレー(可能性の)を期待しているのです。しかし、問題は、日本人の感覚ですと「勝手なプレー」、というニュアンスでとらえてしまう傾向のあるコトを、前に、このブログで記載しているのですが、その辺の微妙な解釈というか表現の仕方が外国語と日本語の意味に違いがあるようです。
たとえば、乾選手の場合、内側に切り込む効果を表すには、その前に縦に突破する布石のプレーが必要というように、そういう駆け引きがあれば、監督は、あえて制限をするわけはないはずです。相手サイドバックのカウンターアタックにしても、サイドバックの酒井高とボランチの遠藤、それにセンターバックとの連係が機能すれば問題はないはずです。
ザック監督は不在の本田とトップ下候補の香川と中村について、「本田は代表にとって大切な選手、技術の高さ、パーソナリティー、何よりもパワーがある。トップ下に彼が入ると、チームにパワーが加わり、周囲がより攻撃参加できる。香川と中村は特徴が違うのでそこは求めていない」と本田の存在の大きさを口にしています。香川については「軽快なテンポで周囲の味方を使い、ゴール前で得点に絡むリズムのプレーをする」
中村については「長短のパスを操るクレバーなプレーをする」「両者とも本田のように1人で局面を打開できるパワーのあるプレーは望めない」というトップ下でのプレーヤーとしての特徴を語っています。
本田はたしかに、両腕の使い方が上手く、背後からのマークに対してもカラダで抑えてボールをキープできる。簡単に転ばない、体幹がしっかりして軸がブレない、素晴らしいプレーヤーである。しかし、彼の膝と足首が完治しないまま無理してプレーすれば、選手寿命を縮める恐れがある。彼の歩行の動作にて左右の肩が上下運動していることは、安定した姿勢を保つための、股関節のとらえ、と胴体の骨盤と腰椎、それに背骨にまで影響するコトが考えられます。彼の立場と責任感で無理してでもプレーしようと考えているでしょうが、来年のW杯優勝を本人が目標にしているのであれば、今は辛抱強く寛治するコトが肝心、そのためにも休養をとるプレーが一番大事
だと思います。
きょうの試合の敵はヨルダンではなく、日本選手の出場権獲得という意識が過剰になるコト、審判諸氏の判定、それにグラウンドコンディションにあるというコトです。
日本代表にこれまで指摘したような問題がありますが、ぜひ勝ってW杯出場を決めてくれるコトを信じて、このページを閉じることにします。
グラシアス!アスタ・ラ・プロクシマ!
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