Japan Soccer 50年

2013年3月20日水曜日

アルガルベ杯(ポルトガル)の大会で感じた”なでしこジャパン”

こんにちは! 蜻蛉です。 3月に入り好天気続きですが、突風のような強風と砂嵐には驚かされました。

J1リーグは第3節が過ぎ好試合が展開。今月23日、カナダ代表との親善試合と26日のW杯出場権をかける対ヨルダン代表と対戦する、“サムライブルー”日本代表の招集メンバー発表。というように、今月はサッカーの話題で大いに賑わしてくれるコトでしょう。

 さてきょうは、今月6日から13日まで開催されましたポルトガルでの国際女子サッカー“アルガルベカップ”大会に出場した、“なでしこジャパン”日本代表の試合をTV観戦して感じたコトを述べてみようと思います。

 今回の大会に佐々木監督は、ロンドン五輪(銀メダル獲得)出場組のうち、GK福元、DF近賀、矢野(引退)、MF沢、宮間、阪口(ケガ)、FW安藤、丸山、大野、岩淵(ケガ)を召集せず、GK海堀、DF岩清水、熊谷、鮫島、MF川澄、田中明日菜、FW大儀見、高瀬の8人の他、U-20W杯で活躍したMF田中陽子とFW田中美南の新人に加えて、GK山根、久野、DF長船、有吉、加戸、川村優理、MF宇津木、中島、川村真理、山崎、FW大滝、永里、小川等の15人、合計23選手を代表に選びました。

 五輪組以外の15人のうち、宇津木以外新たなメンバーとして招集したというコトで、新たな期待を寄せながら私は観戦させてもらいました。 しかしその期待とは裏腹に、第1戦の対ノルウェー代表戦で、裏切られてしまった感がしました。と申しますのは、先発メンバーを見て、ロンドン五輪の対南アフリカ戦の試合での嫌な記憶を蘇えさせられたからです。

 ロンドン五輪での南アフリカ戦で、主力選手を温存し、それに加え引き分けを狙った試合に、私は大変不満を感じていたのです。今回の緒戦の対戦相手が過去の世界女子サッカー界でトップクラスだったノルウェー代表であり、佐々木監督自身も“なでしこジャパン”の新たな門出の大事な試合であったはずです。

 下記の先発メンバーを見て下さい。

GK久野、DF川村優、岩清水、長船、加戸、MF川澄、山崎、田中明、川村真、FW小川、
大滝。このメンバーで五輪組はDF岩清水、MF田中明、川澄の3人と現在欧州でプレーしている大滝だけが経験者。

この大会前に国内合宿をしていましたが、あのときはまだ代表メンバーは決まっていませんでした。ですから、大事な緒戦で、しかも強豪相手に、いきなり未経験な選手8人を応用したのには、正直いって驚きました。 

選手の立場にしてみれば、嬉しい反面経験の浅い選手同士で不安があるコト、監督やコーチの前でアピールしたい反面失敗を恐れるコトが考えられます。しかし、監督やコーチにしてみれば、早いうちに、未知の選手たちを試してみたいという思いがあったかもしれませんが、即席のようなチームで自分の能力を発揮するコトの難しい面があるコトを、コーチングスタッフが、選手の心理状態を考慮していなかったように感じました。

 その心配が試合開始早々から表れました。前半15分ノルウェーの選手が左タッチライン際をドリブルで日本の右サイドバック川村優理を軽くかわし、ゴールラインに沿って持ち込み、角度のない位置からシュートを決めあっさりと先制点。このとき川村は追跡したが間に合わなかったけれど、カバーに入るべきセンターバックの岩清水が、プルバックを警戒してタックルに入らず、逆にダイレクトシュートのスペースを相手に与えゴールを決められてしまったのです。

 このゴールは川村のミスと報道されていますが、カバーに入れる詰めの時間が十分あったベテラン岩清水のミスでもあったのです。その後も川村が軽くかわされ、ゴール前へのクロスを相手に飛び込まれきれいに右足でシュートを決められ、追加点を許してしまったのです。残念ながらその後の試合、川村理選手は出場機会が与えられませんでした。

 後半、川村は有吉と交代、左の加戸が右サイドバックに、有吉は左サイドバックに入った。その後も高瀬、鮫島、田中陽、大儀見、永里が入って挽回を狙ったが、動きがチグハグで、終始ゲームはノルウェーペースで展開。試合の結果は0−2で敗戦。

 第2戦の対ドイツ戦では、先発に、

GK海堀、DF有吉、岩清水、熊谷、鮫島、MF高瀬、田中明、宇津木、川澄、FW田中美、大儀見。

この試合は後に引けない大事な試合で、主力メンバーを揃えました。特に注目を浴びたのは、佐々木監督が合宿で特に印象づけられたU-20のFW田中美南を抜擢したたコトです。(私もこの選手をU-20で注目していた)

 田中は期待に応えて日本に初得点をもたらしたのでした。彼女のプレーの特色は、スピードがあって、積極果敢にアタック、パスを受けるのにもカラダを張ってトラップするなど、同点ゴールを決めたシュートなど、堂々とした構えから正確にキチッと決めたあたり、新人とは思えない立派な得点でした。

 高瀬と川澄も絶好の得点チャンスのシュートをゴールの枠内に決められず、同点のチャンスを逃がしたのはおしまれますが、これこそ日本サッカーの大事な課題なのです。

 最初の日本の失点は相手のシュート前にハンドがあったのですが、主審が見逃し得点を許してしまったのは残念。ドイツの2点目はGK海堀の判断ミスで相手に得点を与えただけに、惜しい結果になってしまいました。しかし、結果の1−2の敗戦はともかくとして、五輪組選手の経験値の高さを感じさせられた試合内容でした。

 第3戦のデンマークとの試合の先発は、

GK山根、DF加戸、岩清水、熊谷、鮫島、MF中島、田中明、宇津木、川澄、FW大儀見、
永里。

この試合もデンマークに押されながらも、少ないチャンスをものにして、2−0で勝利。最初の得点は、川澄の左サイドからのクロス気味のシュートが、GKの頭を越えファーポストの内側に吸い込まれるという幸運もあり、2点目は中盤で宇津木が相手のミスで拾ったボールを、前線で構えていた大儀見に絶好のパスを送り、大儀見は冷静にトラップしてGKをかわし、無人のゴールにシュートを決めたのでした。

 この試合で注目を浴びたのは190センチ以上の長身ゴールキーパー山根でした。まだGKとして身のこなしが未熟なところがありますが、パントキックでは男並み、日本では珍しい、待望久しき長身GKの成長を期待したいと思います。交代で、高瀬、田中美、山崎、小川が入った。

 5位決定戦の対中国戦の先発は、

GK山根、DF加戸、熊谷、長船、有吉、MF中島、山崎、宇津木、川村真、FW大儀見、大滝。

この試合は東アジア選手権の前哨戦ともいえる試合で、どう戦うか注目しました。結果は後半22分中島の右サイドからの好キックをファーポストの外に構えていた大儀見が冷静に決めて、1−0で勝利。しかし、この試合、相手選手と激突したDFの長船が鼻の骨折で退場したのは残念でした。一日も早く全快し復帰してほしいですね。この試合の交代は、MF田中美、田中陽、FW高瀬、小川が入った。

 この大会の“なでしこジャパン”の試合を振り返ってみると、このブログで記載しました藤田一郎さんが、男子日本代表のユースの問題で指摘したコトがそのまま当てはまっていると、私はそう感じました。相手の選手に後からプレッシャーをかけられると、あっさりバックパスしたり、あわてて横にパスして、相手にカットされ、カウンター攻撃をくわされたりで、まだまだ、五輪組のレベルに達するのには時間がかかるであろうコトと、感じました。それに欧州で活躍している選手たちのフィジカル面がよくなかったコトです。

最後に、コーチ陣に注文したいのは、初経験の選手に対し、「失敗を恐れず相手と頻繁に接触プレーを楽しめ!」というぐらい、挑戦的な気分でプレーできる雰囲気をつくって欲しいというコトです。と申しますのは、アシスタントコーチが戦術盤を使って選手に細かい動きを説明している姿を見たからです。これらの選手に必要なのは、戦術面より、欧州選手の強い当たりを直接体感するコトが、どれだけ今後の財産になるのか、そういう体験があってこそサッカー選手として貴重な内部感覚を養うコトができるのですが、あっさりバックパスを繰り返してたら、折角欧州まで出かけて、貴重な体験ができるチャンスを自ら放棄してしまうコトになるのです。

今回の4試合で日本がゲームを支配した試合は一度もなかったという現実を謙虚に反省して、コーチ陣も選手強化に励んでもらいたいと思います。

“なでしこジャパン”は、現在「世界選手権保持者」であるコトを、佐々木監督はじめコーチ陣に再認識してもらい、目標に向かって真摯に取り組んでもらうコトを期待し、蜻蛉の感想を閉じたいと思います。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ!

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