
昨日22日は、このブログの『蜻蛉ちゃんのサッカー』の一周年記念日でした。昨年の今頃の私は、「ブログとはなんぞや!」という心境で、パソコンをワープロのように使って、やりはじめました。
私が日本に一時帰国した目的は、私のサッカー人生(日本とペルー)60年の間に学んだコトを、後世に遺すべく綴った原稿を、本にして出版するコトでした。
しかし、現実の日本の事情はペルーで想像していた以上にサッカーが国民に浸透していて、しかもサッカーに関する出版物も多種多様で、知名度の高い人の著書が多く、無名の者の著書などは見向きもされないのではと判断しまして、今日までどこの出版社とも交渉せず、コリン星のようにチャンスを待っている次第です。
この蜻蛉ちゃんのサッカー2冊分(本)の題名は、
1:ワールド・カップ制覇は夢ではない、
日本独自の民族性を活かした変幻自在の『土俗的な忍者式サッカー』
2:世界のトップをめざす日本サッカーのために、
『サッカー文化と異文化の内外相合』
このブログでは原稿の一部を抜粋していますが、私の構想にある日本サッカーについての見方や感じ方、それに考え方は文章の中で記載しておりますので、少しずつご理解いただけるのでは、と思っております。
本の出版に関して、もしどなたかご相談にのっていただければ、ぜひ私のメール宛にご一報くださるようお願い申しあげます。
前置きが長くなってしまいましたが、きょうは、このたびのクラブW杯観戦記の総評を述べてみたいと思います。3位決定戦については、そのなかで合わせて述べるコトにします。
広島と対戦したオセアニア代表のオークランド(ニュージーランド)は、唯一のアマチュアクラブでした。また、日本人の岩田選手が左サイドバックで出場していましたね。上背が高く、オーストラリアのように力強さがあり、守備面ではその特性が活かされていましたが、攻撃面では、残念ながら、DFラインを下げ過ぎたのか、相手を脅かす積極的なプレー、たとえば、ゴール前にロビングパス(クロス、CK,,FK)を入れて(上背の利を活かして)ヘッドで決める、というパターンがあるのに、それらが見られませんでした。
アジア代表の蔚山・現代(韓国)は攻撃陣の先鋒FW(ワントップ)の長身(196cm)キム・シンウク選手にロビングボールを集めていましたが、その戦法をあらかじめ読んでいた(対戦相手のモンテレイと広島の)相手DFにクリアーされて、ほとんど機能していませんでした。そのため、エースのFWイ・グノの強引とも思えるプレーと外人選手の動きが多少目立った程度でした。得点はイ・グノのミドルシュート(対アルアハリ)と自殺点にFK(対広島)で計3得点。守備の面でも、アルアハリと広島に各3失点、2試合で計6点という結果で、アジアのチャンピオンとして時折韓国らしいアグレッシブなプレーがありましたが、全体として期待を裏切った感がしました。
5位のJリーグチャンピオン広島サンフレッチェは、対オークランド戦で相手の守備一辺倒の作戦に悩まされ、広島の良さが出せませんでしたが、対アルアハリ戦では広島らしいパス攻撃でボールを支配し、相手DF陣を脅かしましたが、味方のDFに2つのミスがあり、それで負けたのは惜しまれます。対蔚山戦では最初と最後にミスによる得点を相手に献上しましたが、攻撃面で、キャプテンFW佐藤の活躍とMFが機能していました。広島の得点源であるエース佐藤が2得点と1アシストしてアジアのチャンピオンであり宿敵ライバルでもある韓国のチームに勝ったコトは、日本サッカー界にとっても喜ばしいコトです。
あえて苦言を申すならば、4つのエラーによる4失点とMFの動きが物足りなかった、というマイナス面がありましたが、それを今後の課題として修正すれば、このチームはまだまだ伸びしろがある、という印象を感じました。
アフリカ代表のアルアハリ(エジプト)は対広島戦では雪による寒さと時差による影響か、本来のダイナミックなスピードのあるサッカーが陰を潜めていたようです。そのためか広島にゲームを支配され、自陣で守る時間が長く苦戦していました。しかし幸運にも相手DFの2つのミスで2得点を獲得。守備面で同点ゴールがありましたが、辛うじて勝ちました。対コリンチャンス戦では、本来の調子を取り戻し、エジプトらしい縦横な動きで、寒さで動きの鈍い、コリンチャンスを悩ませました。不運にもチョッとした虚を突かれ、相手のエースストライカーにヘッドで決められ、相手DFを破るコトができず敗れました。
3位決定戦のアルアハリ対北米中米カリブ代表モンテレイ(エジプト)戦は両チームは比較的にオープンスペースを空けて攻防。そのため攻守の入れ替えが激しく行われていましたが、最終DFラインが浅いアルアハリの裏をついて、モンテレイが先制点を決めました。その後、チェルシー戦で崩れたDFを立て直したのか、相手の猛攻にも耐え、後半にカウンターから追加点を入れて2−0でモンテレイが勝利。
この試合私は、モンテレイを仮想日本、アルアハリを仮想中東のヨルダンとイラクとして観戦していました。この試合結果にありますように、日本が中東に攻めさす作戦も成功する可能性が高い、という感触を得ました。アルアハリの問題はDFラインが浅いため、後ろに大きな攻撃スペースを相手に与えてしまうリスクがある、というコトです。そのコトは日本代表のDFにも該当すると思います。
3位になったモンテレイは、対蔚山戦でメキシコのチームらしくアグレッシブな動きと長短を交えたパスワークでゲームを支配、最後相手に1点を許したものの、3点先取して楽勝。準決勝の対チェルシー戦は、右サイド守備が崩壊し3点を許し、最後に1点を返したが完敗。しかし、この試合の得点差ほど実力差があったとは思えませんでした。チョッとした気の緩みからその隙間を相手にうまく突かれた、と言えそうです。
優勝候補筆頭だった欧州代表のチェルシー(イングランド)はメキシコ戦で楽勝したものの、対コリンチャンス戦でメンバーを相当入れ替えたコトが影響したのか、対モンテレイ戦のように選手間の連携がうまくいかなかったように感じました。
「ゴールを決めるべきチャンスに決めないと、それが敗戦の結果(要因の1つ)として現れる」、という1つの例を示してくれたようです。
「惜しいかな?」とか「あれを決めてれば」という悔いを残す言葉に表れてしまうわけです。それがサッカーに限らず、あらゆる勝負事の難しさであるようです。
優勝した南米代表のコリンチャンス(ブラジル)は、対アルアハリ戦では、寒さで、本来の調子を出さなかったのか、前半に先取点を決めて、対チェルシー戦を意識した戦略で手の内をかくしたのかどうかは分かりません。しかし、DF陣が相手に押されても崩れなかったコトは、チェルシー戦でも得点に絡む危険な場面があったのですが、無失点で耐えた要因であり勝因でもあったように、私は感じました。
最近の例にある、日本がフランスとのアウェー戦で守って勝った試合を評して、「守備的な戦術から勝ち点を拾う、言わば弱者のサッカー」というコメントがありましたが、そういう考えが「勝ってる試合を時間を稼いで逃げ切る」、というのを「卑怯なサッカー」ととらえるところに、日本人の考え方に問題がありそうです。
その典型的な例が「ドーハの悲劇」だったのですが、時間がたつと他の問題が目先にあって、過去の教訓を忘れてしまうのでは、という感じを私は持っています。
ブラジルのコリンチャンスがバックラインを引いて守っても、誰も批判しませんよね。同じように引いても相手に大敗するケースはあるのです。
現在の日本代表が相手陣内でボールを支配するのが当然かのように常識になっていますが、それに固守すると、そうならない場合、新たな問題が起きて、その常識に対しても不安になり、「方向転換すべきだ」、という意見が出てきて、知名度の高い実績のある監督やコーチの意見を求めて結論をだす、という筋書きになるのではないですか?懸念を感じています。
変則的なトーナメントのこのW杯は、準決勝までの様子では失敗のように思われましたが、決勝戦で横浜のスタジアムを大観衆で埋めて、しかも気候もそれまでの寒さとは打って変わり気温が上昇し、プレーする選手にも、また、観衆にとっても絶好のコンディションの下で行われたのは幸いでした。
そのお陰でしょうか、得点こそ1点でしたが、両チームは力を最後まで出し合って、内容のある素晴らしい試合をしてくれましたので、それまでの物足り不満を一気に吹き飛ばしてくれました。
スタジアムの半分を3万人(広島のスタジアムを満席する人数)のサポーターで埋めつくし、南米のスタジアムのような応援で舞台を盛り上げてくれたコリンチャンスのサポーターこそ、クラブ世界一の名に相応しいと思いました。
以上で、2012年のクラブFIFA・W杯サッカー観戦記のページを閉じることにします。
グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ
蜻蛉ちゃんコト竹嶋住夫のE−メール:sumiotakeshima@yahoo.co.jp