Japan Soccer 50年

2012年12月11日火曜日

クラブFIFA・W杯サッカー観戦記 (2)


こんにちは! 蜻蛉です。 昨日(9日)クラブW杯の試合が行われました愛知県の豊田スタジアムは、雪が降っていましたね。

雪で想い出されるのは、今から約30年前、現在のクラブW杯のベースにもなっていますトヨタカップ“インターコンチネンタル杯”、欧州代表FCポルト(ポルトガル)対南米代表ぺニャロール(ウルグァイ)の試合です。

その日は大雪で、国立競技場のピッチは雪で覆われ、それこそ雪合戦の様相のゲームでした。またその試合前には黙祷がありました。
その年の12月8日、ペルーのプロサッカークラブで、最も古く、もっとも人気のある“ALIANZA LIMA”(アリアンサ・リマ)の選手団を乗せた軍用機が、ペルーの地方都市プカルパからの帰途、ペルーの首都リマ市の海上に墜落し、パイロット1人が救助された以外、乗務員、団長、監督・コーチ、選手、審判、応援団が全員死亡するという大事故がありました。その黙祷は、事故で亡くなられたサッカー関係者への、冥福の祈りだったのです。

当時のアリアンサは、将来ペルーサッカー界を背負うだろうと目されていた選手が揃っていましたから、それこそペルーの国民にとっても、もちろん私にとっても大ショックでした。

それまでペルーはW杯に2回連続出場していましたが、86年のメキシコ大会から2010年の南アフリカ大会まで出場できないのは、その事故のショックの後遺症が尾を引いているかのように思われます。
日本サッカー界にとってもこの事故は他人事ではありません。それも飛行機とは限りません。すべての面で危険防止の安全対策を怠らないコトが大切だと思います。

Hisato Sato (R) of  Sanfrecce Hiroshima challenges with Ahmed Fathi (L) and Wael Gomaa (R) of Al-Ahly SC during the FIFA Club World Cup Quarter Final match between Sanfrecce Hiroshima and Al-Ahly SC at Toyota Stadium on December 9, 2012 in Toyota, Japan.さてきょうは、昨日のクラブW杯準々決勝、Jリーグ代表広島サンフレッチェ対アフリカ代表アルハアリ(エジプト)の試合のコトについて語り合いましょう。

この試合、広島にとっては残念でしたが、サッカー関係者やファンにとっても、

「ゲームを支配しましたけれど、勝負で負けてしまいました」

という事実(サッカーのゲームはこういうコトが起こるのだ)を、ぜひ教訓として銘記しておいてもらいたいと願います。 

 この試合、立ち上がりから広島は、ボールを支配しながらゲームの主導権を握っていましたが、GK西川がゴール前の混戦で相手選手と激突して、顔面を負傷して退場するというアクシデントがあり、増田と交代。

 それが多少影響したのか、前半15分、広島の左サイドにミスがあり、相手選手に右サイドから簡単にドリブルでゴールライン際までフリーにボールを持ち込まれ、プルバック(斜め後方へのクロス)によるパスで、ゴール正面に位置していたMFハムディに、軽く左ポストの内側にプッシュされ、先制点を奪われました。

 この得点で、国際試合の経験が浅く、しかもGK交代による守備面の不安という焦りから、広島は自己崩壊するのではと心配されました。

第一戦の対オークランドとの戦評にて、

「DF陣が相手が攻めてこないのに前線に縦パスを入れたり、サイドからクロス

をゴール前に入れたりで、相手のDF網を破る破格的なプレーが見られない」

コトを、私は指摘しました。  

しかしその後の広島は、前の試合とはうってかわって、最終ラインの選手たちが、しっかりとボールをキープして、攻撃の起点になろうという姿勢がプレーの随所にて現れていました。これら一連の動きが、相手DFラインを前進させ、その裏にパスを入れて、両サイドの選手が再三フリーで抜け出し、ゴール前にクロスして、得点かなと思わせるシーンが何回かありました。

前半32分、左からのコーナーキック(CK)からMFミキッチがヘッドで右斜め前に落とし、エースストライカーの佐藤が右足(彼は左きき)で狙いすませたかのように同点弾を決めました。その後も、決定的と思われた勝ち越し点のチャンスもあったのですが結実せず、前半1−1の同点で折り返しました。

この日の2列目の攻撃陣、ミキッチ、森崎浩司、高萩、清水のラインの動きが前後、左右にボールを動かし、相手のDFをよく引き出していたプレーも、相手の裏のスペースに再三突破できた要因であったように思われます。

後半も同じペースで展開していましたが、不運にも、後半12分、相手の縦へのロビングによるパスが、広島ゴール前ペナルティライン上で、センターバックの千葉が相手のエースストライカーであるアブトレイカに競り負け、勝ち越し点を許してしまいました。

このときの千葉のポジションは相手の後ろに立たず、前に立っていたため、ボールをヘッドで捕らえられず後方に落としてしまい、相手にフリーで奪われシュートさせてしまった、という致命的なエラーをおかしてしまったのです。

この日の広島はJリーグのチャンピオンらしく最後まで諦めず、アフリカのチャンピオンを相手に堂々と互角以上に攻めまくっていました。後半35分、バックラインを抜け出した佐藤がフリーで、GKと1対1で向き合い、左足でシュートして、決まったかな?と思われましたが、ボールは惜しくも右ポストの外に逸れてしまい、絶好の同点チャンスを逃してしまいました。

前に述べましたように、広島は勝って当然と思われるゲーム展開をしながら、守備における、たった2つのエラーがそれぞれ得点に結びついてしまい、しかも得点できたと思われた場面で決めるコトができず、結果的には勝負で負けてしまったわけです。この教訓は日本サッカー界全体の問題であり、指導者の重大な課題です。

この試合の前に、アジアのチャンピオンのウルサン・ヒュンダイ(韓国)と北中米カリブチャンピオンのモンテレイ(メキシコ)との対戦がありました。

試合の結果はモンテレイが3−1でヒュンダイに勝利、準決勝で欧州チャンピオンのチェルシー(イングランド)と対戦します。

おそらく日本のサッカーファンの方々は、優勝戦はチェルシーと南米チャンピオンのコリンチャンス(ブラジル)との対戦を期待しておられるでしょうが、サッカーの指導者や選手には、メキシコのサッカーを特に注意して観戦して欲しいのです。と申しますのは、近年のメキシコサッカーは、南米諸国対抗のコパ・アメリカ、クラブ対抗のコパ・リベルタドーレス、コパ・スーダアメリカーナの大会に特別招待され、南米サッカーで揉まれながら強化されてきております。しかも日本のように欧州の進んだサッカーも導入し、その上、下部組織の育成も積極的に推進し、世界トップレベルを
目指し、真摯な態度で取り組んできております。

ロンドン五輪でブラジルに勝ち金メダルを獲得したのもフロックではありません。長期にわたって着実に努力を積み重ねてきた結果なのです。

「なぜメキシコサッカーに関心をよせてもらいたいのか?」

それは日本サッカー界が目指している目標とサッカースタイルがよく似ているからです。それに体格的にもよく似ています。

チェルシーという「名」より、モンテレイという「実」の方に注目してもらえれば、日本サッカーの課題にあるストライカーの問題ついても、参考になる「ヒント」が見つかるかもしれません。

最後は余談になりますが、モンテレイの得点を決めた選手の名前がコロナ選手とデルガド選手と日刊スポーツに記載されていましたが、スペイン語ではアクセント記号がなければ、語尾の母音の手前の母音にアクセント(記号なし)があり、「コローナ」と「デルガード」とそれぞれ発音するのが正しいようです。 

たとえばトヨタ自動車に「カローラ」という車がありますように、「カロラ」ではありません。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

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