Japan Soccer 50年

2012年10月24日水曜日

サムライブルー日本対フランス戦とブラジル戦を観戦して (2)


こんにちは! 蜻蛉です。 プロ野球日本シリーズは巨人対日本ハムの決戦になりました。Jリーグの優勝争いも仙台と広島に絞られたようですね。現在日本のプロスポーツ界をリードする野球とサッカーファンにとっては、最後まで見逃せない、つばぜり合いの展開になることでしょう。


きょうは、前回、日本対フランス戦での、日本のカウンターアタックに対するフランスの守備の問題点を2つ、皆さんへの課題として取り上げましたので、その問題についての、私の考えを述べるコトと対ブラジル戦について感じたコトを述べようと思います。

誤解しないでいただきたいのは、私の考えが正しいと思って述べているのでない、というコトです。意見交換しながら、「アー、そういう見方や考え方があるのか」というコトを「知りたい」からなのです。

さて、前回取り上げた2つの問題から始めることにします。

問1 フランスは、なぜDFの今野にピッチ半分(約50メートル)の距離をフリーでドリブルするコトを許してしまったのか?

問2 フランスの3人のDF陣はズルズルゴールエリアまで、なぜ後退しなければならなかったのか?

 最初の問題は、対日本戦のフランス代表の立場は、たとえ親善試合であっても、W杯予選の対スペイン戦が数日後に迫っており、期待する国民に対しても、地元の試合ですから、内容と結果(チームとしても個人でも)を示さねばならない状況にあったのでは、と思われます。

 内容としては、前半圧倒的にゲームを支配し得点のチャンスもかなりあったのですが、結果を示す肝心の得点に結びつかず、最後は、「勝たねばならない」という焦りがあったようです。

最後のセットプレーでは結果を出そうと、キッカーを除いて6人がペナルティーエリア内に位置していました。守備にはGKを除いた3人の布陣でした。体形としては、別に異常はなさそうなのですが、問題は選手たちの心理に、日本の攻撃に対する、守備という意識と、カウンターアタックに対する備えが、まったくと言っていいほどなかったように思われます。

DF今野がボールを拾って抜け出たときの前の状況は3対3でしたから、今野に対するマークが1人もいず、無人の原野を疾走する馬のように、フリーのドリブルを許してしまったようです。

第2の問題は1のコトにも関連するようです。守備の原則には、防御するためのライン(あらかじめ選手同士で約束している線)のブロックを布く守備戦術の基本があります。しかし、このときのフランス守備陣の3人(本来のDFの選手ではなかったようです)は、中途半端にズルズルとゴール前まで後退し、日本の4選手にプレッシャーをかけるコトなく、フリーに攻撃するコトを許してしまったようです。

あのような状況の場合、オフサイドトラップを考慮し、どこで勝負をかけるか、センターにいる選手の位置と決断が重要なコトなのですが、その機会を失ったため、今野から長友へのパスと長友のクロスを香川が決勝シュートを許してしまうというエラーをおかしてしまったようです。この間、誰もマークやタックルに入れないという、欧州の一流国らしくない無残なプレーで敗戦に追いやってしまったようです。

このようなケースは、日本がアジアのチームとの試合でゲームを支配するときに、同じようなコトが起こりうると想われたからこそ、問題として取り上げてみました。

さて、日本の対ブラジル戦ですが、4−0で完封されました。最近ブラジルは、タイトルという面で、チームとしても個人でも、結果を出していなかったためか、過小評価されているきらいが日本ではあるようです。たとえば、FIFAランキングで、ブラジルは14位だそうですが、本当にそう思いますか? 

日本に一時帰国して以来、特に感じているコトは、マスコミの表現による仕方に、偏見があるのでは、という感じがしたからです。

たとえば、サムライジャパンの評価が膨らむのに従って、世界とトップクラスの国の評価が凋(しぼ)んでいくような感じを受けるのです。

ここで挙げたFIFAランキングは何を基準にして決めているのでしょうか。その数字で、格上とか格下という表現をされているようですが、ブラジルより上位にランクされている国々が、「格下のブラジル」という表現ができる国はあるのだろうか?

また最優秀選手選出にFIFAが絡んでいるのも、なんとなく茶番劇のように私自身感じています。サッカーはチームゲームだ、と言いながら、ポジションに関係なく選出するなど、サッカーの本質をFIFA自体が崩しているように感じます。このような姿勢ですから、審判の問題も、判定の機器に頼らず解決していこう、という毅然とした態度や姿勢が見られないようにも感じています。

ブラジル戦での、日本のスタメンはGK川島、DF(右から)内田、吉田、今野、長友、MF(ボランチ)長谷部、遠藤、(アタッカー右から)清武、中村、香川、そして、FW(ワントップ)本田の布陣でした。 

前半の10分までは、ブラジルのスロースタートに乗じて、リズムのある展開で、パスをつなぎ、得点のチャンスもありましたが、12分、ブラジルのMFパウリーニョにゴール正面からミドルシュートを決められ、その後DF今野のMFカカに対するチャージがPKにとられ(?)、ネイマルが決めてから、ブラジルペースの展開になり、ブラジルの一方的な試合で、後半にも2点追加され、日本は負けました。

ブラジルサッカーは見た目には、欧州のトップチームのようなスピード感はないようですが、実際に対戦する選手からすると、独特のプレーのスピード感に奥行きがあって、しかも、リズムに緩急があり、そのシッポを掴めないのです。

たとえば、ブラジルの最初の得点では、縦横な動きによるドリブルとパスで、DFとMFの間が寸断され、そのできた空間に、ボランチのMFが飛び込み、アッという間にシュートを決められてしまったわけです。

ブラジルの特色は個人個人の卓越した技術(特に内部感覚によるコントロール)とパスとドリブルを駆使した左右の波や上下の波のような揺さぶりをかけて、空間を切り開き、その瞬間、スパッとゴールを決める能力があるため、相手の能力を制限させたり、封じるコトができるのです。

日本のアタッカーのように、守備のために、(犠牲的な動きで)ハーフラインを超えて自陣まで相手の選手を追う、というコトはマレです。

もうひとつ、長友の2試合のプレーを比べてみればよく分かるのではないでしょうか。フランス戦での長友は左サイドを抉(えぐ)るようなプレーを発揮して、フランスのDF陣を再三脅かしました。しかし、ブラジル戦では、そのようなプレーは影を潜め、守りに徹していたかのように感じました。

ザッケローに監督は本田のワントップでスタートさせました。最初は良かったのですが、いつの間にか、そのポジションから本田が消えて、トップ不在になっていたようです。これは監督の指示だったのか、選手間で決めたのか、それとも本田自身の判断なのか、はなはだ疑問に感じました。

ドイツのクラブで出場できないキャプテン長谷部は、ブラジル戦では調子を上げていたのですが、お決まりかのように、細貝と交代させたのも、腑に落ちない印象を受けました。キャプテンという立場と選手としての信頼という意味と、彼自身のプレーヤーとしての自信回復の意味で、交代さすべきではなかった、と感じました。

取り留めのないコトを述べてきましたが、日本のサッカーは一挙に世界のトップに駆け上がるコト(目指すのは良いが)より、名実共にアジアで群を抜く実力を蓄えるコトを期待します。

サッカーが意外性のあるスポーツですから、どこの国にもチャンピオンになる可能性はあるのですが、現実は世界200カ国以上で、W杯優勝国の数はたったの8カ国だけなのです。日本が強くなったのは確かです。しかし日本よりランキングは下でも実力は上の国はいくらでもあるのです。

サッカーの発祥国イギリスはW杯に1回優勝しただけですが、衰退するどころか、国内リーグは名実共に世界のトップを維持している事実に注目してほしいのです。これは私のつぶやきです。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

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