さてきょうは、昨夜(14日)中東オマーンのマスカットで行われた、2014FIFA・W杯(ブラジル開催)アジア最終予選、日本代表対オマーン戦のコトについて、話し合いたいと思います。
正直なところ、私は日本が「勝つ」とは期待していませんでした。「引き分けならば満足だ」ぐらいに思っていました。しかしその結果は、予想を上回る、2−1という、好ましい結果(勝利)を出してくれました。
今回の予選の目標は、W杯本大会出場権(キップ)を獲得するコトが第一.、それと並行して、本大会までに、世界の強豪と伍して戦えるだけのレベル向上を目指すコトであったように思われます。
ザックジャパンは、この2つの大目標を達成すべく、これまで邁進してきていますが、今回の勝利によって、第一の目標はほぼ達成できたようです。
昨日の試合を観戦して私が感じたコトは、日本が良かったというより、ホームのゲームとは思えないような、オマーンの中途半端で不甲斐ない戦いぶりでした。
この試合の日本スタメン(交代選手)は、GK川島、DF(右から)酒井宏樹、吉田、今野、長友、MF(ボランチ)長谷部、遠藤(高橋)、(アタッカー右から)清武(細貝)、本田、岡崎、FW前田(酒井高徳)。
試合開始早々に、日本は大ピンチ、オマーンの選手は右サイドから抜け出て、ゴールライン沿いから無人のゴール前にグラウンダーのクロス、そこに飛び込んできた選手がダイレクトシュートしましたが、バーを越えて得点にはなりませんでした。
このシュート失敗が勝負の明暗を分けてしまった、と言えるほど容易に得点できると思われたシーンでした。
日本は、前半16分に、右からのクロスをMF岡崎がヘディングシュートしたあたりから攻撃のリズムが出てきました。
前半20分、日本は中盤からDF今野が、左サイドラインを走り抜けるDF長友に縦パスを送り、絶妙なトラップをした長友はゴール前にクロス、相手DFの足に当たりゴール前にこぼれるところにMF清武が飛び込んで左足でプッシュして先制点を決めました。
日本はこの1点を守り前半を終了。
心配されていた猛暑の影響があったのは、エースのMF本田とDFの要の吉田が目立ったようで、その他の選手はそれほど影響を受けたと思われるような感じはしませんでした。
前半戦で驚いたのは、ホームのオマーンが攻撃を仕掛けないで、逆に、日本に攻撃させ、カウンターを狙う作戦に出たコトです。これで日本は自分たちのペースで試合運びができた分、猛暑によるエネルギーの消耗をある程度抑えるコトができたようです。
後半戦は照明がつき、気温も下がってきたコトで日本の選手に有利になったように思われます。それにオマーンのカウンターを防ぐために、日本の得意な横パスを少なくして、果敢に相手のDFラインの裏にパスしたり、くさびのパスを入れたりして、相手の出鼻を挫(くじ)く作戦が功を制したのか、オマーンがなかなか得意の速攻が活かせなかったようです。この縦へのパスは、ザッケーローニ監督が選手たちに以前から指示していたコトです。パスは不正確でしたが、監督の意図が選手たちに浸透したように感じていました。
ところが、後半30分過ぎ、左サイドを突破したDF長友がクロスしたボールが相手DFにカットされ、速攻のカウンターを食らい、DF吉田が相手を制止させるために反則をおかし、オマーンにフリーキック(FK)を与えました。
この吉田の反則はしょうがないと思われたでしょうが、私は彼自身が正常な状態だったら反則しなくとも防げたと感じました。この試合の吉田は、判断力がまったくと言えるほど機能していない、と私は感じていました。猛暑の影響だけでなく、イングランドの彼の所属しているクラブでのプレーにしてもあまり機能していないようで、彼自身、プレーに(スランプのような)迷いがあるようにも感じました。
このFKに対し、4人の壁で対応しましたが、相手のキッカーが蹴った瞬間、(ゴールから見て)左端の選手(岡崎?)がジャンプした足元を通過して、GK川島の左にシュートが突き刺さり、同点ゴールを許してしまいました。
この得点までの経過から覗くと3つのエラーが日本側にあったようです。その1つは、容易にカウンターを許してしまったコト、2つ目は、吉田のエラー、3つ目は、壁の選手のエラー(壁は動いてはならないはずです)、というように、エラーが連鎖した、と思われます。
この試合の最後に、日本に幸運をもたらしてくれたのは、内田篤人選手のケガによる欠場で、最後に、急遽召集された酒井高徳選手でした。
ザック監督が最初の交代選手FW前田に代え、DFの酒井を指名し、ポジションを左サイドバックに、長友を左のMFに前進させ、その後、MF清武に代えてMFボランチ細貝が入り、遠藤をトップ下に前進させ、本田のワントップ、右のMFアタッカーに岡崎、というように、選手のポジションを大幅に変えました。
それが結果を出すとは想像もつかなかったのですが、後半44分、左サイドから酒井高徳がスピードのあるドリブルで相手のマークを交わし、ゴールライン際からドリブン(ライナー性)のクロスを入れ、遠藤が予測していたかのように二アポストの手前に飛び込み、飛び蹴りのようにして右足のアウトでかすめゴール前に流し、そこに飛び込んできた岡崎がカラダを投げ出すように左足でプッシュし決勝ゴールを決めました。
前回のブログでサムライブルーではなくザックジャパンとしたのは、今回のサムライブルーは選手たちの力だけでは解決できない、多くの難しい問題があり過ぎて、その課題を克服するには、監督の手腕に頼らなければならないという理由からです。
幸いにも監督のヒラメキが、日本の勝利を導いてくれたと私は感謝しております。
一方のオマーンのルグエン(フランス人)監督のホームらしからぬ消極的な采配には疑問を感じました。
2002年の日韓共催FIFA・W杯の日本対トルコ戦でのトルシーエ(フランス人)監督の率いる日本代表も、それまでの試合振りと打って変わり、今回のオマーンのようであったコトが想い出されます。
この試合の90分を通して、オマーンの選手から、「1位の日本を蹴落としてやろう」、という気迫がまったく感じ取れなかったのも、監督自身の、この試合にかける、意欲が選手たちに伝わらなかったようにも思えます。
ルグエン監督は「現実を直視しなければならない。我々は非常に優れたチームと対戦した」という談話を試合後に述べていますが、如何にもフランス人らしい表現で、選手たちの意欲を焚きつけるような言動が現れていない感じがしました。
日本選手のプレーで疑問に感じたコトは、おそらく監督がもっと「ボールを前に放り込め」という指示があったかもしれませんが、相手のオマーンが引いて前に出てこないのに、なぜ前にパスを入れなければならないのか?、というコトでした。
勝っている試合なのに、余分なリスクと体力消耗という悪循環を、自ら作り出しているプレーには、まったく理解できません。たとえ監督が指示していても、その場での状況判断は選手自身にあるべき、そこに外人監督の指示の意図と日本の選手の受け取り方というか認識の仕方の差があるようにも感じました。
エースの本田ですが、気温が30‾40度Cも違う環境に放り込まれ、調整時間もなくいきなり厳しい90分の試合をするのは酷である、と同情せざるを得ません。
本田は確かに本来のエースらしいプレーはできませんでした。しかし、その苦しさを表面に出さず、90分間ピッチで黙々と耐え、チームプレーに徹していた姿に、彼のエースとしての責任感が感じとれました。
他に個人的にも注文をつけたい選手もいますが、今回は余計なコトだと思いますので、後ほどの機会に述べることにします。
グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ
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