
期待されていました“なでしこジャパン”は辛うじてフランスに勝ち(2−1)、カナダに延長戦のロスタイムで勝利(4−3)した米国と、金メダルをかけた試合(日本時間10日午前3時45分)を行います。
一方の男子は残念ながらメキシコに逆転負けで、強豪ブラジルに負けた(0−3)韓国と銅メダルをかけたアジア同士の試合(日本時間11日午前3時45分)を行います。
さて、きょうは観戦記(5)と(6)に分けて、男女の準決勝の試合のコトと次の試合のコトについて話し合いたいと思います。(皆さんがご覧になられるのは、試合後になるかもしれません)
「なでしこジャパン」は監督と選手たちの集大成的な目標である金メダル達成にあと一歩までこぎ着けました。スゴ〜いですね。
なでしこの選手たちを覗いて見ますと、それこそ体を張って死守しているプレーには、強烈な執念と強運を感じさせます。
この試合のシュート数で見ますと、フランス27本(後半の1点)に対し、日本はたったの4本(前半の2点)だけで、後半戦はフランスの猛攻で日本は防戦一方(1度、大儀見のシュートがポストに当たったけれど)、その上、相手にPKまで与えて失敗させるなど、1点だけで押さえられたのが不思議なくらいでした。
なでしこの2得点はキャプテン宮間のフリーキック(FK)から生まれたモノです。
前半32分、相手ゴール約25メートル(右より)辺りから宮間がゴール前に右足でキック、相手GKがそのボールを手でキャッチしかけたが後ろにこぼし、落ちてきたボールをFW大儀見が倒れながら、相手のDFより一瞬速く、左足で軽くボールをプッシュして、先制点を決めました。2点目は、後半4分、同じような位置からのFKで宮間が右足でキック、ボールは弧を描きながらゴール前へ、MF阪口がピタリと頭で合わせてシュートを決めました。
後半、なでしこの守備で一番心配していました左サイドバックの鮫島が相手に簡単に振り切られ、ゴールライン際からプルバック(斜め後ろの方向へのクロス)のパスをだされ、そこに飛び込んできた相手にダイレクトシュートを決められ、一点差に詰め寄られました。その焦りから?、2分後に、ペナルティエリア内で阪口が反則して、相手にPKを与えてしまいました。幸運にも相手キッカーのシュートは右ポストの外側に逸れ危機を免れました。しかし、その後も、再三再四ゴールを脅かされましたが、相手のミスで敗戦を免れ、勝つコトができました。
この日のスタメンは、GK福元、DF近賀、岩清水、熊谷、鮫島、MF沢、阪口(田中)、宮間、川澄、FW大野(安藤)、大儀見。カッコは交代選手。
GK福元はこの試合の救世主と言える大活躍で、味方に声で指示して動かせ、素晴らしい判断力で、自ら相手のシュートをセーブ。
DFのサイドバック近賀と鮫島は、前進守備で相手にプレッシャーをかけるコトを忘れ、ズルズルと後退し、相手の侵入を容易にさせてしまったのが、苦戦の一つの要因です。また、クリアーが不正確で、しかも短く中途半端で、味方の攻撃に援護できなかった。この2人がしっかり機能しなければ、米国に勝つどころか、大差で負ける恐れがありそうです。GK福元とセンターバック岩清水と熊谷がいまのところしっかりと機能しているお陰で、失点を最小限で抑えている、と言えます。
DF陣がボールをキープしたら、逆襲でないかぎり、急いで前線に縦パスを入れないでDFとGKでボールをキープし、前線の選手にゆとりをもたせるコトと体力回復の時間を与えるコトが大切です。
MF阪口も攻守に活躍していますが、相手にPKを与える致命的なプレーをしてしまいました。それは彼女だけではなく、全ての選手にも当てはまるコトです。十分注意しなければなりません。沢はよい判断で危険な相手をタックルで抑えていますが、ボールの奪い合いで当たり負けしているコトもあり、誰かがそれをカバーする必要があります。攻撃の際もパスだけでなく得点に絡むシュートを決めて欲しい。宮間はFKとCKで、チームに大きな貢献をもたらしていますが、まだ、パスの精度が足りないようです。マークの仕方にも強さが足りません。川澄が攻守で霞んで見えるのはどうしてでしょう。攻守に中途半端で、鮫島との連携がうまく機能していないようです。米国にその弱みを突かれたら危険です。ですから熊谷、阪口、沢がどう対応するかが課題です。
沢と阪口も攻撃の場合はうまく機能しているのですが、相手が攻め込んできたとき、ズルズルと下がれば、DFのラインがペナルティエリア内になり、長身フランス選手同様というより、米国の強力な長身FWモーガンとワンバック等に、一瞬にヘッドで決められる恐れがあります。そのためにもラインを上げて守れるよう、MFとFWの守備も欠かせないのです。
FWの大野と大儀見も守備にも汗をながし健闘しています。米国に対しては先制点が絶対に必要です。ゴール前では執念を込めてシュートを決めてもらいたいですね。
私は、「フランスのサッカーは調子に乗せると怖いが、脆さがある」コトも指摘しました。しかし、米国はこの五輪で苦戦しながらも逆転勝ちで、ここまで進んで来ている実力のあるチームです。総合力から見て勝てる相手ではありません。
勝つためには、攻撃面で、対フランス戦のように、わずかな得点チャンスでもゴールする執念が必要です。相手からボールを奪ったら、正確なパスで、しかもパウサをいれながら縦横に繋いで、よいリズムに乗せるコトです。なぜならばミスパスで相手にボールを奪われますと、守りで体力が浪費します。フランス戦はそれが原因で、体力が落ちて、パフォーマンスが失われ、防戦に追い込まれたのです。
それに、なでしこのセットプレーも武器です。大いに活用するコトです。
アルゼンチンの元監督ルイス・メノッティは、
「戦術とは構築的なモノだ。そして予期せぬコトが起きる。動きのある世界においては、いかなる構築物もあまり意味がない」
「戦術を考えるのは監督とコーチの仕事。だがそれを実行する選手たちは機械ではなく人間だから、良くも悪くも予想外のコトもしてしまう。観る者は、その予想外の部分に酔い痺れ、嘆き、感動を覚えるのだ」
「完璧な戦術を考えておけば勝てる、というなら、それはテレビゲームであって、サッカーではない」
と述べています。
なでしこジャパンの選手全員がどれだけ集中して、ベクトルを合わせて、一体になってタイムアップの笛がなるまで力を出しきって戦えるか、チーム内に少しでも虚ができると、そこから崩壊するコトになる。これは、日本にも米国にも当てはまるコトです。
男子のコトについては、ロンドン五輪サッカー観戦記(6)にて、話し合いたいと思います。
「がんばれ! なでしこジャパン」
グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ
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