
さて、きょうからロンドン五輪のサッカーを中心に、皆さんと話し合いたいと思います。とは言いましても、私の情報はテレビとインターネットから得たモノですから限度があります。できるだけ将来の日本サッカー界のためになるような知識を皆さんと共有していきたいと考えていますので、ぜひ皆さんの見方、感じ方、考え方もお知らせください。
今回は日本代表男子の試合(第一戦の対スペインと第二戦の対モロッコ)を観戦して、感じたコトを話題にしたいと思います。
五輪開幕前の下馬評ではスペインが金メダル候補のトップにあげられていました。しかし、五輪のスペイン代表は、欧州U-20のチャンピオンだそうですが、23歳以下の選手で、W杯やユーロでチャンピオンになった選手たちではありませんから、日本代表にとって、それほど恐れる相手ではない、と私なりに考えていました。
日本人の間では、FIFAの世界ランキングで格が上とか下で評価したり、知名度(スペインには3選手欧州チャンピオンのメンバーが含まれている)で相手を見てしまう癖があるように思われます。
今回のスペイン代表は、スタイルはトップチームと同じように、速いワンタッチのパスまわしでボールをキープしながら、試合の主導権を握り、相手に余裕を与えない作戦でしたが、中身の個々の選手は、イニエスタでもシャビ・エルナンデスのような経験者ではありません。現在のトップチームのスタイルは、現監督と選手たちの芸術作品ともいえるモノです。U-23にもこのスタイルが継承されていましても、完成品ではありません。(これが恐れる相手ではない理由の一つです)
現在の日本サッカーのスタイルもスペインスタイルを追求しているようですが、日本選手の中身は、世界のサッカースタイルが含有されており、良い意味で個性になっています。同じスタイルのスペインですから、ある意味では相手のやり方は読めるのでは、と考えていました。
試合が始まり、日本の選手は、実際に相手と接触してみると、試合前までに考えていたより、それほど恐れる相手ではないではない、と感じながら、自然と、自分自身にやれる、という自信と信頼感がわきあがり、それが自然に行動として、プレーに表現れていたようです。
日本の選手にしてみれば、自分たちのモデルが目の前で見せてくれているのですから模倣するのは容易です。それらを吸収しだした日本は、相手のお株を奪ったかのように、「オーレ!」のパス回しでスペインを翻弄するプレーが随所に現れていました。対モロッコ戦では、前の試合以上に自信に満ちた正確なパスで、すばらしいゲーム展開をしていました。
結果は2試合とも1−0ですが、シュート数も多く、失点が0という中身の濃いすばらしい内容の試合をしてくれました。
この試合では、スペインと日本の差は、「心・技・体」で言えば、「心」の差にあったように思われます。私が考えている、未来の日本サッカーに導入しようと試みている「気功」で表現しますと、真の力は、頭で考える「心」からではなく、腹、すなわち、丹田から考える「心」でプレーするコトで発揮できるのです。少し分かりにくい表現ですが、前者がスペインで後者が日本だったというコトです。
7月18日にて、壮行試合の対ニュージーランド戦の観戦記をこのブログにて載せましたが、次に記載するコトと照らし合わせながら読んで見てください。
2試合のスタートメンバーはGK権田、DF酒井宏樹(酒井高徳)、鈴木、吉田、徳永、MF山口、扇原、清武、東、永井、FW大津でした。カッコは第2戦です。
壮行試合と違うには、DFの山村を吉田にしただけです。しかし、オーバーエイジの吉田の加入は、チームの雰囲気をガラリと変える存在感を示してくれました。
私は日本の宝という表現をしましたが、一方では彼の膝のケガが不安でした。幸いにも、万全の状態ではないようですが、ディフェンスラインがドッシリとしたゆとりのあるモノにしたコトが、攻撃にもゆとりがあらわれていました。それはシュート数とシュートの多様性で証明できます。
吉田の存在は、前にサムライブルーでの本田の存在について述べましたように、キャプテンとしての統率力、彼のリーダーとして的確な性格、そしてチームにもっとも必要とするコミュニケーションをプレーを含めた行動力で、他の選手に信頼感を与え、チーム内の疎通がスムーズになったコトがピッチ上のプレーに顕著に現れだしているのです。
個々の選手のプレーを取り上げてみますと、GK権田は一段と安定感を示し、対モロッコ戦で、同点ゴールを前進して体で防ぎ、その後吉田が足でクリアーしたプレーは賞賛に値します。
センターバックの鈴木も吉田と組んで守りの要の一人として存在感を現しています。サイドバックの宏樹はケガしましたが高徳が十分その穴を埋めてくれています。徳永も攻守にわたりオーバーエイジのプレーヤーとしての存在感を示しています。
MFのボランチ、山口と扇原はチームのモーターと私は表現しましたが、彼らが攻撃に絡むようなプレーをすれば、トップチームでも活躍できる存在であるコトを述べましたが、対モロッコ戦の山口のプレーは、シュートははずれましたが、日本サッカーに足りない意外性で即興的なプレーをしてくれました。もしゴールを決めていたら、大会後に世界のクラブからオッファーがくるはずです。それほどすばらしいプレーでした。扇原も正確なキックで、時折ゴールに絡むプレーをしています。それに、コーナーキックとフリーキックでもその存在感を現しています。
MFのアタッカー清武、東、永井は良いパスは出しますが、シュートが足りないコトを指摘しましたが、清武の対モロッコ戦での、GKのセーブでバーに当たったシュート、相手GKを引き出した永井へのパスが、決勝ゴールに繋がったように、彼の才能が現れだしてきているようです。東も縦横に動き、シュートにも絡むようになって来ています。もう少し大胆さが出るようになれば、トップ入りも十分可能性があるようです。永井は長いゴールへのトンネルを潜り抜けたかのような、すばらしいゴールを対モロッコ戦での決勝点をきめてくれました。彼の俊足は相手にとって脅威ですが、前の対スペイン戦でのシュート数を示しながら、決定力不足を暴露していましたが、この得点で、彼の心が、頭から抜け出し腹(丹田)から発せられれば、それこそ鬼に金棒で、世界へ羽ばたくプレーヤーになる、と期待できます。
ワントップの大津は、壮行試合ではタイミングの良いパスがこないで、イライラしていましたが、対スペイン戦でコーナーキックをズバリ決めてくれました。この得点は彼自身にもイライラを解消させただけでなく、彼自身の自信とチームの仲間に大きな自信を与えてくれました。(このゴールも幻のスペインのイメージを解消させた、二つ目の理由です)大津は対モロッコ戦でもすばらしいシュートをしています。それは、アタッカーの4人の動きがドリブルする仲間にスペースを作るための連動をしていたからです。
「サッカーは意外性の芸術」
と言われています。ボールが千変万化するように、あるときには予想外なコトが起こります。まだ先に試合がありますが、日本のメダル獲得も不可能どころか、女子のなでしこ以上に可能性が現れてきました。サッカーの決勝トーナメントは、日本では高校サッカーでも経験しているので、ある面では有利になるかもしれません。
つぎのFIFA・W杯ブラジル大会の主力になると思われる選手たちの活躍を期待して、今後の試合に注目しましょう。
「がんばれ! 日本」
グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ
0 件のコメント:
コメントを投稿