Japan Soccer 50年

2012年8月19日日曜日

ロンドン五輪サッカー観戦記 (7)


こんにちは! 蜻蛉です。 深夜の五輪漬も完食しました。そこで、この観戦記を直ぐに記載しようと思ったのですが、満腹状態でしかも時差ボケのため、思うように頭が働かず、ノビノビになってしまいました。
 ロンドン五輪も幕を閉じました。日本選手団も国民の期待に応えて大活躍。特に、サッカー界は男女揃ってベスト4以内、なでしこジャパンが銀メダルを獲得、という偉業を成し遂げてくれました。 「おめでとう!!」

 さて、きょうは金メダルをかけた、女子サッカーの日本対アメリカの試合に関して話し合いたいと思います。

 試合の結果は2−1で日本は負けましたが、どちらが勝っても金メダルに相応しい内容の試合で、世界のサッカーファンを魅了させました。

 ロンドンのウエンブレースタジアムと言えば、サッカーの宮殿とか聖地と呼ばれ、イギリスの選手でも、国内のカップ戦の決勝に出るか国の代表選手として国際試合に出場しなければプレーできない憧れのスタジアムなのに、なでしこの選手は準決勝の対フランス戦と決勝の対アメリカ戦の2試合もプレーできた幸せ者。しかも、それぞれの試合に、女子サッカー史上はじめての6万人以上と8万人以上の観衆の前でプレーしたんですよ。私たちの時代の選手たちでしたら、おそらく、大舞台で大観衆の前で、上気して、冷静にプレーができなかっただろうか、と思われます。

 対戦相手もW杯の決勝戦と同じアメリカという、現在世界女子サッカー界の最高峰同士。スター選手もなでしこの沢穂希にアメリカのワンバック。

 これだけ女子サッカー最高の条件が揃い、しかも金メダルを争う決勝戦で、体格的にも、過去の実績でも、ハンデを背負うなでしこジャパンが、どういう戦いをするか、大いなる興味をもって観戦しました。

 〈前半8分〉(米)左サイドのMFヒースからペナルティエリア左サイドに位置しているFWモーガンに縦パス、モーガンは日本のDF2人を背にしてボールを受け、ゴールライン際で、左足で日本ゴール前にドリブン(ライナー性)のクロスを入れ、ゴール前でシュート体勢で待ち構えていたFWワンバックの手前で、2列目から突然走り込んできたMFロイドがヘディングシュートを決めて、先制ゴール。

 〈後半9分〉(米)中央からMFロイドがドリブルで日本陣内にもちこみ、右サイドに方向を変えた瞬間、約25メートルの位置から右足で意表をついたミドルシュートを、日本のGK福元の右をついて、2点目のゴールを決めた。

 〈後半16 分〉(日)中盤右がらMF宮間が、ペナルティエリア右に走り込んだFW大野へ縦パス。大野はパスを受けて、ゴールライン際までもち込み、ゴール前に飛び込んできたMF沢へプルバック(斜め後ろ)、沢はダイレクトでシュート、相手のGKとDF2人は倒れながら防戦、ボールはDFの体に当たり、再び沢の足元へ戻り、沢はシュートすると見せかけて、ゴール左サイドに詰めていたFW大儀見へパス、大儀見は冷静に無人のゴールへプッシュして、1点差に詰め寄った。

 DF鮫島に代わって入ったFW岩淵が相手DFのボールを奪い、GKと1対1の態勢でシュートしたが手ではじかれ得点にはならず、万事休す。残念ながら、目標だった金メダル獲得を達成できませんでしたが、銀メダルを獲得しました。

 アメリカのゴールを日本のDFのミスと見る人もいるでしょうが、私はアメリカのロイド選手の好プレーを褒めるべきであると思っています。1点目のゴールは、彼女の前にワンバックがいたので、(日本の選手だったら)後方でクロスを受けるところでしたが、モーガン選手の体勢を見て、ワンバックの手前に飛び込んでヘッドで決めたファインプレーでした。2点目は現代サッカー(パス攻撃に対応する組織的な守備)の盲点を突いたドリブルで、少し早目のタイミングのミドルシュートだったため、日本のGKもDFも対応できないまま、シュートを打たれてしまったのです。

 ロイド選手の2つのプレーは、状況判断の良さとシュートに必要な意外性と即興性があったからこそ、日本の堅いDF陣も防ぎようがなかったと言える、素晴らしいプレーであったと思いました。

 日本の得点もなでしこジャパンらしい五輪の集大成のゴールと言っても過言ではないと思います。この得点にはなでしこの選手たちの恐るべき執念が込められていた、と感じるほど、アメリカのDF陣を叩きのめした(GKと2人のDFが必死に体を張って倒れながら防戦した後、(並みの選手でしたら再びシュートしたであろう)沢はシュートせず、横で待ち構えていたフリーの大儀見にパスして、彼女にゴールを決めさせた。このプレーにこそ、沢選手の偉大さが現れていたようです。

 宮間から大野へ、大野から沢へ、沢から大儀見へと渡ったパスに、なでしこジャパンのコミュニケーションの素晴らしさとチームの一体感を感じました。

 最後の同点のチャンスと思われた岩淵選手のプレーも、小さな体で、大きなDFの奪い取る迫力のある動きは、シュートの失敗を含めて、ヤングなでしこの明日の可能性を感じました。「失敗は成功のもと」、あのシュートは本人が一番悔しいと思っているはず、間違いなく岩淵選手の教訓として生きると思われます。

 ああいう状況でゴールが決められないのが、日本選手共通の課題であると、私はそう感じております。技術的には、ドリブルする前に、相手ゴールとGKの他に状況を見て、どこに蹴るかイメージして、キックの際にはボールに集中して蹴るようにすれば、得点の確立が高くなるようです。あの時の岩淵選手は相手のGKを見て蹴っていましたので、ボールはGKが取りやすい高さになってしまったようです。

 今回の五輪でなでしこジャパンで感じたコトは、もう少しパスの精度を高めるコトとパスを受ける際のチョッとした動きと体勢を工夫するコトで、もっと楽に試合の展開を運べたのではないかと感じました。それに体格的には、できれば平均身長165cmぐらいになってほしいですね。と言いますのは、このサイズに匹敵するFWの大儀見選手、MFの阪口選手、DFの熊谷選手たちの五輪での活躍と日本選手に足りない強さを感じたからです。

 欧米の選手たちは技術もしっかりして、日本のような組織力をつけてきたら、今のままでは対応できなくなると思います。代表選手の資質として、テクニックにスピードと欧米の選手に対抗できる体力的な強さのある選手が望まれます。

そのためにも、選手の発掘と育成と強化に加え、下部組織と、Lリーグのレベルを高め、指導者のレベルを尚一層高めていくコトにつきます。そのためにも資金的な支援とインフラをより充実させていくコトが不可欠であろうかと思います。

8月19日から、U−20のFIFA・W杯が日本で開催されます。ヤングなでしこがどれだけ活躍できるか、フル代表に加入できる選手が現れるだろうか、楽しみですね。私たちも、しっかり応援しましょう。

「がんばれ! ヤングなでしこ」

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

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