Japan Soccer 50年

2012年8月7日火曜日

ロンドン五輪サッカー観戦記(3)

こんにちは! 蜻蛉です。8月5日は、私の71歳の誕生日であり、昨年一時帰国で成田空港に着いた日です。
今回来日の目的は、南米ペルーで執筆した、蜻蛉ちゃんのサッカーの本、『土俗的忍者式サッカー』と『サッカー文化と異文化の内外相合』、の原稿を出版するコトでした。しかし、現実の日本はサッカーの本の乱立で、しかも時流に乗せた内容の本で、出版しても、流れに巻かれてしまう恐れがある、と判断しまして、これまで差し控えていましたら、アッという間に1年が経過してしまいました。
もしもある出版社で、この本の原稿に興味がありそうでしたら、私のメール(下記)にご連絡ください。お待ちしております。

 さて、ロンドン五輪サッカーで、日本は男女揃って準決勝進出という快挙を成し遂げてくれました。

この素晴らしい結果は、日本の男女が、お互いに良い意味でのライバル意識をもって戦ってきた相乗効果の顕れではないかと思います。

特に、なでしこの立場は、日本女子サッカーの今後の命運を握っていると言っても過言ではないほど、重責を担って戦っているはずです。

男子の選手にとっても、メダル獲得と2014年のW杯ブラジル大会のメンバーに選出されるチャンスが目の前にあるコトから、なお更、モチベーションが高まっていると思います。

コーチングスタッフにしても同様お互いに口には出しませんが、お先にサヨナラするわけにはいかない立場で戦っている様子がヒシヒシと感じられます。

 なでしこは、対ブラジル戦前までの問題(前回に記載)があって、不安な面がありました。特に、宮間と両サイドバックの近賀と鮫島、それにゴールゲッターの大儀見のプレーが低調気味で心配していましたので、この4人の回復がチームのカギを握っていると私は思っていました。

 幸いにも、鮫島の不用意なバックパスで一度危険な状況があった以外、4選手が平均的な(本来の)プレーでチームに貢献できていましたので、結果は2−0で、優勝候補の一角ブラジルに勝って、準決勝に進出をきめました。

 なでしこのスタメンは、GK福元、DF近賀、岩清水、熊谷、鮫島、MF阪口、沢、宮間、川澄、FW大野、大儀見。

 試合が始まって直ぐ大野がゴール前で相手より一瞬はやくボールに触りシュート。得点にはなりませんでしたが、日本にとって、幸先の良い兆しを示してくれました。

 やはりサッカー大国ブラジルは、高いレベルの技術で、エースのマルタを主軸にゲームを支配していました。しかし、何回か危険な状況もありましたが、GK福元、岩清水と熊谷のセンターバックを軸に、サイドの近賀と鮫島、それにMFボランチの阪口と沢がしっかりと機能していたので、ブラジルにシュートの余裕(時間と空間)を与えなかったコトが勝因の一つです。

 攻撃面では、わずかなチャンスを見事なコンビネーションプレーで、キチッと得点を決めたコトがもうひとつの勝因でした。

 そのお見事な得点の一つは沢と大儀見の素晴らしい判断から生まれたモノでした。左タッチライン際で相手の反則でFKを得て、大儀見が左タッチライン際から前に走り出しているのを見て、沢は間髪入れずに相手バックラインの裏側に相手の意表を突くパスを入れ、大儀見が走り抜け、単身ドリブルでゴール前に持ち込み、冷静に相手ゴールの右隅にシュートを決めた素晴らしいプレーでした。

 もう一つは、やはり左サイド鮫島からカウンター気味の縦パスが、ハーフラインを少し超えて、左タッチライン際にいた大儀見に渡り、大儀見は相手のマークをワンタッチのトラップで抜き去り、ワンタッチで、センターに位置していた大野に、絶妙なパスを通し、そのボールを受けた大野も、直ぐ右足ドリブルで前進し、相手のマークをフェイントを入れて左側に交わして、左足で豪快なシュート、ボールはバーの下に当たりネットを揺さぶる素晴らしい得点でした。

 なでしこは堅固な守備で、トップの2人が得点するという理想的なサッカーで、偉大なブラジルサッカーを倒しました。

 私がなでしこ式サッカーに魅力を感じたのは、選手一人一人がしっかりした技術で、サッカーをよく熟知(インテリジェンスの面)しているのに、驚いたからです。
 

私が理想としている日本サッカー像にもっとも近いプレーをゲームで展開してくれています。あの小さな体で、大きな外人に勝つには容易なコトではありません。中学生が大学生相手に試合しているよりもっと厳しいはずです。それだけ、現在の主力メンバーが如何に偉大な仕事をしているかが、その活躍度で証明しています。

 個別の選手のプレーで見ますと、GK福元は前の試合まで、ボールを手でキャッチせず、足や胴体で止めたりして、直ぐにパスしないコトを指摘しました。この試合ではしっかり手で取り、相手の際どいシュートをディフレクティング(手のひら)やフィスティング(こぶし)を駆使して素晴らしいプレーをしていました。また、絶えず味方プレーヤーにも指示し動かせていました。もし注文をつけるとしたら、キャッチしたら直ぐに攻撃の起点になるよう、前線にパスを出すよう心がけるコトです。相手は背が高く、当たりも強いからなお更です。もちろん時間を稼ぐ意味と味方の選手の体力回復とリズムを変えたい場合は別です。

DFの近賀は本来の攻撃リズムが蘇りだしたようです。岩清水と宮間と大野との連係プレーがようやく出てきました。岩清水と熊谷とのセンターバックは一段と安定感を示し、それが攻撃力に威力を増させているようです。特に、熊谷の前進守備はチームの攻守の大きな力になっています。鮫島も攻守のバランスがとれ、本来の鮫島らしさが現れていました。チョッとしたポカなプレーに注意するコトです。

MF阪口のプレーは男子の山口と同じように、ボランチとして素晴らしい機能を発揮しています。一段と大きく見えるほど逞しくなっています。沢はやはりチームのエースとしての感を取り戻しているようです。体力的にも心配なさそうです。宮間も前の試合まで低調でしたが、この試合では宮間らしさが出てきました。しかし彼女の実力はまだ発揮できていないようです。その分チームに貢献するプラスの可能性が期待できるわけです。川澄もカナダ戦での得点で見せたような、彼女らしい相手の守備をスパッと切るプレーが、まだそれ以後現れていませんので、逆に残り2試合で、その期待が持てるわけです。

FWの大野と大儀見は前回の対ブラジル戦で発揮してくれました。2大OO路線で、前線はお任せとなる活躍が期待できます。残りの試合でも、今の彼女たちだったら、必ず得点してくれると信じています。安藤と高瀬も2−0で勝っていたので、守備に力を注いでいたため、FWとしての攻撃の部分が発揮できなかったようです。

準決勝の対戦相手のフランスは、ラテン人気質の性格で、調子に乗ると驚異的な力を発揮しますが、チョッとぐらつかせれば、意外な脆さを暴露する弱点があります。五輪前のフランスでの試合は2−0で日本は負けましたが、フランスは地元では強いですが、外では地元でやるようなプレーは発揮していないようです(アメリカに2−0で勝っていて4−2で逆転負け)。反対にあの試合のなでしこは、時差ボケに加え、体のコンディションとチームとしての纏まりが欠けていたコトから考えれば、負けてもともと、上昇機運の出てきたなでしこサッカーは必ずフランスを崩せると、私は予想しております。

最悪の場合、双方の力とメダルをかけた試合で、延長戦に縺れ込むか、PK戦に持ち込まれる可能性も十分考えられます。

なでしこジャパンの幸運を願って、しっかり応援しましょう。

「がんばれ!なでしこジャパン」

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

蜻蛉ちゃんコト、竹嶋住夫のE-mail のお知らせ:sumiotakeshima@yahoo.co.jp

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