Japan Soccer 50年

2012年8月20日月曜日

ロンドン五輪サッカー観戦記 (8)

こんにちは! 蜻蛉です。ロンドン五輪も閉幕しましたので、この観戦記も今回を最後に閉じることにします。ご拝読ありがとうございました。
 さて、きょうは男子の銅メダルをかけた日本対韓国戦と金メダルをかけたメキシコ対ブラジル戦の試合について話し合いたいと思います。

 日本対韓国の試合は深夜3時ごろからTVの実況放送だったのですが、連日の疲れと最終戦という気のゆるみで、午前1時半に電気を消して2時間ほど布団で横になって一休みしたのが失敗、目を覚まし時計を見たら5時前、しまったと思いTVのリモコンのスイッチ入れたら、既に後半戦10分経過、日本は0−1で韓国に1点リードされていました(午前中に再放送があるとは知らず試合後寝て、10時ごろ目を覚ましTVをオンにしたら、この試合やっていたのですが、なんと偶然にも、前と同じ後半10分経過していました)。

 このような失態で観戦記も中途半端ですが、私が実際に観た範囲のコトについて話したいと思います。

 観戦記(6)で、この試合の勝負は意識の差で決まるだろう、と私は予想していました。サッカーに限らず、他の競技においても、日韓戦となると、日本の選手以上に韓国の選手の意識が強いように感じます。

今回の五輪でも、女子のバレーボールで日本は勝ちましたが、その他の競技ではどうですか? 女子のプロゴルフの大会はどうですか?

南米のペルーとチリの隣国同士の関係に見られる、政治的な姿勢の強弱が、サッカーの試合の結果にも現れるように、同じような現象が日韓の間に横たわっているような感じがします。 

その背景に戦争と領土、という政治問題が微妙に潜在的な意識となり、対抗戦となると、その意識が顕在化されて、プレーの動機付けにもなっているのではないでしょうか。(ここでは韓国が有利)

今回の試合の韓国は、監督をはじめ7人の選手がJリーグの経験者であり、日本サッカーを熟知していました。一方の日本は、個人的には選手を知っていても、韓国のチームがどういうサッカーをするのかは、漠然とはイメージがあっても、韓国サイドほど、情報は得ていなかった、と思われます。(ここでも韓国が有利)

日本のパス攻撃によるボールの支配のゲーム運びとDF吉田主将を中心とした堅固なディフェンス陣も、準決勝の対メキシコ戦の前半にFW大津の得点がピークで、メキシコのコーナーキック(その前に吉田はオフサイドだ、とジェスチャーで線審に抗議していた)でゴールを決められてから、それまでポシティブだったプレーが徐々にネガティブなプレーになり、それが自然とチーム間の連携に狂いが生じ、しかも連日の試合や練習と移動の疲れのストレスが、GK権田とMF扇原のミスプレーとなって現れ、その上、相手のカウンター攻撃で、相手のFW1人に3人のDFが振り切られて3点目を許してしまう結果になってしまいました。

日本の選手にしてみれば、それまで無失点でしかも先取点で、勝てると思っていたところ、まさかと思っていたCKからの失点と味方のエラーで逆転を許し、気落ちしたところに、単身ドリブルで突破されて、駄目押しのゴールを与えてしまった日本のディフェンダーのショックは計り知れません。五輪前の試合で勝っていましたから、なおさら精神的なダメージが強かったのでは、と思われます。それも相乗的な疲労となって韓国戦で現れていたようです。一方の韓国は相手がブラジル、負けてもともと、勝てば儲けモノの心境でできる相手に負けたので、日本ほどダメージは受けていなかたのでは、と思われます。(これも韓国が有利)

韓国は日本が韓国陣内でボールを支配してくるコトを想定して、あらかじめディフェンスラインを下げ、日本の両サイドバックの攻撃を許し、逆に日本の手薄になったDF陣内に、強力なFWを活かして、カウンター攻撃で勝負を決める作戦だったようで、それがズバリ的中。OA(オーバーエイジ)のFW朴主永(アーセナル所属)の個人技による2得点で試合を決定づけてしまったようです(これに似ているのがイタリアサッカーの伝統的カテナチオ=相手の攻撃を許せる強力なDFで守り抜き、電撃的なカウンターのパスを前線のFWに送り、その強力FWがゴールを決めるやり方として知られている)。

残念ながら銅メダル獲得はなりませんでしたが、この敗戦は、選手たちにとって、素晴らしい経験になったはずです。ライバル韓国に対しても、これまで以上に強いライバル意識を植え付けたのでは、と思います。

日本は欧米のサッカーを意識する以上に、韓国、北朝鮮、中国(間違いなく強力なライバルになる)という同じ東アジアの諸国を警戒しなければ、肝腎な試合で足元をすくわれます。そのためにも、若年層からその意識をもたせるようにするコトが大切だと思います。もちろん敵意識ではありません。良きライバルとして、切磋琢磨して、互いにアジアのレベルを高めて欲しいという意味です。

金メダル獲得を争ったメキシコ対ブラジル戦は、意外なコトに、試合開始直後の30秒で、メキシコが先制点。メキシコの対日本戦の2点目を思わせる得点でした。 

ブラジルは開始早々、ゆったりしたリズムでパスを回し始めましたが、右サイドバックの短い横パスがメキシコの選手にカットされ、直ぐFWのペラルタにパス。ペラルタはそのままドリブルでペナルティエリアに持ち込んでシュート。ボールはゴールに向かって左ポストの内側に吸い込まれ、先制点となりました。

ブラジルは期待のネイマルで同点を狙いましたが、メキシコのDF陣は堅く、決定的な得点のチャンスはなく、ズルズルとメキシコのペースにはまり前半終了。

後半もメキシコの早いつぶしにあって、リズムに乗れず、やたらに力ずくで攻めるが容易に、相手の防御網を崩せず、逆に、焦りが、虚になって、メキシコの右サイドからのFK(フリーキック)で、FWペラルタがノーマークでヘディングシュートを決め、ブラジルの追従を突き放しました。最後に1点決めましたが、タイムアップの笛が鳴り、メキシコが金メダルを獲得。ブラジルは今回の五輪も、金メダルを獲得できず、サッカー王国ブラジルも五輪の魔物には勝てなかったようです。

敗戦した日本もブラジルも、なんとなく戦略的なリアリズムが欠けていたように、私はそう感じました。その点、韓国もメキシコも、どうやって守り、どうやって得点するか、「己の力を知って、相手の力を知る」選手たちのプレー、動き、駆け引きが伝わってくる感じがしました。

日本はメダルは取れませんでしたが、今回の五輪で、近い将来フル代表の一角を占めるだろうと思われる選手がいるコトが確認できただけでも、大きな収穫のあったロンドン五輪だった、と私はそのように思いました。

観戦記(6)で日本と韓国が銀メダルをかけた争いと記載しましたが、銀でなく、銅に訂正させていただきます。プレート同じで、疲れてくると無意識に誤ってしまうようです。

日韓戦が終わったと思いましたら、突然「竹島(韓国名独島=トクト)」が世界的な話題になってしまいました。スポーツ界でも芸能界でも竹島という名の人が活躍した例はありません。だいぶ前、小泉首相の時代、島根県議会が「竹島の日」を制定しようとして、韓国側に不快な刺激を与えました。それに対して、小泉首相は「自治団体が考えていることですから」、と介入を避けた応答がありました。

今回の問題も、五輪の男子サッカーと女子バレーボールが銅メダルをかけた試合の前に、予告なしに韓国の大統領が独島(竹島)を訪れたコトから事件が発生したのですが、韓国サッカー協会の応対も不自然。

領有を主張するメッセージが書かれたプラカードは、一韓国人の観客が持ち込んだモノですが、「独島は我々の領土」と書かれたメッセージは、観客から受け取ってグラウンド内での行為は、たとえ選手自身が政治的な意図がなくとも、書かれた意味が分かっての上で大観衆の前で、しかもTVのカメラの前で、そのプラカードを裸(試合中だったらイエローカード)で掲げたコト事態、五輪憲章の違反行為として、何らかの制裁を受けるのは当然。もちろんメダルは授与されなくて当然。

韓国サッカー協会は日本サッカー協会に対し、謝罪でなく釈明の文書で、「選手は、観客から、たまたま渡されたものだった。そして、偶発的な行動だった」という内容だったとされています。

また、IOC(国際オリンピック委員会)からFIFAに対して、見解を求めているため、同協会は先手を打つため、FIFAに人を派遣して釈明して、選手への制裁を回避するよう働きかけているそうです。

どんな理由があるにせよ、FIFAの傘下にある国の選手たちも、五輪憲章のもとで、ルールを守り競技しているのですから、ルール違反があれば、別にIOCでなくともFIFAは韓国サッカー協会とその選手に対し、しかるべき厳重なる制裁があって当然、もし例外を認めれば、今後の統制が難しくなる、と思われます。

韓国サッカー協会の行動の裏に国会からのプレッシャーがあるようですが、もしそのコトが事実なら、協会自体にも制裁が波及する恐れがあります。私が住んでいるペルーサッカー協会も、政府関係の団体が介入し、FIFAから制裁を受けていた、という例があるのです。

不愉快な竹島問題で、ロンドン五輪サッカーの観戦記を閉じますのは、不本意ですが、きょう(8月19日)から、日本で開催されるFIFA・W杯女子サッカーU−20での、「ヤングなでしこ」の活躍を期待しまして観戦記を閉じたいと思います。

最後に、皆さんの感想やら意見も拝聴したいと思っています。ぜひ、下記メールアドレス宛にご一報ください。

 グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

お知らせ:蜻蛉こと竹嶋住夫(たけしま・すみお)のメール・アドレスは、

     sumiotakeshima@yahoo.co.jp

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