Japan Soccer 50年

2013年1月29日火曜日

雑誌『サッカー批評』を読んで感じた日本人の完璧主義

Job in hand: National team manager Alberto Zaccheroni wants Japan to qualify for the 2014 World Cup as early as possible.こんにちは! 蜻蛉です。大相撲初場所で横綱日馬富士が全勝優勝しました。場所前、横綱審議会が前場所の9勝6敗の成績に対し、強烈な批判をしていたようですが、今回の成績にどういう反応を示すでしょうかね?最後の4場所で3場所全勝優勝ですよ。素晴らしいとは思いませんか?

 さてきょうも前回に引き続き『サッカー批評』のザッケローニを超える日本代表、というテーマの一つ、「解けないままの宿題―南アから変わらぬ2つのテーマ」をタタキ台にして話し合いたいと思います。

 このテーマは、現状の日本代表で何が問題で、それをどう解決していけばいいのか。そして、未来に進むために何をなすべきなのか。連戦を現地取材した清水英斗氏(サッカーライターで現在フリーランスとして活動中)が肌で感じた問題を指摘しています。

 清水氏はつぎの6つの項目に分けて、氏自身の見方と考え方を述べています。

1.日本代表が抱える永遠の問題。 2.活躍する海外組は増えたがそのほとんどは2列目。

3.日本が誇るダブルボランチの限界。4.ハイレベルのボランチを育成するのに必要な土壌。

5.攻撃面はまずまずの出来、問題は危険スペースの察知。 6.本田1トップに感じる大いなる可能性。

 以上の項目に従って、著者の声に対して、私蜻蛉の見解を述べていくことにします。

1.世界のトップレベルの国々に対し高い位置からプレスをかけてボールポゼションでも互角に戦う攻撃的なサッカーを目指したとき、昨今の日本代表に必ず露呈する潜在的な弱点がある。ボールを持ちながら攻めきれず、相手のカウンターにやられてしまうのだ。おそらくこれは永遠の課題だろう。

 南アのW杯で、岡田監督はこの問題の根本的な解決を諦め、自陣に引いてコンパクトなブロックを作る守備的な戦術から勝ち点を拾う、言わば弱者のサッカーを選択。ボールポゼションを捨て失点のリスクを極力減らし、虎の子の1点を守りながら粘り勝っていく。その指揮官の決断はグループリーグ突破という結果を残した。あれから2年。今回のブラジル戦の大敗を見るにつけ、やはり岡田監督の見立ては正しかったと言わざるを得ない。ゴールに近づいて最後の打開力、そしてカウンターアタックへの脆弱さは、ザックジャパンになった今でも解決されていない。

(蜻蛉の見解)

 「なぜ攻めきれないのか?」と言うのではなく、「なぜブラジルが日本に自陣まで攻めることを許したのか?」と考えてみてください。日本側の立場だけでなく相手側の立場で考えてみれば、この2つの問題は容易に理解できるのでは、と私は感じています。

この問題の裏には、日本のサッカーの指導者は戦術の細かい知識をよく勉強しています。しかし、守備戦術と攻撃戦術の原則があるコトを知っているのでしょうか? 私が日本サッカー協会の海外国際委員をしていたとき、協会の機関紙と96年に「世界」と戦う日本代表をめざして「強化指導指針1996年版」を読んでいましたが、私がペルーで指導者として学んだ「戦術の原則」について、一度も記載されているのを見たコトはありません。

この原則については、このブログでも以前に記載しています。日本男子のサッカーは、もっと「なでしこジャパン」のサッカーを見習う必要があります。女子は男子のような体格もパワーもありませんが、技術にしても戦術にしても基礎がしっかりしています。と言いますのは、選手たちはアタマではなくカラダ(心身ともに)でサッカーの知識を吸収しているからです。

2.日本選手は欧州で活躍する選手が増えたが、日本のストロングポイントである中盤の2列目やサイ 

ドバックの選手ばかりで、FW,ボランチ、センターバックといったセンターラインに関してはまだまだこれからといった状況でポジションごとにバラつきがある。これは日本サッカーの育成にも関わる問題であり、代表監督が変わったからといって、わずか2年間で解決できるほど簡単な問題ではないだろう。 

著者は、「リアクションをベースとして対抗するサッカーには別れを告ぎたい」日本はもう一歩前へ進まなければならない。日本代表が世界の列強と肩を並べた戦い方で結果を残すためには、今後何が必要になるのか、いくつかの具体的なポイントを述べていきたい。

(蜻蛉の見解)

 日本サッカー界は海外サッカーの情報が入りだしてから敏感にリアクションしてきたはずです。それが進歩につながっているのですが、一方では早とちりというか誤解して今日まで引きずってきている問題もあるのです。いくら攻撃的サッカーといっても、鍋底に穴があるような守備では、いくら攻撃しても、その支えがなければ、中途半端な攻撃、裏を返せば中途半端な守備というコトになります。「ビルトアップ」という言葉を知っているのに、それが徹底されていないのではないでしょうか。

岡田監督の戦略はW杯のグループリーグでは当然。世界のトップクラスと言えども同様です。優勝を狙うチームがグループ戦に焦点を当てて、最初から全力を挙げて戦う、というケースは、過去のW杯でもマレです。逆に、グループ戦で、決勝トーナメントで強敵相手の攻撃に対抗できる、守備陣の組織を強固にするため、あえて防御ラインを下げて堅固な守備網を編んでいるのです。それができて、少し少し攻撃面へとビルトアップさせていくのが常道ではないでしょうか。 

W杯のグループ戦で派手にデビューしたチームは決勝トーナメントでは下降線を辿る運命になっていくコトはW杯の歴史を調べれば気がつくはずです。

ブラジルにしても、対日本戦ではリアクションサッカーをしていたのですよ。このコトに関しましては後日取り上げる予定です。

3.世界のトップレベルで活躍する攻撃的なチームには、必ず優れた守備的なMFが存在する。と著者は述べた後、ブラジルとスペイン代表のボランチの例を挙げ、特に、スペイン代表とFCバルセロナで活躍しているセルジ・ブスケッツについて述べています。

 ブスケッツは以前、インタビューで「攻撃をしている間もボールを奪われたときのことを考えてプレーしている」と語ったことがある。このような思考で相手のカウンターの第一歩を遮断する選手がいなければ、攻撃に人数をかけることは看過できないリスクを負うことになる。攻撃から守備に切り替わるときの相手のカウンターを防ぐブスケッツのポジショニング、寄せの鋭さには目を見張るものがある。

 そのような視点でザックジャパンを考えたとき、果たしてブスケッツのような働きができている選手が存在するだろうか。

 この2戦を通して明らかになったこと、それはディフェンス面における遠藤と長谷部のダブルボランチの限界ではないかと思う。スペースの広い場所ででの1対1で振り切られる場面が多く、マークを持たないケースでもボールウォッチャーになる癖があるので背後のスペースへの意識が薄い。やはり強豪と対戦すると、スペースが広く空いた状況でカウンターをうける際のボランチの守備力がアキレス腱となる。日本が世界基準へと脱皮するためには、今よりもエンジンを大きくし、スケールアップしなければならない。

細貝はその可能性を握る選手の1人だ。遠藤や長谷部を凌駕する寄せの鋭さ、球際の激しさ、ボール奪取力は世界基準とも言える。しかし2人の落ち着いたプレーぶりに比べると、やはり荒削りな部分が目立つ。

(蜻蛉の見解)

 清水氏が「カウンター攻撃の第一歩を遮断する選手がいなければ」と指摘しているようですが、その第一歩がボランチの選手のように述べておられますが、もしその通りであれば、私は「違うのでは」と思いますので、異論を述べさせてもらいます。

 攻撃戦術の場合にはブロックを形成するように、ボールを相手に奪われた瞬間に、そのブロックが守備戦術のブロックに変わるのです。ですからボールを奪われた選手と一番近くのサポートした選手が、第一歩を遮断する選手にならねばならないはずです。そのときの選手の使命は、速攻を防ぐために、前方へのパスをさせないよう遮断できる位置に詰め寄ってボールを奪うか、味方選手帰陣の時間稼ぎをするコトなのです。ブスケッツの語っているコトは当たり前のコト。その当たり前のコトが守られていないところに問題があるのです。

 現在、日本選手の弱点を挙げるとしたら、守備におけるマークの仕方にある、と私は見ています。その弱点とは、マークする際の姿勢です。私が現役の頃、ワンサイドカットといって、ボールをキープしている相手に対して、縦方向に向かわせるように斜め前からボールを見ながら少し前かがみの姿勢で構えながらプレーしていたのですが、現在でもあまり変わっていないようです。この雑誌には長谷部がフランスのボール保持者にマークしていて、後ろには相手選手、その斜め後方に今野が映っている写真が掲載されているのですが、2人の間合いと姿勢に清水氏が指摘している問題が浮き彫り示されています。ここでは、そのコトについては取り上げませんが、後日まとめて述べようと思います。

4. のボランチの育成と土壌、5.の攻撃面、6.の本田の1トップ等については、この後に記載されて   

いるコトとラップしていますので、そのときに取り上げてみようと考えています。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ!

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