Japan Soccer 50年

2012年12月25日火曜日

クラブFIFA・W杯サッカー観戦記 (6)

こんにちは! 蜻蛉です。 今年最後の世界サッカービッグ・イヴェントであるクラブW杯も、南米代表、コリンチャンス(ブラジル)が、欧州代表、チェルシー(イングランド)に1−0で勝利、栄冠を獲得し幕を閉じました。

 昨日22日は、このブログの『蜻蛉ちゃんのサッカー』の一周年記念日でした。昨年の今頃の私は、「ブログとはなんぞや!」という心境で、パソコンをワープロのように使って、やりはじめました。

私が日本に一時帰国した目的は、私のサッカー人生(日本とペルー)60年の間に学んだコトを、後世に遺すべく綴った原稿を、本にして出版するコトでした。

しかし、現実の日本の事情はペルーで想像していた以上にサッカーが国民に浸透していて、しかもサッカーに関する出版物も多種多様で、知名度の高い人の著書が多く、無名の者の著書などは見向きもされないのではと判断しまして、今日までどこの出版社とも交渉せず、コリン星のようにチャンスを待っている次第です。

この蜻蛉ちゃんのサッカー2冊分(本)の題名は、

1:ワールド・カップ制覇は夢ではない、

日本独自の民族性を活かした変幻自在の『土俗的な忍者式サッカー』

2:世界のトップをめざす日本サッカーのために、

『サッカー文化と異文化の内外相合』

 このブログでは原稿の一部を抜粋していますが、私の構想にある日本サッカーについての見方や感じ方、それに考え方は文章の中で記載しておりますので、少しずつご理解いただけるのでは、と思っております。

 本の出版に関して、もしどなたかご相談にのっていただければ、ぜひ私のメール宛にご一報くださるようお願い申しあげます。

 前置きが長くなってしまいましたが、きょうは、このたびのクラブW杯観戦記の総評を述べてみたいと思います。3位決定戦については、そのなかで合わせて述べるコトにします。

 広島と対戦したオセアニア代表のオークランド(ニュージーランド)は、唯一のアマチュアクラブでした。また、日本人の岩田選手が左サイドバックで出場していましたね。上背が高く、オーストラリアのように力強さがあり、守備面ではその特性が活かされていましたが、攻撃面では、残念ながら、DFラインを下げ過ぎたのか、相手を脅かす積極的なプレー、たとえば、ゴール前にロビングパス(クロス、CK,,FK)を入れて(上背の利を活かして)ヘッドで決める、というパターンがあるのに、それらが見られませんでした。

 アジア代表の蔚山・現代(韓国)は攻撃陣の先鋒FW(ワントップ)の長身(196cm)キム・シンウク選手にロビングボールを集めていましたが、その戦法をあらかじめ読んでいた(対戦相手のモンテレイと広島の)相手DFにクリアーされて、ほとんど機能していませんでした。そのため、エースのFWイ・グノの強引とも思えるプレーと外人選手の動きが多少目立った程度でした。得点はイ・グノのミドルシュート(対アルアハリ)と自殺点にFK(対広島)で計3得点。守備の面でも、アルアハリと広島に各3失点、2試合で計6点という結果で、アジアのチャンピオンとして時折韓国らしいアグレッシブなプレーがありましたが、全体として期待を裏切った感がしました。

 5位のJリーグチャンピオン広島サンフレッチェは、対オークランド戦で相手の守備一辺倒の作戦に悩まされ、広島の良さが出せませんでしたが、対アルアハリ戦では広島らしいパス攻撃でボールを支配し、相手DF陣を脅かしましたが、味方のDFに2つのミスがあり、それで負けたのは惜しまれます。対蔚山戦では最初と最後にミスによる得点を相手に献上しましたが、攻撃面で、キャプテンFW佐藤の活躍とMFが機能していました。広島の得点源であるエース佐藤が2得点と1アシストしてアジアのチャンピオンであり宿敵ライバルでもある韓国のチームに勝ったコトは、日本サッカー界にとっても喜ばしいコトです。

あえて苦言を申すならば、4つのエラーによる4失点とMFの動きが物足りなかった、というマイナス面がありましたが、それを今後の課題として修正すれば、このチームはまだまだ伸びしろがある、という印象を感じました。

 アフリカ代表のアルアハリ(エジプト)は対広島戦では雪による寒さと時差による影響か、本来のダイナミックなスピードのあるサッカーが陰を潜めていたようです。そのためか広島にゲームを支配され、自陣で守る時間が長く苦戦していました。しかし幸運にも相手DFの2つのミスで2得点を獲得。守備面で同点ゴールがありましたが、辛うじて勝ちました。対コリンチャンス戦では、本来の調子を取り戻し、エジプトらしい縦横な動きで、寒さで動きの鈍い、コリンチャンスを悩ませました。不運にもチョッとした虚を突かれ、相手のエースストライカーにヘッドで決められ、相手DFを破るコトができず敗れました。  

3位決定戦のアルアハリ対北米中米カリブ代表モンテレイ(エジプト)戦は両チームは比較的にオープンスペースを空けて攻防。そのため攻守の入れ替えが激しく行われていましたが、最終DFラインが浅いアルアハリの裏をついて、モンテレイが先制点を決めました。その後、チェルシー戦で崩れたDFを立て直したのか、相手の猛攻にも耐え、後半にカウンターから追加点を入れて2−0でモンテレイが勝利。

この試合私は、モンテレイを仮想日本、アルアハリを仮想中東のヨルダンとイラクとして観戦していました。この試合結果にありますように、日本が中東に攻めさす作戦も成功する可能性が高い、という感触を得ました。アルアハリの問題はDFラインが浅いため、後ろに大きな攻撃スペースを相手に与えてしまうリスクがある、というコトです。そのコトは日本代表のDFにも該当すると思います。

3位になったモンテレイは、対蔚山戦でメキシコのチームらしくアグレッシブな動きと長短を交えたパスワークでゲームを支配、最後相手に1点を許したものの、3点先取して楽勝。準決勝の対チェルシー戦は、右サイド守備が崩壊し3点を許し、最後に1点を返したが完敗。しかし、この試合の得点差ほど実力差があったとは思えませんでした。チョッとした気の緩みからその隙間を相手にうまく突かれた、と言えそうです。

優勝候補筆頭だった欧州代表のチェルシー(イングランド)はメキシコ戦で楽勝したものの、対コリンチャンス戦でメンバーを相当入れ替えたコトが影響したのか、対モンテレイ戦のように選手間の連携がうまくいかなかったように感じました。  

「ゴールを決めるべきチャンスに決めないと、それが敗戦の結果(要因の1つ)として現れる」、という1つの例を示してくれたようです。

「惜しいかな?」とか「あれを決めてれば」という悔いを残す言葉に表れてしまうわけです。それがサッカーに限らず、あらゆる勝負事の難しさであるようです。

優勝した南米代表のコリンチャンス(ブラジル)は、対アルアハリ戦では、寒さで、本来の調子を出さなかったのか、前半に先取点を決めて、対チェルシー戦を意識した戦略で手の内をかくしたのかどうかは分かりません。しかし、DF陣が相手に押されても崩れなかったコトは、チェルシー戦でも得点に絡む危険な場面があったのですが、無失点で耐えた要因であり勝因でもあったように、私は感じました。

最近の例にある、日本がフランスとのアウェー戦で守って勝った試合を評して、「守備的な戦術から勝ち点を拾う、言わば弱者のサッカー」というコメントがありましたが、そういう考えが「勝ってる試合を時間を稼いで逃げ切る」、というのを「卑怯なサッカー」ととらえるところに、日本人の考え方に問題がありそうです。

その典型的な例が「ドーハの悲劇」だったのですが、時間がたつと他の問題が目先にあって、過去の教訓を忘れてしまうのでは、という感じを私は持っています。

ブラジルのコリンチャンスがバックラインを引いて守っても、誰も批判しませんよね。同じように引いても相手に大敗するケースはあるのです。

現在の日本代表が相手陣内でボールを支配するのが当然かのように常識になっていますが、それに固守すると、そうならない場合、新たな問題が起きて、その常識に対しても不安になり、「方向転換すべきだ」、という意見が出てきて、知名度の高い実績のある監督やコーチの意見を求めて結論をだす、という筋書きになるのではないですか?懸念を感じています。

変則的なトーナメントのこのW杯は、準決勝までの様子では失敗のように思われましたが、決勝戦で横浜のスタジアムを大観衆で埋めて、しかも気候もそれまでの寒さとは打って変わり気温が上昇し、プレーする選手にも、また、観衆にとっても絶好のコンディションの下で行われたのは幸いでした。

そのお陰でしょうか、得点こそ1点でしたが、両チームは力を最後まで出し合って、内容のある素晴らしい試合をしてくれましたので、それまでの物足り不満を一気に吹き飛ばしてくれました。

スタジアムの半分を3万人(広島のスタジアムを満席する人数)のサポーターで埋めつくし、南米のスタジアムのような応援で舞台を盛り上げてくれたコリンチャンスのサポーターこそ、クラブ世界一の名に相応しいと思いました。

以上で、2012年のクラブFIFA・W杯サッカー観戦記のページを閉じることにします。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

蜻蛉ちゃんコト竹嶋住夫のE−メール:sumiotakeshima@yahoo.co.jp

クラブFIFA・W杯サッカー観戦記 (5)


「コリン星、チェルシースターを退け、横浜の空を栄冠で輝かさせた!」

 サッカー界の星の王座は5年の間欧州のスター勢力に占拠されていた。その座を奪回すべく、南米のスターは、ブラジルの雄コリン星軍団を決戦の地日本に送った。 
 

2012年12月16日の夜、王座の決戦は予想通り、欧州の強豪イングランドのチェルシースター軍団とコリン星軍団の対戦となった。

コリン星は、この王座奪回のチャンスに、ペルーの請負戦士ゲレーロを雇って、チェルシースター軍団の鉄壁の壁(ゴール)を掠奪、猛反撃されても、守護神である聖カッシオに支えられ、世界の星の王座奪回に成功した。

その夜の横浜の空はコリン星の歓喜に包まれキラキラと輝いていた。

こんにちは! 蜻蛉です。 クラブW杯で、南米代表コリンチャンス(ブラジル)が欧州代表チェルシー(イングランド)を1−0で破り、世界の頂点に立ちました。最後のタイムアップ寸前まで、世界一決定戦に相応しい、スリルに富む素晴らしいサッカーの攻防で魅させてくれました。

最初に記載した「コリン星‐‐‐」は、チャンピオンになったコリンチャンスという名前をコリンとチャンスに分離させ、ペルー人のストライカーの名がゲレーロ(Gurrero)=戦士という意味と彼のあだ名がデプレダドール(depredador)=掠奪者と呼ばれているるコト、ゴールを死守したGKカッシオの奇跡を起こす聖人のようなプレーから名前の頭に聖(英語のa saint)を付け、サッカー界のスター(星)軍団を喩えて、駄洒落のような遊びの文章を組み立てた、というわけです。

きょうはこの試合について話し合いたいと思います。私は正直なところ、日本のサッカー関係者やサッカーファンが、スペイン代表やFCバルセロナに代表される、欧州のサッカーを崇拝し、ブラジルとアルゼンチンのサッカーを少し見下ろすような傾向があるのでは、とペルーから日本に一時帰国して以来、日本サッカー界を垣間見てきてそう感じております。

ですからこの試合、南米サッカーを代表するブラジルのコリンチャンスが、欧州サッカーを代表するイングランドのチェルシーにどういう戦いをするか? 

それに、低迷しているペルーサッカー界から、久しぶりに世界の檜舞台にコリンチャンスの一員として登場するパウロ・ゲレーロが、日本のサッカーファンの前で、彼が持っているストライカーとしての実力を示してくれるだろうか?

また、この試合にかける両チーム監督の駆け引きと采配ぶりどうだろうか?等々。期待と心配と興味をまじえて観戦しました。

両チームの先発は、

(チェルシー):GKチェフ、DFイバノビッチ、ケーヒル、D・ルイス、A・コール、MF(ボランチ)ラミーレス、ランパード、(アタッカー)モーゼス、マタ、アザール、FWトーレス。 ベニッテス監督

(コリンチャンス):GKカッシオ、DFアレサンドロ、シカン、P・アンドレ、F・サントス、MF(ボランチ)パウリーニョ、ラウフィ、(アタッカー)エンリケ、ダニーロ、エメルソン、FWゲレーロ。 ティティ(チチ)監督

 チェルシーは準決勝の対メキシコ戦の先発と比べ大幅にメンバーチェンジ。DFのアスピリクエタを外してMFボランチのD・ルイスが入り、MFボランチはミケルを外しラミーレスとランパードを入れ、同アタッカーのオスカルを外しモーゼスを入れました。

 一方のコリンチャンスはMFアタッカーのドウグラスをホルへ・エンリケに代えただけでした。

 前半開始早々から、チェルシーはパワーとスピードでコリンチャス陣内を支配し、10分には(チ)ケーヒルのヘッドによるシュートを(コ)GKがゴールのライン上で坐った姿勢でボールをキャッチ。

その後、21分コリンチャンスもトップのゲレーロが相手の股間を抜いてゴールライン際から持ち込み相手のタックルで倒れてPKを訴えたが主審はその続行。

27分再びゲレーロはゴール前中央でエメルソに絶妙なスルーパス、GKと1対1でシュートするも力み過ぎてボールはバーを越え失敗。

33分ゲレーロはゴールエリア右サイドで、絶妙な胸のトラップでワンタッチコントロールして相手DFを サッと右に交わしてファーポストにパスを流したが味方の詰めが遅く得点にならず。

チェルシーも35分ゴール正面からモーゼスがシュートするもGKはパンチで逃れ、その後は一進一退で前半0−0で折り返しました。

 後半、チェルシーのスピード攻撃になれたコリンチャスは縦横にブラジルらしいリズムのテクニックと動きでチェルシーの守備網を分断し、得点のチャンスがありましたが、チェルシーのDF陣も最終ラインがしっかりと守り得点を許さず。     

69分(後半24分)コリンチャンスはゴール前の攻防からクリアーされたボールを(コ)MFパウリーニョがゴール正面の右サイドで拾い、ペナルティエリアのラインと平行にドリブルしながら左サイドに位置していたMFダニーロへパス、ダニーロがゴールに向けてクロスしたボールが相手DFの足に当たり、それがファーポストの近くに位置していたFWゲレーロの前に逸れ、ゲレーロはそのボールをジャンプヘッドしてゴール左隅にシュート、その時、ゴールライン上に位置していた、(チ)DFコールとルイスがジャンプするも届かず、ボールはネットに吸い込まれてゴール。コリンチャンスが0−0の均衡を破る先制点を、私が期待していたゲレーロが決めました。3万人?
のファンが絶叫し、試合を盛り上げてくれました。

 チェルシーもその得点でショックを受けながらも、ゴール前にロビングボールを入れてコリンチャンスのDF陣を脅かしましたが、(コ)GKカッシオの神業のようなプレーと、DF陣のカラダを張った防御網を破れませんでした。

アディショナルタイムに入り、左サイドからのロビングをF・トーレスがジャンプヘッド、ボールはゴール右ポスト内側のネットを揺るがし同点ゴールと思われました。しかし、線審の旗がオフサイドを示し万事休す。主審のタイムアップの笛が鳴り、コリンチャンスがこの大会2度目のタイトルを獲得しました。

 この試合の明暗は、前の試合でアルアハリ(エジプト)に苦戦したコリンチャンスがMFの選手1人を交代させただけチームの母体を維持したのに対して、前の試合のモンテレイ(メキシコ)で楽勝したチェルシーは、攻撃面で機能していた左サイドの駆け引きの巧いMFアタッカーのオスカル(ブラジル)と大活躍したアザール、ボランチで攻守に光っていたD・ルイス(ブラジル)、DF左サイドバックで積極的に攻撃参加していたA・コールのうち、オスカルを外し、D・ルイスを本来のセンターバックに下げ、母体を崩してしまったコトにあるのです。

 結果的にはコリンチャンスは相手の左サイドのアザールを中心とした攻撃を警戒して、右サイドに攻守において柔軟な対応ができるホルへ・エンリケを入れ、(おそらく監督からの指示で)相手のカウンターに備えて、後ろからの飛び出しを抑える使命を与えられていたように見えました。

エンリケは技術的にもコントロールが優れ、相手に自由にプレーさせない地味ないい選手と感じました。そのためアザールは前の試合のような味方の援護がなく、孤立状態でドリブルで強引に抜こうとしていました。ブラジルのDFはネイマルのような選手と対戦して、マンマークは慣れていて容易にDF網を破れませんでした。

マタ、オスカルのポジションにマタとブラジル人の(ボランチ)ラミーレスが入ったりしていましたが、ほとんどコリンチャンスの堅いDF陣に跳ね返され、逆に、カウンター攻撃をくらうなど、前の試合のようなわけにはいかなかったようです。

私が予想したとおり、2試合続けてよいコンディションで戦うのは難しい、と述べましたが、この試合はコリンチャンスが上昇し、逆に、チェルシーが下降して、それが結果として現れたのでは、と私は感じました。

チェルシーのベニッテス監督は、

なぜコンディションがよくなかったランパードを先発させたのか?イングランドとクラブのアイドルだからと気を使ったのだろうか? 

それに、ブラジルのチーム相手で3人のブラジル代表の選手を同時に使うのを、なぜ躊躇したのか? 

私が最も疑問視したのは、なぜ前の試合で攻撃と守備の起点になって大活躍していたダビッド・ルイスをセンターバックに下げたのか?

いくら技術が高い選手でも、周囲の選手が変われば、そう簡単にコンビネーションプレーを即興的に適合させるのは、たとえ、事前の打ち合わせがあったとしても不確定要素のあるリスクをもたらすのでは、と私はそう感じました。 

まして、相手は百戦錬磨の南米チャンピオン、ブラジルのコリンチャンスです。コリンチャンスの選手が、プレー中にパウサを入れ、上手にリズムを変えて、プレーにメリハリがあったのですが、それに気がつきましたか? 

このブログで、前に何度も「パウサ(pausa)」という言葉を使ってきました。この言葉はスペイン語で、文章の句読点にも使われて、止まる、休むという意味です。たとえば、サッカーでは、早いドリブルから急にピタッと止まり、少し間をおいてパスしたり、方向転換したり、シュートしたり、再びドリブルするなど、チョッと間を置くだけで、相手の動きを止めて、その僅かな瞬間に、局面を変えるプレーができるのです。

文章もセンテンスが長すぎると読みにくいし、意味が分かりにくいように、間に句読点を入れれば、文章もメリハリがあって読みやすくなるように、パウサを入れてプレーすると、余裕が保たれ視野も広くなります。それでチェルシーの選手がマークに入っても、簡単にタックルできない状態にされていたのです。

日本の選手にも上手にパウサを入れている選手もいますが、南米の選手のように小さい子どものころからストリートサッカーやミニゲームでカラダをぶつけ合いながら自然と身のこなしをカラダの内部感覚で本能的にプレーできるのと違い、まだ不自然なところがあります。しかし、練習で意識してそのような状況を設定して何度も練習すれば自然と無意識にパウサを使ってプレーができるようになるでしょう。

次回は3位決定戦の試合とこの大会を観戦してきた総評を述べてみたいと考えています。

最後に、エジプトのクラブの名前「アルアハリ」を誤って「アルハアリ」と当初から記載してしまいましたので、ここでお詫び申し上げます。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年12月17日月曜日

クラブFIFA・W杯サッカー観戦記 (4)


こんにちは! 蜻蛉です。もう半月で正月を迎える‐-‐? 実感が湧きません。南米ペルーに移住して以来、36年ぶりの日本でまる1年(2012年)を過ごすコトができるなんて考えてもいませんでした。

 さてきょうは、クラブW杯準決勝2試合について話し合いたいと思います。試合の結果は、皆さんが既にご承知のように、(12日トヨタ・スタジアム)南米代表のコリンチャンス(ブラジル)がアフリカ代表のアルハアリ(エジプト)に1−0で辛勝、また、(13日横浜国際競技場)欧州代表のチェルシー(イングランド)が北中米カリブ代表モンテレイ(メキシコ)に3−1で圧勝しました。

 南米に住む私が期待していましたコリンチャンスはサッカー王国ブラジルらしからぬ重い出足で、エジプトサッカーのリズムを取り戻したアルハアリにゲームを支配されていました。

しかし、前半(?分)コリンチャンスの左コーナーキック(CK)から中央にはじき返されたボールが、味方を経由して、再び左サイドライン際に位置していたMFドウグラス(CKのキッカー)に渡り、彼は直ぐにゴール前にロビングクロスを入れ、ワントップのストライカーであるゲレーロが後ろに倒れるような格好でヘディングシュートを決めました。

そのシュートに対してGKは、ヘッドの構えからはコースが予測できず、反応が遅れて、ゴールを許してしまいました。しかし、このシュートは、ゲレーロがストライカーであるコトを証明した、難しい体勢でのプレーでした。

この得点を決めたパオロ・ゲレーロはペルー人ですから、広島の佐藤寿人選手と並んで、この大会で私が最も注目していた選手の一人です。

彼は、大惨事で死亡した“アリアンサ・リマ”のGKでペルー代表でもあったホセ・ゴンサレス・ガノーサの甥にあたり、16歳まで同クラブの下部組織でプレー(同期にはドイツのシャルケ04で内田篤人の同僚ジェファーソン・ファルファンもいました)していた頃、ストライカーとして優れた技術と体格に恵まれた素質に惚れ込んだドイツのバイエルン(B)・ミュンヘン(当時同クラブにはアリアンサ出身のペルー人で、現在も同クラブに所属している、クラウディオ・ピサッロが、ストライカーとして活躍していました)に引き抜かれ同クラブのユースでトップを目指しゴールゲッターとして活躍していました。

しかし、当時、トップチームのB・ミュンヘンは世界トップクラスの選手がひしめき合っていて、若い彼はベンチ入りはしたものの、出場チャンスがあまりなかったようで、同じドイツのハンブルガーSVの要望で貸与された後、活躍が認められ、完全移籍。今年の数ヶ月前まで同チームのストライカーとして活躍していました。

ペルー代表としても、今年の南米選手権(コパ・アメリカ)にて得点王に輝き、クラブW杯で世界一を目指すコリンチャンスが、その得点能力に期待して、彼を獲得したのでした。

コリンチャンスでは、ストライカー9番として活躍しはじめた矢先、今月はじめの、同じサンパウロ州の永遠のライバル、サンパウロFCとの対戦でゴールを決めた後膝を痛めこの大会出場が危ぶまれていました。ティティ監督は戦術上ワントップの9番ができるのはゲレーロしかいない、というコトで、出場の可能性を期待して、日本行きのメンバーに登録したのでした。

心配された負傷も予想以上に早く回復し、この試合に間に合ったというわけです。

この試合でゴールを決めましたが、私が知っているゲレーロのプレーとはほど遠い感じがしました。その要因のひとつは、ケガによる練習不足による体重過剰からくる体力不足であり、もうひとつは膝の負傷による再発の怖れで、思いっきりプレーが発揮できないのでは、という問題点が予測されます。

 コリンチャンスは、この虎の子の1点を守り抜き、決勝への進出を決めましたが、おそらく暑い夏の気候のブラジルから真冬のような日本の寒さと時差が影響したのでしょう。動きもプレーの鋭さも余裕もブラジルらしさが影を潜め、対広島戦で雪と寒さで苦しんでいた一方のアルハアリは、一戦を交えたコトで寒さにも慣れ、前の試合とはうって変わり、エジプトらしい柔軟で激しい動きのサッカーのリズムを取り戻し、再三再四ブラジルのDF陣とゴールを脅かしていました。

 コリンチャンスは苦戦に追い込まれながらも、DF陣が崩れず守り抜いた、というコトはチェルシーとの決勝戦に活きてくるであろうか、と感じました。

 チェルシー対モンテレイ戦の前、私はモンテレイのプレーに注目するコトを皆さんに奨めました。おそらく「なぜなのだろうか?」と疑問をもたれたコトでしょう。 

その理由は次のコトからです。その一つは、皆さんが欧州の世界トップクラスのチェルシーに関心をよせているのは当然ですが、日本代表がチェルシーと同じサッカーを目指しているわけではありません。

ですから、日本がW杯で世界と伍して戦うためには、欧州でフランスとブラジルを相手に2連戦しましたように、日本サッカーがより強く、より向上していくためには、世界の強豪との戦いは不可欠です。

この試合はメキシコサッカーのスタイルが日本とよく似ているコトから、モンテレイを仮想日本として観戦すれば、チェルシーのフェルナンド・トーレス、アザール、マタ、オスカル、ダビッド・ルイス、A・コール、ランパートといった名のある選手たちのプレーに気をとらわれず、強豪を相手にするモンテレイ(日本)のプレーを冷静に観察できるのでは、というのがもう一つの理由です。

チェルシーのベニッテス暫定監督はスペイン人で元リバプール(イングランド)の監督でしたが、この大会のために、

「ストライカーのトーレスを活かせる監督は誰が適任か?」

と人選したところ、同じスペイン人で実績もある彼を指名した由来があるのです。

短期間の指導で結果を出すコトを求められていたのですから、リバプール時代のトーレスとスペイン人のマタ、D・ルイスといった監督のコンセプトをよく理解した選手たちを通して、エースストライカーのトーレスを活かす戦略を企てたのです。

それが見事に的中して、トーレスとマタ、それにアザールやD・ルイス、A・コールといった選手たちの活躍を引き出したのでした。

そのコトが前もって分かっていながら、モンテレイのブセティク監督はその対応を怠ったのか、選手自身がチェルシーのアグレッシブな攻撃に戸惑ったのか、それとも、選手が監督の指示に従わなかったのか、その真相は分かりませんが、モンテレイの右サイドの守備は、チェルシーの左サイドからの攻撃に翻弄されていました。

前半17分、チェルシーは左サイドからMFオスカルに縦パスを入れ、彼はパスを受けながら振り向かず、相手を背後からマークさせたままボールをキープしながら後方に戻り、その瞬間後方から走り込んで来たサイドバックA・コールと交差しながらヒールキックでゴールライン方向に落とし、コールはすかさずゴール前でフリーのMFマタにグラウンダーのクロスを入れました。マタは落ち着いてゴール左にシュートを決めて、チェルシーが均衡を破り1−0で先行しました。

その後は、それまでチェルシーのスピード攻撃に戸惑っていたモンテレイですが、時間の経過と共に慣れるに従い、本来のリラックスしたリズムを取り戻していました。
正確で落ち着いたボールコントロールで速いパスを繋ぎ、守っては早いつぶしのインターセプトで互角に戦っていました。前半1−0で終了。

後半に入り開始早々1分、立ち上がりからチェルシーは、弱い右サイドの相手守備を突き、アザールが左サイドから見事なドリブルを駆使して3人の相手DFを交わし、ゴールライン際まで持ち込み、右後方に位置していたトーレスにプルバックで渡し、彼はそのパスを右足でゴールに向けてシュート、ボールは相手DFの足に当たりゴールに吸い込まれ2−0と引き離しました。

束の間の後半3分、チェルシーはトーレスが左サイドからドリブルしながら前の選手に短いパス、それを受けた味方の選手が、交差するようにしながら、足の裏でボールを後方に落とし、トーレスはそれを受けてゴール左手前まで持ち込み、右足のアウトサイドでファーポストの右側にパス、そこに現れたマタがゴール前にクロスしたボールが帰陣してきた選手の足に当たりオウンゴール、アッという間に3−0で試合を決定付けてしまいました。

その後は、チェルシーが少し気を緩めたのか、モンテレイが反撃したのかは分かりませんが、終了間際のアディショナルタイムにて、モンテレイのストライカー、ディ・グリスに右サイドの角度のない位置からシュートを決めらましたが、それで主審のタイムアップの笛が鳴りチェルシーが3−1で勝利、16日コリンチャンスとの王座をかけた決勝戦に進みました。

試合後TVの解説者?「格がちがいましたね!」とコメントしていましたが、本当にそう思いましたか? 結果と見た目の印象ではそう感じたかもしれませんが、私蜻蛉の目にはそうとは映りませんでした。

メキシコの選手は、相手のプレッシャーに対して、日本の選手のようにアッサリと安易にバックパスで逃れるようなプレーをしていましたか? 私の目にはプレッシャーに怖れず、リラックスに相手と向き合い、冷静にプレーしていたように見えました。このプレーは日本代表の選手に限らず、すべての選手が見習う必要があります。そのプレーできてこそ世界のトップクラスの選手たちと互角に戦えるのです。

前にも広島の選手のプレーで指摘しましたように、「リラックス」と「気の抜けた」プレーを混同してしまう意識の虚に問題がありそうです。

「集中せよ!」というコトの意味は、そういう「意識の虚による怠慢とか緩慢なプレーをするな!」というコトです。

 そういう意味からすると、モンテレイの右サイドの選手たちのミスはそのような傾向があったように、感じました。この他にも、最初のウルサン戦で調子が良かったモンテレイは、時差と移動とスタジアムの環境の違いに加え、寒さによる疲れが現れ、それらが原因で、時折集中力を欠く結果にもなっていたように感じました。

 相手をマークする場合、直接ボールをキープする相手へのズレが連鎖的にカバーする味方にも影響してズレてしまうコトがあるようです。

1点目の場合、ボールをキープしていたオスカルの後ろにマークしていた選手が、後方に戻るオスカルと後方から走ってきたA・コールを同時に視野に入れていなかったというプレーに問題があるのです。相手のおスカルは後ろ向きでしたので、危険な状況ではなかったのに、マークする相手の動きに気を取られて、密着し過ぎて、視界が狭くなり、危険な相手が進入してくるのを見逃してしまったところに、そのミスの原因があったのだと思います。

 2点目の場合は、アザールの単身ドリブルに3人の選手が簡単に抜かれ、しかもストライカーのトーレスに誰もマークする選手がいなかったというコトです。

現代サッカーの主流とも言える速いタッチのパスゲームに対してゾーンシフトに慣れた選手たちは、ドリブルで向かってくる選手に、マンツーマンで上手な詰めとタックルができなくなったのでしょうか?アザール、メッシ、ロナルド、ファルカンといった優秀なドリブルの名手に簡単にゴールを許してしまう、という欠点を暴露しているように感じています。

3点目も1点目と同じミスをおかし、トーレスにドリブルで簡単に振り切られて、マタのクロスがオウンゴールになってしまったのです。

 右サイドからの危険な攻撃はまったくなかったと言えるほどでしたから、モンテレイにしてみれば、もし右サイドの選手たちの不手際がなければ、互角に戦えたのではないか、というのが蜻蛉の目で見た感想です。

 明日16日は3位決定戦と世界一を決める試合が予定されています。準決勝の試合から見れば、チェルシーが優勢ですが、南米でのW杯予選にて、2試合単位で、この大会と同じような間隔の日程で試合が行われています。理由はよく分りませんが、2試合続けて、よいコンディションで、試合に勝つのは大変難しいようです。  

それでいくとコリンにもチャンスがありそうです。どちらにせよ、世界一の決定戦に相応しい、勝負だけに拘らない、内容のある試合を両チームに披露してもらいたいですね。

最後に、この試合をコントロールする審判諸氏にも、公平な審判をしてもらいたいと願い、この長い?ページを閉じたいと思います。

以上が蜻蛉のつぶやきです。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年12月14日金曜日

クラブFIFA・W杯サッカー観戦記 (3)


こんにちは! 蜻蛉です。クラブW杯の5位決定戦と準決勝は、昨日(12日)トヨタ・スタジアム(愛知)で行われ、Jリーグ・チャンピオン広島サンフレッチェがアジア・チャンピオンのウルサン・ヒュンダイ(韓国)に3−2で勝利して5位、南米・チャンピオンのコリンチャンス(ブラジル)はアフリカ・チャンピオンのアルハアリ(エジプト)に1−0で辛勝、決勝進出を決めました。

 さてきょうは、広島対ウルサンの試合だけについて話し合いたいと思います。

広島対ウルサンの試合は、ロンドン五輪での日韓による3位決定戦で、日本は宿敵韓国に敗れ、銅メダルを逸するという生々しい記憶を残した後の最初の日韓戦ですので、「日本代表の広島が韓国代表のウルサンとどういう戦いをするだろうか?」と大変興味深く期待しながら(TVにて)観戦しました。

 広島のスタメンは、GK西川、DFファン・ソッコ、塩谷、水本、MF(ボランチ)青山、森崎和(石原)、MF(アタッカー)石川(千葉)、高萩、森崎浩、山岸(清水)、FW佐藤。カッコ内は交代選手。

 広島はアルハアリ戦のメンバーとは異なり、顔面を負傷したGKの西川が復帰、同じく負傷した右DF森脇に代えファン・ソッコ、致命的なミスをしたセンターバックの千葉に代え塩谷、MF右サイドアタッカーのミキッチに代え石川、左サイドの清水に代えて山岸というように、大幅にメンバーチェンジをしていました。

 試合開始早々、ウルサンはダイナミックな動きで広島陣内に攻め込み、広島のDF陣を脅かしましたが、広島も徐々に盛り返して均衡を保ちかけていました。

 しかし、前半17分広島は思わぬDFのミスにて失点。DF水本がゴール前にて斜め前から来たボールを後ろに振り向いてトラップしてゴールへ向かってバックパス。GK不在の無人ゴールにボールは吸い込まれ、相手のウルサンに先制点を献上。

 この試合も広島は反撃し同点ゴール。前半35分、相手ゴール斜め右約25メートルの位置からMF森崎浩が左足でキック、ボールは弧を描いて相手ゴール左ポストの手前へ、FW佐藤がヘッドで合わせてシュート、相手GKが足で止めたこぼれ球をMF山岸がすかさず飛び込み足でプッシュし1−1の同点。

 その後の広島は同点で少し気が緩んだのか、第一戦試合で私が指摘したMFのアタッカーの動きが緩慢になり、ウルサンに押し込まれる場面が再三あったが得点までに結びつかず、前半1−1で終了。

 後半戦は立ち上がりウルサンがボールを支配していましたが、11分広島はMF森崎和、青山、高萩、森崎浩が中盤から前後に緩急を入れた絶妙なパスを繋ぎ、左サイドのMF山岸にパス、山岸は間髪入れずゴールのファーポストに向かってクロス、相手GKがキャッチしようと構えていたところにFW佐藤が前を横切るように飛び込み足に少しカスッて直接ネットに刺さる見事なゴールを決めて2−1。 

 その後のウルサンは15分にMFラフィーニョのシュートをGK西川が足で防いでから、ガタッと動きが止まり広島ペースでゲームは展開。

27分佐藤と高萩が相手ゴール前でパスを交わし佐藤がシュートを決めて3−1と引き離し、その後も追加点ができると思われましたが、攻めずに時間稼ぎかのようなバックパスの繰り返し、アディショナルタイムにてDF塩谷が不用意な切り替えしで相手にボールを奪われ、その瞬間に反則をおかし相手にFKが与えられ、それでゴールを決められたところで主審のタイムアップの笛がなり、広島が3−2で韓国のウルサンに勝利、5位を確保しました。

 広島の3試合を振り返って私が感じたコトは、キャプテンでエースでもある佐藤寿人を中心によく纏まった組織力のあるチームだ、という印象を強く受けました。また、このチームだったら準決勝に進んでもおかしくない、と思えるほど、ピッチ上で、その実力を示していました。しかしその半面残念なコトに、3試合の4失点すべてが、味方の不用意なエラーから生まれていたのは実に惜しまれます。

 そのエラーの原因は、広島の長所でもあるリラックスしたプレーが、ときおり、気の抜けたプレー(意識の虚)となって現れていたのです。そのために、試合中は集中力を欠かさないコトが大切だ、と感じました。

特に、MFのトップ下の高萩と森崎浩、それにボランチの青山と森崎和の、時折現れる緩慢なプレーが、最終ラインのDFの3人にもその癖が乗り移って、その結果、致命的なエラーとなって現れたようにも感じられました。

一人一人のボール扱いは実に丁寧で素晴らしいのですが、逆にそれらがスピードというかプレーのテンポを遅らせている原因にもなっているようです。

 攻撃に関しては佐藤のゴール前の動きの素晴らしさが目立ちました。しかし、両サイドからのクロスの不正確さが目立ち得点まで結びつきませんでした。それにMFの横への動きと縦への飛び出しの動きがなかったのには不満を感じました。

MFはボールがあるときの動きはよいのですが、ボールなしのときに止まっていたり歩いていたりで、相手がカウンター攻撃を仕掛けてきた場合に、帰陣が遅れて、致命的な結果にもなる恐れがあるコトを考慮してプレーするコトが望まれます。

 これら一連の課題を克服すれば、広島は来季のJリーグ連覇もACLのチャンピオンも期待できそうです。それだけの器がある素晴らしいチームでした。

 この広島サンフレッッチェで忘れてならないのは森安一監督の功績です。彼は、現役選手時代、当時のオフト日本代表監督の指揮のもと、無名のボランチとして、南米の強豪アルゼンチンを相手に堂々とデビューしていたのです。その試合後、当時世界的にも有名だった、MFのカニージャ選手に、ある記者が、「日本の選手で誰が印象に残ったですか?」と質問したとき、彼は、「16番(森安)が一番いやだった、コースに入ろうとするとその選手がいるのにはまいった」と応えたそうです。

その当時は、まだ「ボランチ」というポルトガル語の「舵取り」という言葉の意味もその機能も一般的には知られていなかったのですが、「森安」の名がクローズアップされてから、あっという間に、その言葉が広められたのです。

 監督就任1年目の彼は、広島をJリーグ初優勝させ、今回のクラブW杯で世界の強豪相手に堂々と戦いました。彼の手腕は、現役時代に養われた彼の先々を読む能力と経験が監督の仕事にも活かされているように感じました。

 それとJリーグのMVPをはじめ賞を独り占めした佐藤寿人こそ、広島の大看板、全試合出場、警告なし、得点王と、素晴らしい模範を示してくれた素晴らしい選手です。この大会でも、味方だけでなく相手の選手からも好かれている様子が、画面を通して見ることができました。ぜひ、これからも日本サッカー界を牽引して欲しい選手の一人です。

 昨夜のコリンチャンス対アルハアリの試合のコトについては次回に取り上げたいと考えています。よろしくお願いします。

 グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年12月11日火曜日

クラブFIFA・W杯サッカー観戦記 (2)


こんにちは! 蜻蛉です。 昨日(9日)クラブW杯の試合が行われました愛知県の豊田スタジアムは、雪が降っていましたね。

雪で想い出されるのは、今から約30年前、現在のクラブW杯のベースにもなっていますトヨタカップ“インターコンチネンタル杯”、欧州代表FCポルト(ポルトガル)対南米代表ぺニャロール(ウルグァイ)の試合です。

その日は大雪で、国立競技場のピッチは雪で覆われ、それこそ雪合戦の様相のゲームでした。またその試合前には黙祷がありました。
その年の12月8日、ペルーのプロサッカークラブで、最も古く、もっとも人気のある“ALIANZA LIMA”(アリアンサ・リマ)の選手団を乗せた軍用機が、ペルーの地方都市プカルパからの帰途、ペルーの首都リマ市の海上に墜落し、パイロット1人が救助された以外、乗務員、団長、監督・コーチ、選手、審判、応援団が全員死亡するという大事故がありました。その黙祷は、事故で亡くなられたサッカー関係者への、冥福の祈りだったのです。

当時のアリアンサは、将来ペルーサッカー界を背負うだろうと目されていた選手が揃っていましたから、それこそペルーの国民にとっても、もちろん私にとっても大ショックでした。

それまでペルーはW杯に2回連続出場していましたが、86年のメキシコ大会から2010年の南アフリカ大会まで出場できないのは、その事故のショックの後遺症が尾を引いているかのように思われます。
日本サッカー界にとってもこの事故は他人事ではありません。それも飛行機とは限りません。すべての面で危険防止の安全対策を怠らないコトが大切だと思います。

Hisato Sato (R) of  Sanfrecce Hiroshima challenges with Ahmed Fathi (L) and Wael Gomaa (R) of Al-Ahly SC during the FIFA Club World Cup Quarter Final match between Sanfrecce Hiroshima and Al-Ahly SC at Toyota Stadium on December 9, 2012 in Toyota, Japan.さてきょうは、昨日のクラブW杯準々決勝、Jリーグ代表広島サンフレッチェ対アフリカ代表アルハアリ(エジプト)の試合のコトについて語り合いましょう。

この試合、広島にとっては残念でしたが、サッカー関係者やファンにとっても、

「ゲームを支配しましたけれど、勝負で負けてしまいました」

という事実(サッカーのゲームはこういうコトが起こるのだ)を、ぜひ教訓として銘記しておいてもらいたいと願います。 

 この試合、立ち上がりから広島は、ボールを支配しながらゲームの主導権を握っていましたが、GK西川がゴール前の混戦で相手選手と激突して、顔面を負傷して退場するというアクシデントがあり、増田と交代。

 それが多少影響したのか、前半15分、広島の左サイドにミスがあり、相手選手に右サイドから簡単にドリブルでゴールライン際までフリーにボールを持ち込まれ、プルバック(斜め後方へのクロス)によるパスで、ゴール正面に位置していたMFハムディに、軽く左ポストの内側にプッシュされ、先制点を奪われました。

 この得点で、国際試合の経験が浅く、しかもGK交代による守備面の不安という焦りから、広島は自己崩壊するのではと心配されました。

第一戦の対オークランドとの戦評にて、

「DF陣が相手が攻めてこないのに前線に縦パスを入れたり、サイドからクロス

をゴール前に入れたりで、相手のDF網を破る破格的なプレーが見られない」

コトを、私は指摘しました。  

しかしその後の広島は、前の試合とはうってかわって、最終ラインの選手たちが、しっかりとボールをキープして、攻撃の起点になろうという姿勢がプレーの随所にて現れていました。これら一連の動きが、相手DFラインを前進させ、その裏にパスを入れて、両サイドの選手が再三フリーで抜け出し、ゴール前にクロスして、得点かなと思わせるシーンが何回かありました。

前半32分、左からのコーナーキック(CK)からMFミキッチがヘッドで右斜め前に落とし、エースストライカーの佐藤が右足(彼は左きき)で狙いすませたかのように同点弾を決めました。その後も、決定的と思われた勝ち越し点のチャンスもあったのですが結実せず、前半1−1の同点で折り返しました。

この日の2列目の攻撃陣、ミキッチ、森崎浩司、高萩、清水のラインの動きが前後、左右にボールを動かし、相手のDFをよく引き出していたプレーも、相手の裏のスペースに再三突破できた要因であったように思われます。

後半も同じペースで展開していましたが、不運にも、後半12分、相手の縦へのロビングによるパスが、広島ゴール前ペナルティライン上で、センターバックの千葉が相手のエースストライカーであるアブトレイカに競り負け、勝ち越し点を許してしまいました。

このときの千葉のポジションは相手の後ろに立たず、前に立っていたため、ボールをヘッドで捕らえられず後方に落としてしまい、相手にフリーで奪われシュートさせてしまった、という致命的なエラーをおかしてしまったのです。

この日の広島はJリーグのチャンピオンらしく最後まで諦めず、アフリカのチャンピオンを相手に堂々と互角以上に攻めまくっていました。後半35分、バックラインを抜け出した佐藤がフリーで、GKと1対1で向き合い、左足でシュートして、決まったかな?と思われましたが、ボールは惜しくも右ポストの外に逸れてしまい、絶好の同点チャンスを逃してしまいました。

前に述べましたように、広島は勝って当然と思われるゲーム展開をしながら、守備における、たった2つのエラーがそれぞれ得点に結びついてしまい、しかも得点できたと思われた場面で決めるコトができず、結果的には勝負で負けてしまったわけです。この教訓は日本サッカー界全体の問題であり、指導者の重大な課題です。

この試合の前に、アジアのチャンピオンのウルサン・ヒュンダイ(韓国)と北中米カリブチャンピオンのモンテレイ(メキシコ)との対戦がありました。

試合の結果はモンテレイが3−1でヒュンダイに勝利、準決勝で欧州チャンピオンのチェルシー(イングランド)と対戦します。

おそらく日本のサッカーファンの方々は、優勝戦はチェルシーと南米チャンピオンのコリンチャンス(ブラジル)との対戦を期待しておられるでしょうが、サッカーの指導者や選手には、メキシコのサッカーを特に注意して観戦して欲しいのです。と申しますのは、近年のメキシコサッカーは、南米諸国対抗のコパ・アメリカ、クラブ対抗のコパ・リベルタドーレス、コパ・スーダアメリカーナの大会に特別招待され、南米サッカーで揉まれながら強化されてきております。しかも日本のように欧州の進んだサッカーも導入し、その上、下部組織の育成も積極的に推進し、世界トップレベルを
目指し、真摯な態度で取り組んできております。

ロンドン五輪でブラジルに勝ち金メダルを獲得したのもフロックではありません。長期にわたって着実に努力を積み重ねてきた結果なのです。

「なぜメキシコサッカーに関心をよせてもらいたいのか?」

それは日本サッカー界が目指している目標とサッカースタイルがよく似ているからです。それに体格的にもよく似ています。

チェルシーという「名」より、モンテレイという「実」の方に注目してもらえれば、日本サッカーの課題にあるストライカーの問題ついても、参考になる「ヒント」が見つかるかもしれません。

最後は余談になりますが、モンテレイの得点を決めた選手の名前がコロナ選手とデルガド選手と日刊スポーツに記載されていましたが、スペイン語ではアクセント記号がなければ、語尾の母音の手前の母音にアクセント(記号なし)があり、「コローナ」と「デルガード」とそれぞれ発音するのが正しいようです。 

たとえばトヨタ自動車に「カローラ」という車がありますように、「カロラ」ではありません。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年12月7日金曜日

クラブFIFA・W杯サッカー観戦記 (1)


こんにちは! 蜻蛉です。前節に広島サンフレッチェが初優勝を決めた2012年のJ1リーグも、最終節は(残留か降格か)ドラマチックな結果で幕を閉じました。

 自力で残留できる順位にあった、一方のC大阪は川崎Fと負けていた試合を同点(2−2)に持ち込み辛うじて残留を決めましたが、もう一方の神戸は優勝した広島に0−1で敗れ降格が決定。

勝てば残留のチャンスがあったG大阪は磐田に1−2で敗れて降格決定。一番可能性が薄かった新潟は降格が決定している札幌に4−1で勝ち、神戸とG大阪が負けたため、逆転で残留を決めました。

アジアチャンピオンリーグ(ACL)出場権枠の3位争いも、浦和が名古屋に2−0で勝って権利を獲得しました。

さて、きょうは昨日(6日)開幕しました、クラブFIFA・W杯サッカー(日本開催)の第一戦Jリーグチャンピオン広島サンフレッチャ対オセアニア代表のオークランド・シティ(ニュージーランド)の試合がありましたので、そのコトについて話し合いたいと思います。

この試合はJリーグ優勝の広島がどのような試合をするか楽しみにしていました。しかし、残念ながら試合内容は、W杯らしからぬ守り一辺倒のオークランドに対して攻めあぐむ広島に、寒気を感じさせました。

開始早々の広島は、落ち着いてDF陣がリズムのあるパスを回しながら、相手のDFの間に、時折、強い縦パスを入れ、ワントップのエースストライカー佐藤寿人の変幻自在の動きからのシュートを狙っていたようすが見えました。

しかし、相手も佐藤の動きを警戒し、ゴール前の防御体制をコンパクトにして、隙を与えないよう応戦し、しかも上背の低い佐藤に対して、高さで有利な相手は、サイドからロビングタドリブンのクロスを入れてもクリアされ、なかなか得点に絡むようなチャンスはおとずれませんでした。

右サイドのMFミキッチがライン際をドリブルで相手DFを交わしクロス入れたり、再三CK(コーナーキック)などでゴールを狙っていたのですが、佐藤には相手が仕事のスペースを与えず、抜け出してもオフサイドにとられ、どうしても相手の鉄壁な厚い防御を破れず前半0−0で終了。

後半はトップ下のMF森崎浩司と高萩が佐藤の前に飛び出したり、ミドルシュートしたり、また、右と左サイドのミキッチと清水が縦へのドリブルからクロスするだけでなく、中に切り込むドリブルからシュートするプレーを期待したのですが、相変わらずパス回しで、相手の守備網を破るような破格的な動きがなく、一方の佐藤もポジションを変えてスペースを作る動きをしていたのですが、二列目の動きがそれに対応せず、得点には結びつかなかったようです。

このような状況に、突然救世主MFボランチ青山敏弘がゴール前30メートルの位置にボールをキープして現れ、少し右側にドリブルしながら無回転の強烈なクリーンシュートでゴールの左上の隅に決まり、ようやく0−0の均衡を破り、その得点が広島に勝利をもたらしました。

結果的には広島は勝ちましたが、佐藤の得点に頼る攻撃陣に、一抹の不安が感じられた試合内容でした。次の試合は、もっとMFが縦横に動かなければ勝機はありません。
もっと内容のある試合をしてもらいたいと思います。

 これは蜻蛉のつぶやきです。

グラシアス!アスタ・ラ・プロクシマ

2012年12月2日日曜日

英語(外国語)教育とサッカー 2/2


こんにちは! 蜻蛉です。 2012年の11月も今日だけ? ペルーから一時帰国して1年4ヶ月? 「もうそんなになる??」 実感が湧きませんね〜。

 この『蜻蛉ちゃんのサッカー』シリーズも昨年12月22日にスタートして以来80回目になりますが、今後ともよろしくお付き合いさせて下さい。

 さてきょうも前回の「英語(外国語)教育とサッカー」というテーマについて、引き続き述べてみたいと思います。

 「英語教育の不備」

 教育は漸次頭脳を作り上げていくという長所があります。しかし、これが逆に短所になるコトもあるのです。私たちが話す日常会話は、学校で習ってからではなく、幼児の頃から、親や兄・姉など、周囲の人との触れ合いから自然と身につけてきたはずです。

 「なぜ日本人には英語の発音がむずかしいのか?」

 「なぜ英語らしい英語を話したり、書いたりするコトがむずかしいのか?」

 私は語学の専門家でもないし、教える立場でもありません。無責任ではありますが、私のサッカー哲学からの見解でこの問題を結論的に言うコトを許されるならば、日本のサッカーと同様に、初歩の段階において、誤った指導の仕方をしているのではないでしょうか。

 子どもたちは歌が好きです。歌にも多様なリズムがあって、耳から聴き取って歌うコトができます。歌だけではなく、動作やジェスチャーと表情までマネするコトもできるはずです。

 サッカー少年たちも、プロやアマチュアの試合を観戦しながら、印象的なプレーヤーのボール扱いや体の動かし方などをイメージし、近所の友達と遊びながら、自然と、サッカー選手らしくなっていくのです。その遊びの場がイメージしたプレーを表現する舞台なのです。その技能の習得は子どもが歌えるようになる過程とそれほど違いはないと言えそうです。

 

約30年前、ペルーに住む私に日本サッカー協会と縁結びのキッカケをつくっていただいた、当時協会事務局長でおられた、中野登美雄さんの言葉は今でも鮮明に覚えています。

 「海外によく出かけるけれど、ときには、1週間で欧州と南米各国を回ってくる 

コトもあるんだよ。なかには、英語が通じない国もあるが、そのときには、空港や機中で、その国の言葉のテープを聴きながら、言葉のリズムを掴むよう心がけている。
すると、相手が何を言おうとしているのが分かるんだよ」

中野さんは、外国のサッカー関係者の中で、“トミー・ナカノ”で知られていて、当時からW杯開催を夢見て、世界的には知名度が低い、日本サッカーのPRを兼ねて、重要な交渉に当たっていたのです。

日本サッカー界に有形・無形の財産を遺し協会を去られましたが、約20年後に開催を実現した裏には、トミーさんの優れた語学力、サッカー選手の経験、インターナショナルの性格と豊かな人間性、サッカー愛と情熱等々が、海外サッカー界の関係者の眼を日本に向けさせていたのです。なぜなら、トミーさんは、

「もちろんW杯を日本で開催するコト、自分が協会にいる間にできなくとも、その基盤だけでも作りたい」

と、眼鏡の奥の瞳を輝かせて語っていたからです。

 「耳学問」というと多少バカにされそうですが、言葉を覚えるには最も優れた方法だと思います。赤ん坊が母親の言葉を教わり覚えていく順序を踏むようにするコトです。

 外国人と話す時に、まず日本語の文章で考え、それから頭の中で英語を組み立ててから、ボツボツと話す。たとえ発音が立派であっても、二重の頭脳労働になり、とても実際には、役立ちません。それでは「ハイ品切れです!」と、15分ももたないでしょう。これは私自身が実際に体験してきたコトですから、自信?を持って断言できます。

 サッカー流にやるとしたら、他人のしゃべる言葉をそのまま覚えて、それを忘れないよう、同じような場所や機会にて、おしゃべりを連発するコトです。恥ずかしいと意識する前にこれをやるのが理想でしょう。

 恥の上に立ってやるコトです。恥ずかしさこそ、語学の進歩を妨げる敵なのです。ボールリフティングやドリブルなど、人前でやるのが恥ずかしいからと、コソコソと隠れてやっていると、肝腎なときに恥をかくコトになるのです。いわゆる「接触プレーに慣れる」コトです。

 日本の英語教育は、文部科学省の指定する教育基本法、学校教育法および同法施行規則や教育委員会規則、ならびに中学校学習指導要領の示すところに従って教育課程を編成するコトが義務づけられており、英語も選択科目ではなく必須教科になっています。(現在は多少変更しているかもしれませんが)

 このような法律や規則にしばられ、指導カリキュラムと、教科書を編成しているところに問題があるようです。その上高校や大学の入学試験にしても、企業の入社にしても、英語の筆記試験、という大きな壁が立ちはだかっているのです。

 これらの壁があるというコトは、学校で、英会話を自然に習うコトは困難を要します。なぜなら、英語の授業が、日本語と英語で聴いたり、話したり、読んだり、書いたり(英文和訳・和文英訳)などで、英語だけで授業が進められないからです。それ以外にも、外国人と同じように正しい発音で指導できる英語教師にも限度がある、という事情もあります。

 サッカーは、いまや世界的なスポーツになり、国際交流が頻繁に行われています。また、海外で活躍している選手たちも大勢います。中には、流暢に現地の言葉でインタビューしている選手もおります。たとえば、現在柏レイソルで活躍している沢昌克選手がペルーのプロチームでプレーしていたとき、ペルーのTVスポーツ番組にゲストとして招かれ、流暢なスペイン語で、堂々と対話していたのを見ております。

 考えてみてください。私たちは学校で英語を何年学習してきたのでしょうか? 10年は経過していると思いますが、読めても、聴き取れない、話せない、書けないのが現状です。それなのに、専門家やお役人さんたちは、

「その現実を直視するのを避けているかのように思えてなりません」

以前にも同じようなTV番組がありまして、私のような意見を述べても、専門家?の人の応えは「否定的」で、何の進展もなかったのです。

サッカーの指導で注意しなければならないのは、「オーバーコーチング」です。日本の選手が伸び悩むのは、ジュニアの世代から、指導者が戦術的なコトやむずかしいテクニックを教え過ぎ、早咲きさせて、外国の同世代の選手と比較してテクニックが優れているように感じさせられているのです。このような言い方をしたら、おそらく、反発されるでしょうが、それが現実です。

日本サッカー界は欧州で多数の選手が活躍しています。彼らの体験をサッカーだけに限らず、言葉も含めた生活と交流等々を、教育にも活かせるように積み重ねていけば、自然と良い方向に展開できるのではと期待できそうです。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年11月29日木曜日

英語(外国語)教育とサッカー 1/2


こんにちは! 蜻蛉です。 J1リーグは、仙台が地元で新潟に0−1で敗れ、地元でC大阪に4−1で勝った広島が1節を残し初優勝しました。

 J2リーグの3‾6位によるプレイオフも、6位の大分が5位の千葉に1−0で勝ち、大分がJ1への昇格を決めました。

敗者の仙台も千葉も大変残念でしたが、これが「意外性の芸術」とまで言われるサッカー競技の、恐ろしさであり、面白さなのだ、というコトを顕著に感じさせる試合の結果であったように思われます。

さて、前回2回に分けて、「フィジカルトレーナーの使命」について述べました。私が日本に一時帰国して以来、日本サッカーとその他のスポーツを垣間見てきて、日本人の技術は、外観的には素晴らしいように見えますが、内部感覚の視点から覗きますと、根本的な「何か」が足りないように感じています。

その足りない「何か」のひとつが「フィジカル」であり「フィットネス」にある、というコトです。基本技術にしても、その基礎はカラダというフィジカル面での「身のこなし方」にあるはずです。

ゴルフに例えれば、日本人と韓国人のゴルファーを比較してみると、根本的な技術の差を感じさせます。不安定な日本人に対して、安定感のある韓国人ゴルファーが大半のカップ戦を制覇しているのは、本当の意味での基礎体力に裏付けされた基礎技術があるからこそ結果として現れているのだ、と私はそう感じています。

先日TVにて、学校の「英語教育」をテーマにして、「小学1年生から英語の授業」とか「英語だけでの授業」等々について、専門家を交えて論議しておりました。

これらの問題は、国際交流の多くなった日本サッカー界というかスポーツ界にも直接関係するコトです。偶然にも、私が執筆している『サッカー文化と異文化の内外相合』という題名の原稿に、「英語教育とサッカー」という1項を載せていますので、その一部を抜粋して皆さんに紹介したいと思います。

「日本人の英語はよくわからなかった」

この言葉は、2002年日韓共同開催FIFA・W杯サッカーの大会を取材していた、外国人記者の批評のひとつだったのです。

彼らにとって、W杯の運営はすべてにおいて、実に快適だったようです。日本人の親切な態度やサービス(世話)、そして、時間に対する厳格さなどは、文句なしにベタホメでした。しかし、彼らにとって一番困ったのは、やはり日本人とのコミュニケーションにおける、言葉に問題があったようです。

言葉の問題については、むかしから取り上げられていたコトですし、これからも容易に解決できる問題ではないコトかと思われます。なぜならば、日本語の性格は、二重構造からくる曖昧さと、文法的にも発音においても、外国語と親戚をもたないまったく異なる言葉だからです。ですから、日本語で考え、そして、外国語で同時に話すなどは容易ではありません。

「サッカー選手になるには、中学生から始めたのでは遅すぎる」、この言葉は、来日した、外人コーチの共通した忠告でした。しかも、彼らは、学校で習うサッカーについても限界があるコトも指摘していました。

私がストリートサッカーを繰り返し強調しているのは、言葉に置き換えれば、日常会話や日常用語を、家庭や普段の生活の中で、自然に習得していく過程と一緒だ、と思うからです。ある国で生まれた子どもたちは、その国の言葉を、普通誰でもが、話せるし、別に学校で習わなくても喋れるはずです。

言葉と同じように、サッカーは学校やクラブで習わなくても、近所の仲間と、道端、公園、広場、空き地、海岸などでのゲームでサッカー選手の素養は自然と身につけられるのです。

英語でもその他の外国語であっても、聞き取れて話せるというコトが、その後、どれだけ有利に展開するか、体験した人たちはよく理解していると思います。聞く コトと話すコトは、建築や大工のための、道具であり用具であるはずです。極端で失礼な言い方になりますが、日本の英語教育は、道具や用具なしでモノを作ろうとしているのではないでしょうか? (次回につづく)

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年11月24日土曜日

フィジカルトレーナーの使命 2/2


 こんにちは! 蜻蛉です。 今日は国立競技場で、Jリーグ昇格を賭けた大事な一戦、J2の千葉対大分、の試合が行われます。、生憎の雨ですが、現在両チームの持っている力を存分に発揮し、悔いのない試合ができますよう健闘を祈っています。


 さて、きょうは前回に引き続き、サッカーの「フィジカルトレーナーの使命」について述べたいと思います。

 前回のつづき:

 フィジカルトレーナーはたとえアマチュアであっても、選手という人間の生命をあずかるのですから、その仕事の使命は、プロと同様重大です。日本の学校では、おそらく、コーチか先生または生徒がその使命というか役割を受け持っているコトでしょう。

 フィジカルトレーニングは医学的にも生理学や心理学と密接に関係しています。もちろん技術や戦術にも関係しています。ですから、監督やコーチの立場とは別の角度から客観的に観られる専門トレーナーが絶対に必要なのです。

 学校では部の予算に限度があり、良いと思っても、グラウンドの芝生と同様に、実現させるのは困難を要していると思います。そのかわりに、フィジカルトレーニングの講習を受けた体育大学の学生に実習指導してもらうのはどうでしょうか?

 2001年11月、ペルーのリマ市で、FIFA公認インストラクターである、ミリヤン・ミリヤニッチ(元ユーゴスラビア)の特別講習会がありました。

その講習会にて、青少年の育成とその指導で重視していかなければならない幾つかの課題を挙げました。そのなかで彼は、

 「プレーヤーの体力および精神面での回復は大変重要な課題である」

コトを特に強調していました。

 サッカーのレベルを上げるには、フィジカルトレーニングが重要であるコトを前に述べていますが、同様に、トレーナーの使命は、人の生命をあずかり、創造性の開発から人格形成にも関わる、大変デリケートな仕事で、責任の重い仕事でもあるのです。そのため、練習や試合だけでなく、選手の私生活から普段の行動まで考えて管理しなければなりません。特に、選手の健康状態を知るためには、医師の協力が絶対に必要です。また、チームを受け持つ監督やコーチとの連携と相互理解も不可欠なのです。

 繰り返しますが、日本のサッカー界がフィジカルトレーニングとフィジカルトレーナーの仕事の重要性を理解し認めて、一般の各クラブや学校の部活動にその専任者が当たるようになれば、それだけでも日本サッカーのレベルは高揚します。また、監督やコーチのレベルも相当に上がります。それに日本人は向上心がありますから、フィジカルトレーニングも外国でできた理論だけに頼らず、独自の理論を確立できるようになるコトが期待できます。

 

 エネルギーの再生や回復を生理学的角度から研究されていますが、気功と中国拳法の技を活かすコトによって容易にクリアーできる可能性もあります。

 これまでのサッカーは、頭や心で考えて、行動に移してきていますが、私が考案している『土俗的な忍者式サッカー』の真髄は、「モノゴトを腹に考えさせ、腹で行動せよ!」という「腹」すなわち「丹田」の哲学なのです。

 その哲学で武装した土俗的な忍者こそ、日本サッカーが理想とする選手の姿です。

 グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

ありがとう! つぎの機会にお会いしましょう。という意味のスペイン語です。 

2012年11月23日金曜日

フィジカルトレーナーの使命 1/2


 現在、日本人で、サッカーのフィジカルトレーナーの仕事をしている方がおられますが、外国のようなプロの専業トレーナーをされておられるのでしょうか?また、サッカー専門のフィジカルトレーナーの講習会や資格制度は日本にあるのでしょうか? なぜこのような質問をするのでしょうか?
こんにちは! 蜻蛉です。冷え込みが厳しくなってきましたが、皆さんお元気ですか? 私はこの寒さにもめげず?半袖のシャツ姿で毎朝近くの公園に行って、気功、階段の昇り降り、ランニング、ウオーキングなどでカラダとメンタルを鍛えて?います。お陰で、今のところ体調がよろしいようです。

 さてきょうは、少し話題を変えまして、私がペルーで執筆した『土俗的な忍者式サッカー』という題名の本(出版予定?)の原稿に記載している一項「フィジカルトレーナーの使命」を皆さんに紹介したいと思います。

 

サッカーの技術を向上させるのには、その基礎となる、フィットネスが必要です。また、フィットネスと技術が向上すれば戦術の水準も向上します。高度な戦術を求めるには、さらに高度なフィットネスと技術が要求される。というように、技術・戦術・フィットネスは、相互に干渉作用しながら、相乗的に累積効果をあげ、向上していくのです。

 フィットネスという用語は日本語で体力と言う意味で使われていますが、本来は適当とか適合または能力とか健康という意味です。体力は運動とかスポーツそのモノの目的ではなく、ある目的を達成させるための手段としての機能です。

 スポーツの定義が広がるにつけて、体力が身体だけに限らず、精神的な要素も加えられてきたコトから、体力という用語が身体または肉体的な意味にのみ解釈されるのを避けるため、現在まで日本語としての適切な言葉がないため、英語のフィットネスをそのまま使用しているようです。


 その理由は、ペルーサッカー界で専門職としてトレーナーの仕事をしている人はたくさんいますが、次のような問題があるのです。フィジカルトレーナーの使命と責任が監督やコーチによく理解されていない場合と、逆に、フィジカルトレーナーが理解していないケースもあるコトです。

 たとえば技術や戦術練習の前、トレーナーは、監督やコーチから「このような練習をするから、選手たちのコンディションを、その時間までに整えてほしい」、と指示を受けます。それにもかかわらず、トレーナーが指示されたコトを無視するコトがあります。また逆に、トレーナーが指示を受けたとおりに準備したのにもかかわらず、その練習内容を替えてしまう監督やコーチもいるのです。

 このような例は、両者の連携がとれていない、理解していない、あるいは信頼していないなどで起こるケースです。

 その場合の犠牲者は誰なのか? それは選手たちです。このような準備段階でのズレとか狂いが、つぎの試合の結果に現れるし、選手の体力やケガにも関係してくるのです。

 日本のサッカーをさらに高い水準に上げるには、フィジカルトレーナーが監督やコーチと同様に、専門職として認識されなければ優れたトレーナーは育ちません。もちろん優れた監督やコーチも育ちません。その結果ととして、優れた選手も育たないコトになるのです。

 プロの外人監督が、アシスタントコーチだけでなくフィジカルトレーナーを指名するのは、これらの理由からです。監督がいくら技術や戦術の指導が優秀であっても、これらを支えるフィットネスが伴わなければ、一時的な結果を出せても次第に下降線をたどってしまいます。過去に名声を残した選手が、自分の体験を信頼して指導する場合に、よく陥るケースです。 

 フィジカルトレーニングが技術や戦術を支えているように、日本サッカー界のJリーグの1部と2部は、ユース・ジュニアのほか、JSLや一般・企業・大学・高校・中学・小学校等のクラブにより支えられているのです。支えている同士が結束されれば、日本サッカー界をさらに改革できる、と私はそう信じています。(つづく)

 グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年11月16日金曜日

ザックジャパン VS オマーン 観戦記


こんにちは! 蜻蛉です。 「勝ちました!!ザックジャパン」 私は生まれて初めて日本代表チームのユニフォームを着て、TVの画面の前で応援しました。



 さてきょうは、昨夜(14日)中東オマーンのマスカットで行われた、2014FIFA・W杯(ブラジル開催)アジア最終予選、日本代表対オマーン戦のコトについて、話し合いたいと思います。

 正直なところ、私は日本が「勝つ」とは期待していませんでした。「引き分けならば満足だ」ぐらいに思っていました。しかしその結果は、予想を上回る、2−1という、好ましい結果(勝利)を出してくれました。

 今回の予選の目標は、W杯本大会出場権(キップ)を獲得するコトが第一.、それと並行して、本大会までに、世界の強豪と伍して戦えるだけのレベル向上を目指すコトであったように思われます。

ザックジャパンは、この2つの大目標を達成すべく、これまで邁進してきていますが、今回の勝利によって、第一の目標はほぼ達成できたようです。

昨日の試合を観戦して私が感じたコトは、日本が良かったというより、ホームのゲームとは思えないような、オマーンの中途半端で不甲斐ない戦いぶりでした。

この試合の日本スタメン(交代選手)は、GK川島、DF(右から)酒井宏樹、吉田、今野、長友、MF(ボランチ)長谷部、遠藤(高橋)、(アタッカー右から)清武(細貝)、本田、岡崎、FW前田(酒井高徳)。

試合開始早々に、日本は大ピンチ、オマーンの選手は右サイドから抜け出て、ゴールライン沿いから無人のゴール前にグラウンダーのクロス、そこに飛び込んできた選手がダイレクトシュートしましたが、バーを越えて得点にはなりませんでした。

このシュート失敗が勝負の明暗を分けてしまった、と言えるほど容易に得点できると思われたシーンでした。

日本は、前半16分に、右からのクロスをMF岡崎がヘディングシュートしたあたりから攻撃のリズムが出てきました。

前半20分、日本は中盤からDF今野が、左サイドラインを走り抜けるDF長友に縦パスを送り、絶妙なトラップをした長友はゴール前にクロス、相手DFの足に当たりゴール前にこぼれるところにMF清武が飛び込んで左足でプッシュして先制点を決めました。
日本はこの1点を守り前半を終了。

心配されていた猛暑の影響があったのは、エースのMF本田とDFの要の吉田が目立ったようで、その他の選手はそれほど影響を受けたと思われるような感じはしませんでした。

前半戦で驚いたのは、ホームのオマーンが攻撃を仕掛けないで、逆に、日本に攻撃させ、カウンターを狙う作戦に出たコトです。これで日本は自分たちのペースで試合運びができた分、猛暑によるエネルギーの消耗をある程度抑えるコトができたようです。

後半戦は照明がつき、気温も下がってきたコトで日本の選手に有利になったように思われます。それにオマーンのカウンターを防ぐために、日本の得意な横パスを少なくして、果敢に相手のDFラインの裏にパスしたり、くさびのパスを入れたりして、相手の出鼻を挫(くじ)く作戦が功を制したのか、オマーンがなかなか得意の速攻が活かせなかったようです。この縦へのパスは、ザッケーローニ監督が選手たちに以前から指示していたコトです。パスは不正確でしたが、監督の意図が選手たちに浸透したように感じていました。

ところが、後半30分過ぎ、左サイドを突破したDF長友がクロスしたボールが相手DFにカットされ、速攻のカウンターを食らい、DF吉田が相手を制止させるために反則をおかし、オマーンにフリーキック(FK)を与えました。

この吉田の反則はしょうがないと思われたでしょうが、私は彼自身が正常な状態だったら反則しなくとも防げたと感じました。この試合の吉田は、判断力がまったくと言えるほど機能していない、と私は感じていました。猛暑の影響だけでなく、イングランドの彼の所属しているクラブでのプレーにしてもあまり機能していないようで、彼自身、プレーに(スランプのような)迷いがあるようにも感じました。

このFKに対し、4人の壁で対応しましたが、相手のキッカーが蹴った瞬間、(ゴールから見て)左端の選手(岡崎?)がジャンプした足元を通過して、GK川島の左にシュートが突き刺さり、同点ゴールを許してしまいました。

この得点までの経過から覗くと3つのエラーが日本側にあったようです。その1つは、容易にカウンターを許してしまったコト、2つ目は、吉田のエラー、3つ目は、壁の選手のエラー(壁は動いてはならないはずです)、というように、エラーが連鎖した、と思われます。

この試合の最後に、日本に幸運をもたらしてくれたのは、内田篤人選手のケガによる欠場で、最後に、急遽召集された酒井高徳選手でした。

ザック監督が最初の交代選手FW前田に代え、DFの酒井を指名し、ポジションを左サイドバックに、長友を左のMFに前進させ、その後、MF清武に代えてMFボランチ細貝が入り、遠藤をトップ下に前進させ、本田のワントップ、右のMFアタッカーに岡崎、というように、選手のポジションを大幅に変えました。

それが結果を出すとは想像もつかなかったのですが、後半44分、左サイドから酒井高徳がスピードのあるドリブルで相手のマークを交わし、ゴールライン際からドリブン(ライナー性)のクロスを入れ、遠藤が予測していたかのように二アポストの手前に飛び込み、飛び蹴りのようにして右足のアウトでかすめゴール前に流し、そこに飛び込んできた岡崎がカラダを投げ出すように左足でプッシュし決勝ゴールを決めました。

前回のブログでサムライブルーではなくザックジャパンとしたのは、今回のサムライブルーは選手たちの力だけでは解決できない、多くの難しい問題があり過ぎて、その課題を克服するには、監督の手腕に頼らなければならないという理由からです。

幸いにも監督のヒラメキが、日本の勝利を導いてくれたと私は感謝しております。

一方のオマーンのルグエン(フランス人)監督のホームらしからぬ消極的な采配には疑問を感じました。

 2002年の日韓共催FIFA・W杯の日本対トルコ戦でのトルシーエ(フランス人)監督の率いる日本代表も、それまでの試合振りと打って変わり、今回のオマーンのようであったコトが想い出されます。

この試合の90分を通して、オマーンの選手から、「1位の日本を蹴落としてやろう」、という気迫がまったく感じ取れなかったのも、監督自身の、この試合にかける、意欲が選手たちに伝わらなかったようにも思えます。

ルグエン監督は「現実を直視しなければならない。我々は非常に優れたチームと対戦した」という談話を試合後に述べていますが、如何にもフランス人らしい表現で、選手たちの意欲を焚きつけるような言動が現れていない感じがしました。

日本選手のプレーで疑問に感じたコトは、おそらく監督がもっと「ボールを前に放り込め」という指示があったかもしれませんが、相手のオマーンが引いて前に出てこないのに、なぜ前にパスを入れなければならないのか?、というコトでした。

勝っている試合なのに、余分なリスクと体力消耗という悪循環を、自ら作り出しているプレーには、まったく理解できません。たとえ監督が指示していても、その場での状況判断は選手自身にあるべき、そこに外人監督の指示の意図と日本の選手の受け取り方というか認識の仕方の差があるようにも感じました。

エースの本田ですが、気温が30‾40度Cも違う環境に放り込まれ、調整時間もなくいきなり厳しい90分の試合をするのは酷である、と同情せざるを得ません。

本田は確かに本来のエースらしいプレーはできませんでした。しかし、その苦しさを表面に出さず、90分間ピッチで黙々と耐え、チームプレーに徹していた姿に、彼のエースとしての責任感が感じとれました。

他に個人的にも注文をつけたい選手もいますが、今回は余計なコトだと思いますので、後ほどの機会に述べることにします。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年11月14日水曜日

サムライブルーは中東の猛暑に耐えられるだろうか?


今回の日本代表の主力選手は、この「猛暑」に対する準備ができていない状態で、本拠地で無敗のオマーンに対して、どこまで耐えるコトができるのか? ただでさえ難しい敵地での戦いに加え、試合時間が午後3時半で、気温がC40度前後という酷暑の中で、ピッチの11人の選手が90分間集中力を保てるのかどうか?


こんにちは! 蜻蛉です。 期待されたフットサル日本代表は、後半戦に素晴らしい勢いでウクライナ代表を追い上げましたが、前半の大量失点(0−6)がたたり、3−6で敗れました。しかし負けたとはいえ、フットサル日本の明日の可能性を感じさせる、立派な試合をしてくれました。

さて、日本サッカー界にとって明暗を握るとも言える試合が、明日(14日)の午後3時半(日本時間の午後8時半)、炎天下の中東オマーン(マスカット)にて、2014年ブラジル開催FIFA・W杯アジア最終予選の後期第1戦、サムライブルー日本(1位、勝ち点10)がオマーン(2位、勝ち点5)と対戦します。

きょうは、表題に示しました「猛暑」という、外的なファクター(要素、素因、要因)が、どれほど試合の結果に影響を及ぼすか? その問題について話し合いたいと思います。

私が住んでいるペルーの首都リマは太平洋に面していますが、南米大陸を縦断する有名なアンデス山脈には、クスコ、アレキーパー、プーノ、ワンカーヨ、アヤクーチョ、カハマルカといった海抜3千メーター前後に位置するペルーの主要都市があります。それに、赤道に近い猛暑の、海岸地帯のピウラ、アマゾン川流域のイキートスやプカルパといった都市もあります。

ペルーのプロサッカーチームは、戦術、技術、体力といったサッカーの3大要素に加え、高地対策、猛暑対策といった2次的な要素をも考慮した練習や試合の計画を立て準備しなければならないのです。

たとえば、現在南米でもW杯の予選(ブラジルを除く、9ヶ国2回戦総当たり)が行われていますが、ボリビアのラパス、エクアドルのキトー、コロンビアのボゴタといった高原都市での試合もあり、他の国の代表チームを悩まさせているのです。

小野や高原等の日本代表選手がエクアドル開催のFIFA・W杯U−17出場のため、時差調整にてリマで合宿した際、日本サッカー協会のスタッフの方から、「高地対策」「猛暑対策」「時差の対策」といった、3つの資料を私はいただきました。

その資料の「対猛暑編」には、特に、灼熱による脱水症状とそれの予防と対応策が記載されていました。その資料は手元にはありませんが、酸素と気圧に関係する高地と同様に、猛暑の対応も短期間で順応させるのは、相当に厳しい条件であると考えられます。


それに今回のオマーンは、現在1位の日本を追う立場にあり、充分すぎるほどのモチベーションがあるコト。一部の情報によれば、オマーンは国を挙げて、日本にプレッシャーをかける戦略を考えているようです。

どう考えても、サムライたちが日本や欧州で戦うような、ゲームを支配する動きのある展開ができるとは思えません。むしろ体力の消耗を避けるために、無駄な動きをできるだけ少なくし、隙をつくらぬよう守備を固めながら時間を上手に操作し、わずかなチャンス(セットプレーも含めて)を活かして結果を出す以外、日本代表の現在の状態から見て、勝つ方法はないと思われます。

セットプレーといえば、オマーンにとっても得点のチャンスですから、パッシングゴール同様またはそれ以上十分警戒しなければなりません。どちらにせよ、ピッチの11人が集中力を高め、たとえ1人でも虚をつくらせないようにするコトです。

ザッケローニ監督がどのような作戦を練っているのか? それに個々の選手が、この暑さにどれだけ耐えうるのだろうか?これは監督自身もはかりえない課題です。それだけにこの試合の予想は立て難い、と言わざるを得ないのです。

トルコ開催のFIFA・W杯U−20のアジア予選に出場している日本代表U−19は、アラブ首長国連邦(UAE)にて、準々決勝でイラクに敗れ、三回連続出場権を逸したそうですが、やはり猛暑の影響が多少なりともあったようです。

今回の試合は、同じような条件の、ヨルダンとイラク戦が後に控えているコトからして、猛暑の中で、サムライブルー日本がどう戦うか? それがザックジャパンの見どころだと思います。

日本代表の選手たちには、ぜひ後の残りの試合に繋がる、猛暑を吹き飛ばすような逞しい試合をしてもらいたい、と願いをこめてこのページを閉じることにします。

「がんばれ!! サムライブルー、ザックジャパン」

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年11月11日日曜日

対オマーン戦を前にしたザックジャパン


こんにちは! 蜻蛉です。 秋晴れの済んだ空の下、みなさん元気にお過ごしのことと察します。 2012年も残すところ、あとわずかになりましが、サッカーファンにとってこの時期は、楽しみである反面、気がかりな面がある、と察します。
 その楽しみと気がかりの両面をもった大事な試合の一つ、FIFA・W杯アジア最終予選、サムライブルー日本対オマーン戦が、来週の水曜日(14日)オマーンのマスカットにて行われます。

きょうはその試合について話し合いたいと思います。表題に「ザックジャパン」としたのは、今回の試合ほど、「アルベルト・ザッケローニ日本代表監督自身の手腕というか戦略が試される大事な試合はない」、と私は観測しているからです。

今回の試合は、この予選の折り返しの第1戦であるコト、それに中東のヨルダンとイラクとのアウエー戦が後に控えているコト、それに選手たちのコンディションが前期に比べて良くないコト(主力の欠場も含めて)など、気がかりな面があるコトが、そのまま監督の重要な課題になっているのでは、と私は予測しています。

それに、冷気の漂う欧州や日本の環境でプレーしている選手たちが、中東のような猛暑の環境と時差に、数日で順応できるのかどうか?それも気がかりです。

この予選前期の日本は、欧州組の選手たちが休暇で、気がかりなく代表の練習に集中でき、しかもエースの本田が復帰し、チーム内の雰囲気をガラリと変え、選手間のコミュニケーション(意志の疎通)が良くなり、ゲームにおいても、その効果が顕著に現れていました。

しかし今回は、香川と内田がケガで離脱し、宇佐美貴史と酒井高徳が招集されましたが、ザック監督は「2年たっても大きく成長していない。現在やっているコトは、2年前できていたコトをやっているだけだ」と、若手選手の出場機会がない理由とチーム内での競争力の乏しさに対し、厳しい評価をしています。

代表選手たちは長年一緒にプレーしてきた仲間であっても、その期間は、クラブ内の選手たちと比較したら、ほんの僅かでしかない。そのようなバラバラなコンディションの選手たちを、アウエーの試合で勝てるように、数日で纏めあげるというコトは、監督とコーチングスタッフにとって、至難の業。もちろん、選手同士にとっても同じ悩みであるはずです。

それに、主力選手たちの怪我(ケガ)と海外の若手選手等が各々のクラブでフル出場していない、という現実問題もザックジャパンの悩みであるはずです。

そのような負の加重をかかえたチームをどのようにプラス志向に導くのか、そこに監督の手腕が期待されるのです。

ザック監督に私が期待しているのは、イタリア人らしいリアリズム(現実主義)なサッカーを披露してほしい、というコトです。それに、勝ち点1または3の結果を出してもらいたい、という注文です。

その結果を出すためには、守備を堅くして相手に得点を許さないコト、逆にオマーンの守備の隙を狙ってカウンター攻撃で勝負(対フランス戦のように)するコト、というアウエー戦法の常識を適用するコトです。

「早く出場権を獲得したいから」、と勝ちを急ぐと、逆に相手のカウンターの速攻を受け、取り返しのつかない得点を相手に献上するコトになります。それだけは絶対にあってはならないのです。

この予選はチャンピオン戦ではなく、グループ戦の2位までダイレクトに出場権が与えられているので、無理して勝つ必要はないはずです。とは言うモノの、そのカギは監督が握っているのです。

現在の日本代表は、グループ1位、2位と勝ち点5の差をつけていますが、もし負けるとその差が2になります。

日本の残りの試合は、中東でのアウエー戦ヨルダンとイラクの2試合に、ホームでの強敵オーストラリア戦ですから、大変厳しい状況下に置かれてしまいます。

ですから、日本が出場権を確かなモノにするためには、勝ち点1(引き分け)だけは、ぜひ勝ち取って欲しいところです。

以上が蜻蛉のツブヤキです。

「がんばれ!! サムライブルー、ザックジャパン」

忘れてならないのは、タイで開催されているFIFA・W杯フットサルで活躍している日本代表チームへの応援です。

「がんばれ!! フットサル日本代表」

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

前回の誤りの訂正: タイトルと(う)偉業  (誤)

          タイトルと(いう)偉業 (正)

          ルールを(始め)かなり異なって (誤)

          ルールを(はじめ)かなり異なって(正)

          それ以上続ける(のと)、余計な (誤)

          それ以上続ける(と)、余計な  (正)

2012年11月6日火曜日

フットサルはサッカーに役立つだろうか?


こんにちは! 蜻蛉です。 連休は如何でしたか? 昨日は快晴に恵まれ、40数年ぶりに東京駒沢陸上競技場に行き、関東大学サッカーリーグ戦、母校慶応義塾大学対神奈川大学の試合を観戦してきました。結果は4−0で慶大が勝利、降格圏から少し遠のいたようで、ホッとしました。

 先週の土曜日(3日)第20回ナビスコカップ決勝鹿島アントラーズ対清水エスパルスの試合が超満員の国立競技場で行われ、鹿島が柴崎の活躍で、延長戦の末、2−1(90分は1−1)で優勝杯を獲得。16回目のタイトル獲得とう偉業を成し遂げました。おめでとうございます。

全国高校サッカーの予選にても各地の代表が続々と名乗りを上げています。Jリーグ優勝争いと残留争い、J2の昇格争いと残留争い等々、サッカー界もクライマックスで話題が尽きません。

話題と言えば、先週から始まった、FIFA・W杯フットサル、タイ大会も、今回、日本サッカー界の大スター“カズ”三浦知良(45歳)選手が出場する日本代表も大変注目されています。

1次リーグ第1戦のブラジルには1−4で敗戦しましたが、第2戦の強敵ポルトガル戦で、3点のビハインドを跳ね返し、5−5の引き分けに持ち込んだ粘りは素晴らしかったですね。第3戦のリビア戦の結果次第で、日本代表初の決勝トーナメント進出という、嬉しい話題も提供してくれています。

さて、きょうはこのフットサルの練習がサッカー選手にとって、プラスになるかどうか?について話し合いたいと思います。

現在世界的に注目されている若手のタレント、ブラジル代表でサントスFCのFWネイマル選手の「華麗なドリブルやその他のプレーはフットサルで磨いたモノだ」と言い伝えられています。

またブラジルの世界的なサッカーのスター、ロナウディーニョも、ジュニアのころフットサルのゲームで鍛えられていた様子がTVでも放映されています。

一方ブラジルの、フットサルの世界的なスター、ファルカンは以前、サッカー界にデビューするかも、というニュースがありましたが、実現しませんでした。

ペルーでも一時期、サッカーの練習にフットサルを導入すべきだ、という積極的な意見もあり、元ペルー代表サッカーのチーム対フットサル代表チームによるフットサルのエキジビションマッチをTV放映し盛り上げていたコトがあります。

アマチュアクラブの指導者の中にも熱心な人がいて、いち早く取り入れて、その成果が現れているようなコトなども伝えられていました。

ペルーのサッカーはスピードと早いタッチプレーが欠けているので、フットサルで改善していこうと、協会の幹部連中は考えていたようです。

しかし、私の考えは、ボール扱いの苦手な者には適しているけれど、将来プロや一流のサッカー選手になろうと考えている中学生以上の子ども達には、かえって弊害になる怖れがある、というのが持論です。

なぜなら、サッカー選手の根源は「接触プレーに慣れるコト」と、考えていますので、フットサルは接触プレーは禁止され、早いタッチプレーで、プレッシャーの感触や感覚がサッカーとは違うし、ボールの大きさ重さ、床やコンクリートと芝生や土の違い、人数も5人と11人というように、プレーの性格や感覚が違い過ぎる点に、問題があるのです。

もちろん、素早い判断力やボールタッチのプレーという点での良い面もあります。もしサッカーのための練習ならば、サッカーのルールを採用してゲームを行うのであれば、良い結果が出るかもしれません。

私が特に日本サッカーに奨めたいのは、気のエネルギーのタンクである丹田(ヘソの下あたりに位置)を中心にして、走る、キック、トラップ、ヘッド、ドリブルするように習慣づけるコトで、軽い足先のプレーをしないようにするコトです。

私自身もペルーに来て10年ぐらいまでは、フルビート(ペルー式ミニサッカー)を日本のサッカーのために学んでもらいたいと考えていました。

しかし指導者のライセンスを取得し現場で指導するようになって、サッカー選手にとってフルビートは良い面もあるけれど悪い面があるコトにも気づきました。

それ以来、私が指導している選手たちにはフルビートを禁止(実際は隠れてプレーしていたのですが)させました。選手は「やっていない」、と言ってもゲームをすれば、ボールを受けるときの体勢にその癖が出てしまうので分かるのです。

サッカーで一流だったカズにしても、フットサルでは、バスケットボールのようなサインプレーや攻守の入れ替わりが激しい細かな連係プレーに戸惑っているようです。

しかし、サッカーの選手もその違いを理解して切り替えに成功できれば、将来元プロサッカー選手にも新たな道が開かれる可能性がある、と私は思います。ただし、逆のケースの成功はないとは言えませんが、その可能性は薄いのでは、と思います。  
     

その理由は、フットサルはサッカー同様ボールを足や頭で操作するのは同じであっても、ゲームの性格はルールを始めかなり異なっているコトにあるのです。その差の違いを理解した上で、独創的なゲームを構築すれば、サッカーに応用できるだろう、とも考えています。

ストリートサッカーとフットサルも同じとは言えませんが、どちらも12歳までが限界で、それ以上続けるのと、余計な悪癖がつき、その後、それを直すのに苦労させられるハメになります。

ネイマル、ロナウディーニョ、メッシにしても、ストリートサッカーにてその個性的な素材が磨かれていたのですが、足の裏を使ったボール操作は、フットサルで身につけた、と言えるでしょう。

サッカーのために、フットサルは直接役立つか?という問いに対しては、結論的なコトは言えませんが、現段階では、それほど役立っていないのでは、というのが私の見解です。

私の見解には納得できない、という人もあって当然です。見落としてほしくないのは、ゲームの条件を変えて、サッカーの要素を増やせば、逆に、大いに役立つ、というコトです。

どちらにしても、カズ選手の年齢もさることながら、日本フットサル界の発展のため、という大局的な名目での、彼自身の新たな挑戦に敬意を表したいと思います。それに、彼の深いサッカー愛には敬服しております。

また、日本代表フットサルチームが、このW杯で好成績を残されるコトを祈って、このページを閉じたいと思います。

 「ガンバレ!! フットサル日本代表」

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

前回の誤り訂正: 

長谷部選手をレギュラーとして(使う)になりました。 (誤)

長谷部選手をレギュラーとして(使うよう)になりました。(正)

2012年11月1日木曜日

サッカー選手の怪我(ケガ)について


こんにちは! 蜻蛉です。日ごとに冷気が加わってきているようです。早いもので、平成24年(2012年)も残り後2ヶ月ですが、この『蜻蛉ちゃんのサッカー』のブログも後2ヶ月で1周年になります。今後ともよろしくお付き合いさせて下さい。
日本サッカー協会は、11月14日(マスカット・オマーン)に予定されている、FIFA・W杯ブラジル大会の出場権をかけたアジア最終予選対オマーン戦に出場する、日本代表選手(海外組)18人を発表しました。


残念ながら、そのメンバーリストには、マンチェスター・ユナイテッド(マンU)所属の香川真司選手の名が載っていませんでした。その理由は、彼が、先日23日の欧州CL対プラガ(ポルトガル)戦で負傷し、そのケガの回復(オマーン戦まで)は不可能という診断の結果によるものでした。

さて、きょうは香川選手のケガの話題と私自身のケガの経験について、話し合いたいと思います。

香川のケガ(プラガ戦にて)は、味方が失ったボールを奪回するため、ドリブルしながらボールをキープしていた相手選手の背後からスライディングタックルした際に起きたコトです。(そのケガは左膝内側靭帯損傷で全治3〜4週間と診断された)

香川のこのケガは予告されていたようです。と申しますのは、9月6日のキリン・チャレンジカップのUAE戦に先初で出場しましたが後半岡崎と交代。11日のアジア予選のイラク戦にはベンチ外(理由は腰痛が原因とのコト)でした。マンUでは、2〜3試合欠場して、CLに出場。再度日本代表の試合に招集され、欧州での、10月12日のフランス戦16日のブラジル戦にフル出場。マンUに復帰して、リーグ戦では、再度ベンチ入りしたものの、出場の機会なく、CLのプラガ戦でアピールするチャンスが訪れたのですが、ケガで退場せざるを得なかったというわけです。

「香川選手のケガは予告されていた」と私は前に述べました。そのわけは、私自身、日本にての現役時代、約10年間、腰痛に悩まされ続けたコト、ペルーでは、日本のサッカーで体験したコトのない、あたりの激しいサッカーでケガさせられたコト、それに指導者として「プレーとケガの関係」について、個人的に勉強してきたコトなどから、サッカーの指導者として、技術や戦術面同様、体力面のカラダの機能やケガについては、大変敏感になっていました。

前回慶応義塾大学ソッカー部、須田監督のコトで述べましたように、香川選手のコトも、ペルーにてドイツでの彼の活躍ぶりをTVで何度も観てきていましたので、彼の動向についても注目していました。

その本人香川が腰痛で欠場したときには、嫌な予感がしていました。あの時に、このブログで腰痛について載せようと考えていましたが、余計な不吉なコトを心配する必要はない、と思いとどまり載せませんでした。

サッカー選手のおもなケガは関節と筋肉で、特に腰から下位の腰、股関節、脚、膝、足首、足のトラブルが多いようです。

香川選手の腰痛は、腰という字を「月(にくづき)」に「要(かなめ)」と書くように、身体の中心的な役目があるので、単に筋肉だけでなく、身体を形作る骨格の状態も含めて意識しなければなりません。

サッカー選手の腰の痛みで、場所を特定すると、5つの腰椎の2番か3番に絡んでいる可能性が高いようです。例えば、腰椎の変位が元で周囲の筋肉・靭帯が疲弊している場合や変位が元で腰椎から出ている神経根が圧迫している場合などが挙げられます。
この他に、骨盤の狂いも考えられます。

腰の動きが悪くなると、サッカー選手の腰はプレーする動きの要ですから、スムースな動きが制限されます。

カラダがしなやかな動きをする場合、各関節が少しずつ動き、それぞれが引っかかり(虚が)なく、しかもうまく連動し合うコトが必要です。それで周囲の筋肉がうまくサポートして、重心の移動をスムースに行うコトが可能になるのです。

腰をいったん痛めると癖になるようです。私もサッカーの練習で痛みを感じなくても、一度休憩して腰を冷やすと腰椎と骨盤の筋肉が癒着したようになり、カラダが温まるまで、思うように動かせなかった経験があります。ひどい時には、夜寝てて頭の天辺から足の指先まで痛みが走り寝るコトができませんでした。

そのとき、整体術の療術師、(故)車谷先生にたった1回の施術で矯正してもらいました。今の療術師と違って、どこが痛いのか、質問したり触ったりしないで、まったく痛みを感じさせないで癒してくれたのです。その際に、自分で矯正する方法も教えてもらいました経験があります。

香川選手の腰痛の原因は、おそらく“ドルトムント”で大活躍した後、日本代表に招集されて合宿、W杯予選に突入、それと同時期に、マンUというビッグクラブに移籍、マンUでは、シーズンオフの休養とプレシーズンの体力的な準備が不十分なまま南アフリカや中国にプレシーズンマッチのために遠征。シーズンに入って、マンUの活動と日本代表の活動、その間、東日本被災地訪問、TVや雑誌の宣伝用撮影やインタビュー等々、環境の変化と頻繁な移動と活動というように、彼自身が調整(コントロール)しなければならないほど、ハードスケジュールで緊張を強いられていたようです。

乗り物の移動の場合、長時間座る姿勢が強いられ、腰痛の原因にもなります。緊張が続けば、少し少しストレスが溜まってきますので、これも腰痛の原因になります。移動と食事の変化も、生理的に胃腸に変化(弱るコト)をもたらすコトも腰痛の原因になります。

香川は、プラガ戦にて、スライディングタックルで膝を傷めましたが、フランス戦かブラジル戦でもスライディングタックルして、イエローカードをもらっています。彼がもし冷静にプレーしていれば、あのようなタックルをする必要はなかったはず、と思えるほど、無謀な行為であったように私は感じていました。

現在のルールは背後からのタックルはたとえボールに触っても身体に絡めばファールをとられ、しかも警告をうけるコトもあるのです。

私は選手たちに、ボールをタッチラインの外に蹴りだす以外、「ピッチ内で寝るな!」と指導してきました。

と言いますのは、私がペルーでプレーしていたころ考えた、PKをとる方法(ペナルティエリア内で、ドリブルで抜き去る際、ボールを足先で軽く突き、その間カラダを一瞬止め、相手のタックルを誘い、私の足に当たるようにする行為)で、実際にPKをとったコトがあるからです。

腰の歪みやズレの狂いは股関節や膝の動きにも関わってきます。膝関節が体重を支え、カラダの動きに大きく関係するコトは他のスポーツを見ても分かります。そのため膝には各方面からストレスがかかるコトになり、それが膝関節の痛みや狂いにつながっているのです。

膝が痛くなるのは、前後だけではありません、内側や外側の場合もあるのです。日常生活での膝の動きは前後ですので、膝の側面を痛めるコトは少ないのですが、しかしサッカーのようなスポーツの場合は、いろいろな方向に動くコトがあり、その際には横方向へも負荷がかかるコトになります。膝関節は屈曲の際にわずかに回旋しますが、それが関節の遊びとなって、このような場合にうまく負荷を逃がすコトができます。ただ、当然ですがそれには限界があり、屈曲のような大きな角度で動くコトはありません。ですから、その範囲を超える負荷がかかったり、常に異常な方向から負荷がかかり続けているようでは、膝を支える靭帯や筋肉、あるいは関節そのモノにダメージを与えるコトになります。

香川選手の場合は、ストレスからくる疲労と腰痛の歪みが、無意識に彼の判断と動作にズレができて、運悪く、あのプレーにて、タックルのタイミングのズレによる膝のケガ、という大きな代償を払わされたようです。

香川選手に限らず、最近は、サムライジャパンのケガ人が目立って増えているようです。私の住むペルー代表もケガ人が続出し、理想的なコンディションで、W杯南米予選で苦戦しているコトからも、選手のコンディショニングが、如何に重要か、香川選手を例にして、取り上げてみました。

私が、サッカーとは無縁の気功や中国拳法を導入しようと試みているのも、自分のカラダについて、自分自身で操れるよう、真剣に取り組んでもらいたい、という願いがあるからこそです。

このブログを通して、引き続き私のアイディアを、みなさんに伝えていきたいと思っておりますので、よろしくご理解のほどお願い申し上げます。

最後に、マンUのファーガソン監督は「香川は、長距離移動や体調面での疲れを自分自身で把握(コントロール)しきれていないのだ。それがチームとしても不安材料であるのは確かだ」と語っています。

この言葉は香川にとっても代表召集にプレッシャーがかけられたように思います。代表のキャプテン長谷部選手もクラブの監督から構想外選手としてプレッシャーをかけられ、長い間ベンチ入りもできなかったようでしたが、幸いにも、監督が更迭され、代理が長谷部をレギュラーとして使うになりました。

この監督更迭劇も、長谷部の件と関わりがありそうですね。(これは私の観測です)他の欧州で活躍する選手たちにとっても、この件はヒトゴトではありません。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

前回、慶応大の決勝点を決めた選手の名前が誤りでしたので訂正します:

磨見選手(誤)      武藤選手(正)

2012年10月30日火曜日

関東大学サッカーリーグ戦を観戦して




こんにちは! 蜻蛉です。 昨日(28日)は雨の中、東京都北区にある味の素フィールド「国立西が丘サッカー場」に行き、大学リーグ戦の、母校慶応義塾大学対日本体育大学の試合を観戦してきました。
きょうは、昨日の試合と大学サッカーという視点で、私の感じたコトを述べて見たいと思います。

この試合は、[第86回]関東大学サッカーリーグ戦1部リーグ(12校)後期第6節、日体大が首位の専修大と勝ち点2の差で2位、対する慶大は降格圏内の3校のうち2校と勝ち点2の差で9位、一方は優勝争い、もう一方は残留争い、という立場に置かれていましたので、両校にとって、負けられないというより、勝たねばならない心境で試合に挑んだコトと思われます。

そのせいか、午前11時半試合開始でありながら雨雲と雨で照明が照らされ、両校のプレーは気力が空回りしてか、暗い雰囲気で試合は展開されていました。

前半は、私の位置から良く見える、母校慶応のディフェンス(DF)ラインと日体大のアタッカーの動きに注目していました。慶応のDF、特に中のセンターバック2人がボールの動きにつられて、日体大のアタッカーをノーマークにしてしまう状況があって、ヒヤヒヤしながら観ていました。一方の日体大のアタッカーも、その瞬間スーと抜け出すチャンスがありながら、その虚を突く動きやパスがなかったため、慶応は助かった、と言えそうです。前半0−0.。

ハーフタイム、観覧席で観戦していた慶応の福井総監督に「バックラインが安定していない」コトを私は指摘しました。

慶応は1(GK)−4−2−3−1のシステムでしたから、特にDF陣の核になる、センターバック2人とミッドフィールダー(MF)ボランチ(ポルトガル語の舵取りという意味で、守備的ハーフのコト)2人が守備の要ですから、その核が、しっかり機能しないと、チームというカラダは絶えず不安定な状況に強いられ、もちろん、味方の攻撃にも悪い影響を与えます。守備の原則的なそのコトも伝えました。

後半に入り、その心配が的中しました。日体大の左サイドのMF(アタッカー)の10番(背が高く、キック力があり正確なパスを出せるので、要注意の選手として観ていた)は、左からゴール前に絶好なドリブン(ライナー性の)クロスを入れ、同僚のMF8番が慶応DFより一瞬早く飛び込み、ジャンピングヘッドでシュートを決め先制点を獲得しました。

しかし、「サッカーは意外性のあるスポーツとか芸術」と言われているように、この得点を機に、逆境に立った慶応の選手1人ひとりのプレーにアグレッシブさが出始めたのです。日体大にしてみれば、皮肉な得点になってしまったようです。

慶応はこの失点を機に、選手間のポジション変更をしたコトで、チームが結束し、プレーが効率よく連動するようになったのです。

特に、この試合左サイドバックでスタートしたキャプテン藤田息吹選手(欠場選手の穴を埋めるため?この位置でプレーしていたようです)を、彼本来のポジションであるボランチに据え出してから、彼の名前のように、チームが息を吹き返したように、選手間のコミュニケーションというか意志の疎通がスムースになり、何度も得点チャンスがあり、日体大DF陣を脅かしました。

ついに藤田選手が同点弾を決め、最後には、MF左サイドのアタッカー7番磨見選手?(名前を確認するのをわすれました)が強烈なシュートで勝ち越し点を決め、慶応大に勝利をもたらしたのでした。

監督2年目の須田芳正氏とは、ペルー在住の私に、浦和レッズから南米遠征合宿の招待があった際、(アルゼンチンで合流して、チームに同行したとき)、慶応義塾の後輩でレッズの選手でもあった彼と偶然知り合ったのです。

そのような縁があったというコトもあって、彼が塾の監督となってどういう手腕を見せるか(私自身もペルーでサッカーのコーチをしているので)、昨年の暮れから、大変興味をもって、彼の動向に関心を寄せていました。

昨年暮のインカレで3位という好成績をのこしましたが、今シーズンはコレッというような成績を残していませんでしたので、心配していました。

とは言うものの、今年になって実際に、慶応の試合を観戦したのは、早慶定期戦のナイターの試合だけでしたので心配していたところ、ちょうど塾ソッカー部発行の機関紙「KEIO SOCCER TIMES」が届き、その頭書に『正念場』ということばと、「1部に残留するコトを目標とし、1つでも上の順位に食い込めるよう努力して参ります」と記載されていたので、これはタダゴトではないという思いで、雨の中スタジアムに駆けつけたわけです。幸いにも、前半はともかく、後半は塾のサッカーらしさを見せてくれてホッとしました。現役諸君の力は、結集しさえすれば、どのチームと対戦しても勝てるコトを、確信しました。

特に、キャプテン藤田選手のコトを取り上げましたが、彼のプレーには他の選手も見習うコトがたくさんあるからです。私がこのブログで記載しているコトとも関係があり、彼のプレーだけでなく、他の選手の反応振りも同時に、いろいろな角度から(学ぶ意味で)覗いてほしいのです。

須田イズムの目標にある、昨年からの「自立」に加え、「I WILL 」をスローガンに掲げ、選手1人ひとり自主性を持ち、自分の力でチームを変えるのだ、という強い意志を持つコト(遅ればせながらも浸透してきているようで)、それが昨日の試合の後半にて現れていたように、私は感じました。

学生サッカーという選手の立場は、本分の「学問」と「サッカー」を両立できるコトが理想です。サッカーはすべての文化と相通ずる要素が満ちています。私の県立浦和高校時代のサッカー部の監督で顧問でもおられた恩師故福原黎三先生の言葉に「サッカーで哲学せよ!」というのがありました。

この哲学こそ、現役諸君に相応しい考えの源泉になるのでは、と感じています。サッカー指導者ライセンスの講義にも、医学、心理学、経営学等々も含まれています。サッカーはそれだけ創造性を掻き猛る魅力あるスポーツです。

最後に一言、「監督からの使命を達成しても100点満点のうち60点が精一杯、残りの40点は自分自身の能力と努力による可能性を発揮してこそ、チームへの貢献度が達成できる」のだ、というコトを知って欲しい、と思います。

前回「サムライブルー日本対フランス戦とブラジル戦を観戦して(2)」の文章に誤りがありましたので、訂正させていただきます。

1.長友のクロスを香川(が)決勝シュートを許してしまうと(誤)

長友のクロスを香川(に)決勝シュートを許してしまうと(正)

2.サッカー(が)意外性のあるスポーツですから(誤)

  サッカー(は)意外性のあるスポーツですから(正)

3.ザッケロー(に) (誤)

ザッケロー(ニ) (正)

 グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年10月24日水曜日

サムライブルー日本対フランス戦とブラジル戦を観戦して (2)


こんにちは! 蜻蛉です。 プロ野球日本シリーズは巨人対日本ハムの決戦になりました。Jリーグの優勝争いも仙台と広島に絞られたようですね。現在日本のプロスポーツ界をリードする野球とサッカーファンにとっては、最後まで見逃せない、つばぜり合いの展開になることでしょう。


きょうは、前回、日本対フランス戦での、日本のカウンターアタックに対するフランスの守備の問題点を2つ、皆さんへの課題として取り上げましたので、その問題についての、私の考えを述べるコトと対ブラジル戦について感じたコトを述べようと思います。

誤解しないでいただきたいのは、私の考えが正しいと思って述べているのでない、というコトです。意見交換しながら、「アー、そういう見方や考え方があるのか」というコトを「知りたい」からなのです。

さて、前回取り上げた2つの問題から始めることにします。

問1 フランスは、なぜDFの今野にピッチ半分(約50メートル)の距離をフリーでドリブルするコトを許してしまったのか?

問2 フランスの3人のDF陣はズルズルゴールエリアまで、なぜ後退しなければならなかったのか?

 最初の問題は、対日本戦のフランス代表の立場は、たとえ親善試合であっても、W杯予選の対スペイン戦が数日後に迫っており、期待する国民に対しても、地元の試合ですから、内容と結果(チームとしても個人でも)を示さねばならない状況にあったのでは、と思われます。

 内容としては、前半圧倒的にゲームを支配し得点のチャンスもかなりあったのですが、結果を示す肝心の得点に結びつかず、最後は、「勝たねばならない」という焦りがあったようです。

最後のセットプレーでは結果を出そうと、キッカーを除いて6人がペナルティーエリア内に位置していました。守備にはGKを除いた3人の布陣でした。体形としては、別に異常はなさそうなのですが、問題は選手たちの心理に、日本の攻撃に対する、守備という意識と、カウンターアタックに対する備えが、まったくと言っていいほどなかったように思われます。

DF今野がボールを拾って抜け出たときの前の状況は3対3でしたから、今野に対するマークが1人もいず、無人の原野を疾走する馬のように、フリーのドリブルを許してしまったようです。

第2の問題は1のコトにも関連するようです。守備の原則には、防御するためのライン(あらかじめ選手同士で約束している線)のブロックを布く守備戦術の基本があります。しかし、このときのフランス守備陣の3人(本来のDFの選手ではなかったようです)は、中途半端にズルズルとゴール前まで後退し、日本の4選手にプレッシャーをかけるコトなく、フリーに攻撃するコトを許してしまったようです。

あのような状況の場合、オフサイドトラップを考慮し、どこで勝負をかけるか、センターにいる選手の位置と決断が重要なコトなのですが、その機会を失ったため、今野から長友へのパスと長友のクロスを香川が決勝シュートを許してしまうというエラーをおかしてしまったようです。この間、誰もマークやタックルに入れないという、欧州の一流国らしくない無残なプレーで敗戦に追いやってしまったようです。

このようなケースは、日本がアジアのチームとの試合でゲームを支配するときに、同じようなコトが起こりうると想われたからこそ、問題として取り上げてみました。

さて、日本の対ブラジル戦ですが、4−0で完封されました。最近ブラジルは、タイトルという面で、チームとしても個人でも、結果を出していなかったためか、過小評価されているきらいが日本ではあるようです。たとえば、FIFAランキングで、ブラジルは14位だそうですが、本当にそう思いますか? 

日本に一時帰国して以来、特に感じているコトは、マスコミの表現による仕方に、偏見があるのでは、という感じがしたからです。

たとえば、サムライジャパンの評価が膨らむのに従って、世界とトップクラスの国の評価が凋(しぼ)んでいくような感じを受けるのです。

ここで挙げたFIFAランキングは何を基準にして決めているのでしょうか。その数字で、格上とか格下という表現をされているようですが、ブラジルより上位にランクされている国々が、「格下のブラジル」という表現ができる国はあるのだろうか?

また最優秀選手選出にFIFAが絡んでいるのも、なんとなく茶番劇のように私自身感じています。サッカーはチームゲームだ、と言いながら、ポジションに関係なく選出するなど、サッカーの本質をFIFA自体が崩しているように感じます。このような姿勢ですから、審判の問題も、判定の機器に頼らず解決していこう、という毅然とした態度や姿勢が見られないようにも感じています。

ブラジル戦での、日本のスタメンはGK川島、DF(右から)内田、吉田、今野、長友、MF(ボランチ)長谷部、遠藤、(アタッカー右から)清武、中村、香川、そして、FW(ワントップ)本田の布陣でした。 

前半の10分までは、ブラジルのスロースタートに乗じて、リズムのある展開で、パスをつなぎ、得点のチャンスもありましたが、12分、ブラジルのMFパウリーニョにゴール正面からミドルシュートを決められ、その後DF今野のMFカカに対するチャージがPKにとられ(?)、ネイマルが決めてから、ブラジルペースの展開になり、ブラジルの一方的な試合で、後半にも2点追加され、日本は負けました。

ブラジルサッカーは見た目には、欧州のトップチームのようなスピード感はないようですが、実際に対戦する選手からすると、独特のプレーのスピード感に奥行きがあって、しかも、リズムに緩急があり、そのシッポを掴めないのです。

たとえば、ブラジルの最初の得点では、縦横な動きによるドリブルとパスで、DFとMFの間が寸断され、そのできた空間に、ボランチのMFが飛び込み、アッという間にシュートを決められてしまったわけです。

ブラジルの特色は個人個人の卓越した技術(特に内部感覚によるコントロール)とパスとドリブルを駆使した左右の波や上下の波のような揺さぶりをかけて、空間を切り開き、その瞬間、スパッとゴールを決める能力があるため、相手の能力を制限させたり、封じるコトができるのです。

日本のアタッカーのように、守備のために、(犠牲的な動きで)ハーフラインを超えて自陣まで相手の選手を追う、というコトはマレです。

もうひとつ、長友の2試合のプレーを比べてみればよく分かるのではないでしょうか。フランス戦での長友は左サイドを抉(えぐ)るようなプレーを発揮して、フランスのDF陣を再三脅かしました。しかし、ブラジル戦では、そのようなプレーは影を潜め、守りに徹していたかのように感じました。

ザッケローに監督は本田のワントップでスタートさせました。最初は良かったのですが、いつの間にか、そのポジションから本田が消えて、トップ不在になっていたようです。これは監督の指示だったのか、選手間で決めたのか、それとも本田自身の判断なのか、はなはだ疑問に感じました。

ドイツのクラブで出場できないキャプテン長谷部は、ブラジル戦では調子を上げていたのですが、お決まりかのように、細貝と交代させたのも、腑に落ちない印象を受けました。キャプテンという立場と選手としての信頼という意味と、彼自身のプレーヤーとしての自信回復の意味で、交代さすべきではなかった、と感じました。

取り留めのないコトを述べてきましたが、日本のサッカーは一挙に世界のトップに駆け上がるコト(目指すのは良いが)より、名実共にアジアで群を抜く実力を蓄えるコトを期待します。

サッカーが意外性のあるスポーツですから、どこの国にもチャンピオンになる可能性はあるのですが、現実は世界200カ国以上で、W杯優勝国の数はたったの8カ国だけなのです。日本が強くなったのは確かです。しかし日本よりランキングは下でも実力は上の国はいくらでもあるのです。

サッカーの発祥国イギリスはW杯に1回優勝しただけですが、衰退するどころか、国内リーグは名実共に世界のトップを維持している事実に注目してほしいのです。これは私のつぶやきです。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

2012年10月21日日曜日

サムライブルー日本対フランス戦とブラジル戦を観戦して (1)

こんにちは! 蜻蛉です。 時の経つのが早いですね。昨年の今頃、私は日光へ行って、紅葉と滝、それに、東照宮を見物して満喫したコトが、つい最近のように思い出されます。 皆さん元気にお過ごしでしょうか。
 さてきょうは、先日ヨーロッパにて日本代表がフランスとブラジルという欧州と南米の強豪を相手に2連戦しましたので、その試合の対フランス戦(TVにて観戦)で感じたコトを述べてみたいと思います。

 日本代表は対フランス戦を1−0で勝利する素晴らしい結果を出してくれました。フランスは欧州の中で最もラテン的なサッカーをする国で、チームが結束しているときは素晴らしい反面、その逆の場合には、自ら崩壊してしまうようなところが見られます。それに、地元ではめっぽう強いのも特色ですから、日本がそこで勝ったというコトは、賞賛に値する試合だった、と言えそうです。

 日本のスタメンは:GK川島、DF(右から)酒井宏樹、吉田、今野、長友、MF(ボランチ)長谷部、遠藤、(アタッカー)清武、中村、香川、FWハーフナー。

試合全体の流れはフランスが圧倒的にボールを支配していましたので、日本は防戦に追いやられましたが、GKの川島、DF吉田と今野、MFボランチ遠藤がDFラインの核が確りと堅持していたコトで、相手の攻撃に押されながらも、全体的なバランスが崩れず、失点を防ぐコトができたようです。

もちろん相手のシュートミスという幸運もありましたが、DFが相手の攻撃に対し、プレスをかけた守りでプレーを制限したからこそ、ミスを誘ったとも言えます。

この試合エースの本田がケガで欠場したため、香川がトップ下に位置するかと思われたのですが、中村がそのポジションに入り、彼本来の機能が制限されたようです。しかし、中村が流動的にポジションを変えていたので、香川自身も本田がいるときよりも、ノビノビとプレーしているように感じました。香川が動くコトで、長友がそのスペースを利用して、再三相手DFの裏にドリブルで切り込むプレーで、相手DFを脅かしていました。

前半日本は、右サイドからの絶好のクロスをハーフナーがヘディングミスして、得点チャンスを逃がしました。

ハーフナーはヘッドの際首を動かし額でボールを合わせてゴールの隅を狙ったつもりですが、ボールの向きも威力も思惑通りにはゆかなかったようです。

ゴール前でのヘッドはプロでも基礎的な技術というか知識を知らないでプレーしている選手が見られます。ヘッドの場合、ボールを額に当てるコトは正しいのですが、額でボールを合わせようと意識するから、当てる前に、首が前折れたり、左右に曲がったりしてしまうのです。そうなると胴体のしなやかな力がボールに伝わらず、(首の力だけで打とうとするから)威力もなく、(首が横に動くから)ゴールから逸れてしまうのです。

ヘッドはボールを顔で受ける感覚でボールを迎え、四肢でバランスをとりながら、丹田(ヘソの下に位置する気のエネルギーの収納庫)を中心に胴体(胸と背骨)を反らし、首を固定(胴体と一体にして)して、カラダ全体の力でボールを叩くと、威力のある正確なシュートになる確率が高いのです。

顔でボールを迎える姿勢をとると、首筋と背筋がよく伸びて(視界がよくなる)、骨盤までそのエネルギーが伝わって仙骨(骨盤の平たい部分)が締まり、ボールを叩く瞬間には、ちょうど額にボールが当たるので、さらに威力が増すのです。

日本の得点は相手のCKかFKだったのかよく覚えていなかったのすが、こぼれ球をDF今野が拾い、約50メートル、ドリブルで前進、そのときのフランスのDF陣はGKのほか3人、日本は右に長友、前に香川、左に乾?が疾走していました。今野はタイミングよく右サイドでフリーの長友にパス、それをワンタッチ(ダイレクト)でゴール前に流し(クロス)そこに飛び込んできた香川がカラダを左側に倒れながら右足で見事なシュートを決め、試合を決定付けました。

このシーンで大事なコトは、日本のカウンターの速攻に焦点を当てるだけでなく、フランスの守備についても、日本の問題として、反省してもらいたいのです。

フランスは、なぜDFの今野にピッチの約半分の距離をフリーでドリブルするコトを許してしまったのか?、また、フランスの3人のDF陣はズルズルとゴールエリアまでなぜ後退しなければならなかったのか?

この問題について、私の考えもありますが、皆さんにも自分たちの課題として検討してもらえませんか。できましたらコメントしてください。

次回はこの問題に対する私の考えと対ブラジル戦のコトについて述べてみたいと思いますので、よろしくお願いします。

グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ

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2012年10月16日火曜日

サッカーの内部感覚と気功について

こんにちは! 蜻蛉です。 サムライブルー日本代表が欧州の強豪フランス代表にアウェーの試合で、勝利(1−0)。という夢のような結果を実現してくれました。今夜(16日)のTV放送(対ブラジル代表戦)がより楽しみになりましたね。
 さて、今回も前回に引き続き、「サッカーの内部感覚」について、述べてみたいと思います。

 南米ペルーに住む私は、日本のサッカー界のために、『土俗的な忍者式サッカー」』と『サッカー文化と異文化の内外相合』という題の本2冊分の原稿をペルーで執筆しました。今回来日した目的は、この原稿を本にして出版するコトでした。

 しかし、最初に偵察がてら訪問した、秋葉原の「書泉」という大きなビルの本屋で、サッカーコーナーの本や雑誌のボリュームを見て驚き、知名度(日本では重視されている)のない私の本は、下手に交渉しても、出版社の段階で無視されるコトは必至である、と判断。友達にも相談しましたが、これという名案がなく、どうしようか?と悩んでいたところ、私の息子が、「インターネットを利用したら」というコトで、この『蜻蛉ちゃんのサッカー』で、外側(ペルー)と内側(日本)から覗いた日本サッカーのギャップというか差異を埋めながら、出版のチャンスを待っているというのが、私の現状です。

 このギャップというのは、言葉(スペイン語と日本語)や文字(ABCの横文字と漢字・平仮名・片仮名)の違いにあるのです。たとえば、最初に、“EL QIGONG”という言葉と意味を私の息子と中国人の青年から教わりましたが、日本語で何というのかは知りませんでした。たまたま、以前一時帰国したとき、息子のために買った『太極拳』の本に「気功」という言葉の文字が記載されていましたので、同じコトの意味だったのだ、と納得しだしてから、その本を貪るようにして読み、想像やイメージを働かせながら、サッカーと気功、サッカーと中国拳法の接点を探しているうち、ある日突然そのイメージがくっきりと脳裏に描きだされたのでした。

 それは、野武士のような土俗的忍者が変幻自在でしかも神出鬼没の動きでボールを支配する姿と、日本選手とが重なり合ってる姿でした。

 「内部感覚」という言葉の使い方も、今回の来日で初めて知りました。これも、息子が購入していた「気功」の本を読んでいるとき、この「内部感覚」という文字を目にして、強烈に記憶されたのです。

 と申しますのは、私が公園で立禅(立った姿勢でする気功禅)をしているときに、それこそカラダの内部の感覚で、腰椎を動かす(「コツッ」という音がして)コトができたのです。そうです、カラダの内部を自らの感覚で、筋肉を操作し、外からの操作なしに骨を動かすコトができたのです。ここでも日本語の特に漢字の力の素晴らしさを再発見したような気がしました。

 この言葉を知る以前、「気功」を知らない人に、どのような説明の仕方をしたらよいか、私はその言葉に行き詰まった感覚で悩んでいましたから、この言葉を知って詰まっていた気がスーッと通り抜ける感触を得ました。

 大学生諸君のサッカーゲームを観戦していて特に目立つのは、いかにもスピード感の溢れる瞬発力で相手を牛耳ろうという感覚でプレーしているように見えるコトです。おそらくそのために、一生懸命筋力を鍛えるパワートレーニングに励んでいるコトでしょう。これは大事なコトです。

 しかしここで誤解しないで欲しいのは、「スピードはパワーではない」というコトです。逆にパワーがスピードを奪ってしまう、というコトなのです。

 日本人に限らず、人間は理性で社会に適応して生きる動物であり、そのために子どものころから親や先生にしつけられます。そのしつけはカラダや精神を操られ、「緊張せと」というコトで、カラダのどこかで「力み」を強要するモノです。

 大切なのは全身の筋肉のつながりによるスピードなのに、「力む」コトによって、そのつながりがどこかで欠落して(虚ができて)しまう。途絶えてしまう。それが失速を生むのだ、というコトです。
ですから、そういう癖を抜き去り、全身の筋肉のダイナミックな連動をスムースにつなぐコト(その内部感覚をつかむコツ)を覚えるコトがサッカー選手には欠かせないのです。

 これまでサッカーのトレーニングで信じられていた規制概念(筋力=パワー)を捨て、自分の身体能力の可能性を追求する方法を見つけるコトを私は薦めます。

 私たちはカラダばかりで生きているように錯覚しやすいようですが、そこにいつも精神や心がからんでいるコトは言うまでもありません。その証拠に「集中力の度合い」は、いつもその結果を大きく左右します。

 高い集中力は、その選手の能力を最大限に発揮してくれるのです。逆に意識が分散して集中が途切れれば、自分でも驚くほどのミスをします。しかし私たちのような凡人にとって集中力は意識によって簡単にコントロールできるモノではなく、なかなか難しいモノのようです。

 その能力を養うには、やはり訓練が必要です。そのために、私が現在一番力を入れている方法が、気功と中国拳法の体術の技法をサッカートレーニングに導入して、自ら修練できるよう、その方法を考えているのです。

 ここで先日の日本対フランス戦にて、スペインの名門レアル・マドリードのストライカーとして活躍しているフランス人のベンゼマ選手の(「内部感覚」に関連する)プレーで気づいた前半の2つのシュートを例にして考えてみたいと思います。

 一つはペナルティエリア内左サイドで日本のDFを左に交わし左足でシュートしましたが、ボールはゴール右ポストの手前を逸れて得点にはなりませんでした。

このシーンを観て感じたコトは、シュートの瞬間、全身が力み脚の力だけでスウィングし、しかもボールをとらえる際の足首が動いてしまっていたコトです。

もし丹田(気のエネルギーの出発点)からの内部感覚でシュートしていれば、脚がシナルように振れ、ボールを蹴る瞬間には足首は固定し、振り切れていたはずなのですが、蹴るフォームの出発点に虚ができて、あのような結果になってしまったようです。

 もう一つは、ゴール前でのフリーキックで、右足で壁の右サイドを狙ったのですが、GK川嶋の左横飛びのセーブで弾かれ得点にはなりませんでした。

このシュートの際も、やはり丹田からでなく、右脚の振りでボールを上手くとらえてはいたのですが、蹴った後、そこで脚が止まってしまっていたのです。あそこで振り抜かなければ、ボールにその威力は乗り移りませんから、威力のない、しかもGKが取りやすい高さになってしまうのです。

 内部感覚を使ったシュートは、丹田から気のエネルギーを筋肉の動作の順に流せるように意念で操作すると、(内部感覚の)小さな力で、大きな力が経絡を通じて、気のエネルギーが神経を刺激し、効率よく(エネルギーに満たされた)筋肉を作動するコトができるのです。そこに内部感覚と気功の間に秘密が隠されているのです。

 その秘密を探るには、気功を実践しながらサッカーに活かせる(応用できる)よう内部感覚を養う以外方法はないのです。難しい課題ですが、それだけやりがいがあり、それを実現したら驚くようなプレーができるようになる可能性があるのです。

 グラシアス! アスタ・ラ・プロクシマ